激変の北東アジア日本の新国家戦略 の商品レビュー
2018部b6月の米朝首脳会談とそれまでの外交プロセスを踏まえ、北東アジアにおける「ポスト冷戦」の姿を構想する。5人の執筆者は全員キャリア官僚出身だが、外務省の大使経験者がいちばんくだらないことを書いているのはさもありなん、という感じではある。執筆者一覧が五十音順でも生年順でも...
2018部b6月の米朝首脳会談とそれまでの外交プロセスを踏まえ、北東アジアにおける「ポスト冷戦」の姿を構想する。5人の執筆者は全員キャリア官僚出身だが、外務省の大使経験者がいちばんくだらないことを書いているのはさもありなん、という感じではある。執筆者一覧が五十音順でも生年順でも執筆順でもなく、「入省年次順」(!)でビックリした。そういう発想をする方々なのですね。 全体を通して感じたことは、この地域で冷戦崩壊後の国際秩序に乗り損ねたのは日本と北朝鮮だったのだ、ということ。金日成政権はロシアも中国も心から信じず、二つの大国を天秤にかけるような駆け引きを繰り広げたが、ソ連崩壊はその条件自体を失わせてしまった。90年代以降の時代は、北朝鮮にとっても「失われた20年」だったわけなのだ。 それでも金正恩政権は、トランプの登場という変化のタイミングを捉え、現在の世界秩序に適合すべく新しい模索をはじめている。一方、日本はどうか? いまだに冷戦の秩序にしがみつき、どうかして冷戦枠組みの中での主要なバイプレーヤーという位置を守るべく汲々としている。まさに想像力が問われる局面で、何一つ具体的な地域秩序の構想を提示できない「貧しさ」を、改めてつきつけられてしまった。
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