敗者の生命史38億年 の商品レビュー
生物学になるんだろうか。一読して、壮大な規模で語られる脆弱な生命の叙情詩のようだった。 「ニッチ」という言葉の意味、オンリーワンの重要さなど、面白い箇所がたくさんあるけど、なにより、『繁栄したものは必ず滅んでいく』というサイクルに感嘆した。
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原始生命の誕生から生命の歴史を紐解き、現在に至るまでが描かれている。 「敗者の生命史」という言葉の意味であるが、生命的弱者が常に進化の先端を走っており、現在の生き物の世界を形作っているということだ。 例えば、サメという魚は太古から海の中では強者であり、進化的には完成されてしまっ...
原始生命の誕生から生命の歴史を紐解き、現在に至るまでが描かれている。 「敗者の生命史」という言葉の意味であるが、生命的弱者が常に進化の先端を走っており、現在の生き物の世界を形作っているということだ。 例えば、サメという魚は太古から海の中では強者であり、進化的には完成されてしまっている。つまり、サメが住む世界ではサメが強者でありそれ以上身体を進化させる必要は無かったのだ。だからサメは大昔とほとんど姿が変わっていない。 一方、サメから追われる立場の弱者である小魚たちはありとあらゆる方策を駆使して身体を進化させ、生き残りを目指した。ある者は身体を小さくし、ある者は海を捨て陸地に上がっていった。 進化する際に重要なのは子孫を残す際にエラーをあえて発生させることだ。 エラーという言葉を使うとなんだか悪いもののように感じるが、エラーを発生させるということは「突然変異を発生させる」ということであり、その環境にさらに適応できるような身体や能力を発生させることなのである。つまり、より強い者を出現させることができると言うことだ。もちろんその発生はランダムなので弱い者が発生することもあるが、弱い者はすぐに絶滅する。 さらに、ある個体の寿命があまりに長すぎると突然変異の発生の頻度が落ちてしまうので個体の種全体として考えるとあまり効率的では無い。適度に短い寿命で多くの生死のサイクルを経験することが種の保存には重要なのだ。 本書を読んで、生物の種がいかにしてこの過酷な地球環境(純粋に環境だけでは無く、捕食されたり、食べ物を探すといったことも含めて)を生き抜く為に努力してきたかが非常に良く理解できた。 生命史の初学書としておすすめ。このような本の中で一番分かりやすかった。
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生命は不思議に満ちている。 不思議だからこそ面白い。 その生命の不思議に迫る一つの手段が、生命の進化を知ることである。 本書は、「敗者」というキーワードから生命の進化を読み解いていく。 僻地へと追いやられてしまう「敗者」だからこそ、スノーボール・アースなど地球が危機的状況に陥った...
生命は不思議に満ちている。 不思議だからこそ面白い。 その生命の不思議に迫る一つの手段が、生命の進化を知ることである。 本書は、「敗者」というキーワードから生命の進化を読み解いていく。 僻地へと追いやられてしまう「敗者」だからこそ、スノーボール・アースなど地球が危機的状況に陥ったときに、環境に適応して変化=進化することができた。 「オスとメス」や「死」だって、遺伝子を効率よく交換し多様性を得るために、生命が自ら生み出した発明なのだ。 その結果やはり、生命は不思議に満ちている。
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ある環境で負けたものは、住む環境をずらす。 そして、新しい能力を得て、どんどん新しい環境を開拓していく。 弱者の戦略やその他植物の本が、ある一時点を語っているのに対し、この本は、38億年の視点になっている。 スノーボールアースが、単細胞から、多細胞のトリガーとなったり、面白い...
ある環境で負けたものは、住む環境をずらす。 そして、新しい能力を得て、どんどん新しい環境を開拓していく。 弱者の戦略やその他植物の本が、ある一時点を語っているのに対し、この本は、38億年の視点になっている。 スノーボールアースが、単細胞から、多細胞のトリガーとなったり、面白い話が盛りだくさん。 海を追い出されて、川に。 それでも負けて陸へ。
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