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秘密(下) の商品レビュー

4.4

17件のお客様レビュー

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2024/07/14

上巻の後半からあった小さな違和が、読み始めた徐々に大きくなってくる。 国民的女優であるローレルの母の若かりし頃。 都会に憧れ、自分が設定した人物になりきって物事を進めていくその姿は、娘が大女優になる種を内包しているかのように見える。 けれど。 都会の生活に憧れ、もっと良い暮らし...

上巻の後半からあった小さな違和が、読み始めた徐々に大きくなってくる。 国民的女優であるローレルの母の若かりし頃。 都会に憧れ、自分が設定した人物になりきって物事を進めていくその姿は、娘が大女優になる種を内包しているかのように見える。 けれど。 都会の生活に憧れ、もっと良い暮らしができるはずという野心あふれる若い娘であるだけにしては、ドロシーは身勝手なエゴイストでありすぎる気がする。 それがローレルの知っている母の姿とは、どうしても重ならない。 鼻っ柱を根底からへし折られるような、何を彼女はやらかしたのだろう。 いや、それよりも…。 母の過去を追うローレルが知りえた情報を読みながら、違う事実を想像してしまう。 どちらに転ぶこともありうる過去。 ドロシーがいけ好かないと言い張るヴィヴィアンは、知れば知るほど心温かい人物で、かえってドロシーの邪さが際立つ。 ドロシーを愛しながらもヴィヴィアンに惹かれていくジミー。 危ういバランスに立つ若い3人。 しかもヴィヴィアンは人妻だ。 なぜか時折体調を崩し、家に引きこもることのヴィヴィアン。 服の下に見える青あざ。 自分の未来などないと言い切るヴィヴィアン。 私の予想から外れていきそうになった時、ヴィヴィアンの夫・ヘンリーの正体が明らかになる。 すべて世はこともなしといった読後感になるとは、我ながらびっくり。 子どもの目の前で人を殺してしまったローレルの母の罪は、今更問われないのだろう。 それにしても、ヴィヴィアンの遺産分配は、問題なく行われたのだろうか。 あのヘンリーが、家以外の財産を受け取ったとしても、黙って家を出ていくとは思えないし、追い出されたとしても情報省の役人の特権を使って、遺産受取人に報復するくらいはしそうな奴なんだけど。

Posted byブクログ

2024/06/10

読み終えて、あー良かった!幸せとちょっとの切なさが混じった心地よい読後感。戦争真っ只中の1941年ロンドンで生きる若者たち、そして母の殺人を子供の頃に目撃してしまった女優ローレルが真相を探り出す2011年が、交互に語られる。下巻の途中で、もしや?と思ったので(それが殺人の動機に十...

読み終えて、あー良かった!幸せとちょっとの切なさが混じった心地よい読後感。戦争真っ只中の1941年ロンドンで生きる若者たち、そして母の殺人を子供の頃に目撃してしまった女優ローレルが真相を探り出す2011年が、交互に語られる。下巻の途中で、もしや?と思ったので(それが殺人の動機に十分成り得るので)、真相は割とあっさり分かったけど、逆にそれが良かったなと思うくらい。 ドロシーたちが作り上げた、温かな家族の描写も魅力的だったし、当事者が真相を知りながらも「秘密」を守り続けたんだなあと、綺麗にタイトルの回収もされた、ラストシーンもすごく良かった。ケイト・モートンの中では一番かも。

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2024/03/11

 読み終わってまず、ジミー(母の婚約者、恋人)はとても良い人だと思った。こんなに人間ができている人と出会えて、母は本当に良かったなあ。上巻で感じた違和感は、少しだけ当たっていたが、秘密が全て明かされた今となっては、些細な事のように感じる。  また、最後が衝撃だっので、読後にネタバ...

 読み終わってまず、ジミー(母の婚約者、恋人)はとても良い人だと思った。こんなに人間ができている人と出会えて、母は本当に良かったなあ。上巻で感じた違和感は、少しだけ当たっていたが、秘密が全て明かされた今となっては、些細な事のように感じる。  また、最後が衝撃だっので、読後にネタバレ有りの感想をいくつも見たが、最初から勘づいている人もおり、自分の読む力が未熟だと思った。しかし、作者が求めている読者は私のような、純粋にミスリードに引っかかってくれる人だと思うので、まあ良しとしよう。

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2023/03/25

2度目の読了。 ケイト・モートンの情景描写は丁寧で緩やかで好みです。また彼女の作品は読み終えるとしばらく余韻が続き、また読み返してしまったり。 些細な出来事や、タイミングのずれで人生が大きく変わり、なんともいえない淋しさ虚しさも感じずにはいられません。その複雑な余韻がまた味わいで...

2度目の読了。 ケイト・モートンの情景描写は丁寧で緩やかで好みです。また彼女の作品は読み終えるとしばらく余韻が続き、また読み返してしまったり。 些細な出来事や、タイミングのずれで人生が大きく変わり、なんともいえない淋しさ虚しさも感じずにはいられません。その複雑な余韻がまた味わいです。

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2022/09/27

良くあるストーリーだと思って油断してるとラストまでに仕組まれた色んな仕掛けに驚く作品。第二次大戦のロンドン空襲の酷さは、コニーウィリスの作品から予備知識もあったので入り込みやすかった。単なる謎解きミステリに留まらず、家族のドラマわ70年前と現代が交差しながら描いたことも素晴らしい...

良くあるストーリーだと思って油断してるとラストまでに仕組まれた色んな仕掛けに驚く作品。第二次大戦のロンドン空襲の酷さは、コニーウィリスの作品から予備知識もあったので入り込みやすかった。単なる謎解きミステリに留まらず、家族のドラマわ70年前と現代が交差しながら描いたことも素晴らしい効果が出ている。やや冗長な所もあるが、それも魅力の一つで、ラストまで読み進めたならば、素敵な読後感が待っている。

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2022/08/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

二作目のケイト・モートン。 前作「忘れられた花園」と同様、現在と過去が交互に描写されながら真相に迫る物語。 現代パートの主人公ローレンが語る母ドロシー(ドリー)の優しさと、過去パートのドリーの人間としての醜さのギャップが凄くて。正直途中から、キーとなるヴィヴィアンに幸せになってほしいと思いながら読み進めた。 徐々に変わっていくドリーの描写も見事。ホント、途中から嫌な女性になりました笑。その分、全てを失うことになるのだけど。 最後の仕掛けは、もしかしたらと思いつつも、最後まで気が抜けず。結ばれなかった二人の切なさと、旅時の果てに幸せに逝った静かな余韻があり。良かった。 相変わらず、若干ハーレクインかなと思うけど、「過去を探る」ストーリーは随一。次作、湖畔荘も楽しみ。

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2022/08/28

とても面白かったです。ネタバレになってしまうので、書きませんが、最後まで楽しめて、もう一度、読みかえしたくなります。

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2022/01/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

☆幼いころ、娘が目撃した母の殺人と、母の若いころ。まあ、つかみはいいし、最後は思わぬどんでん返しの落ちだが、内容があまり興味ないし。 原題はsecret keeper。もちろん、母のこと。

Posted byブクログ

2021/12/18

すご〜くおもしろい。時代が行ったりきたりして、慣れるまで大変だか、展開と家族の愛に引っ張られて、読み進むと、どんでん返しが待っている。男の私でもよかったですが、女性ならなおさら、一読おすすめ❗️

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2021/06/18

図書館で。 正直、ドリーの若いころがナントモな若者なので読んでいて色々つらい感じで…若いってイタイ…と思ってたら最後まで来て、ナルホド、となりました。そういう事だったのね。 という訳でドリーの過去話はちょっと長かったです。それにしても身体の弱っているお母さんにそんな質問して大丈...

図書館で。 正直、ドリーの若いころがナントモな若者なので読んでいて色々つらい感じで…若いってイタイ…と思ってたら最後まで来て、ナルホド、となりました。そういう事だったのね。 という訳でドリーの過去話はちょっと長かったです。それにしても身体の弱っているお母さんにそんな質問して大丈夫なのかな、と思いながら読みました。ま、母も秘密を共有できる存在が出来て少しはほっとしたのかもしれない。 それにしても虐待って怖いなぁ。殺さない程度に何度も何度も暴力を振るわれても発覚しなければ罪にならないってのが怖い話だよなぁ。最初のシーンは日本だったらさしずめ、「…死んだと思ったお富とは、お釈迦様でも気がつくめえ。」って場面ですね。

Posted byブクログ