発達障害グレーゾーン の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
≪blogに書いたのと同一の内容になります≫ 発達障害の確定診断には至らないものの困り感を抱える、 発達障害グレーゾーンの当事者に焦点を当てた本です。 発達障害グレーゾーンの当事者にとっては 「白黒はっきりしない状況」そのものが落ち着かないだろうし 「発達障害ではないなら、できないのは甘えや怠けなのか」 という葛藤と戦うことになるのだろう、と想像はできます。 発達障害グレーゾーン限定の当事者会というのも、 当事者会というものの良し悪しはさておき 「棲み分け」という意味では良いのかな、と思います。 私は発達障害グレーゾーンではありませんが、 全体的には違和感なく読める内容でした。 ひとつ、疑問に感じたのは、精神科医の見解がまとめられた第4章の記述について。 DSM-5によるASDの診断基準に照らし合わせると、 「社会性の障害」と「コミュニケーションの障害」に当てはまっても 「興味の限局性(こだわり)」には当てはまらないことが多い。 本来、重度のASDで見られる「興味の限局性」とは 「工業機械のカタログや洗剤を大量に集める」といった、並々ならぬものである。 「興味の限局性」が見られない当事者は「コミュニケーション障害」と診断され、 この診断名では障害者手帳が取りにくい。 DSM-5による診断基準が、発達障害グレーゾーンを生んでいる側面がある。 というのがその要旨なのですが、この見解には違和感を覚えます。 そりゃあDSM-5の診断基準を杓子定規に当てはめると そういう診断になる、ということなのだろうけれど 現場ではもっと柔軟に運用されているものではないのかなぁ、と。 現に、私に所謂「普通の人」には見られないような 強烈な「興味の限局性」はありませんが、 「コミュニケーション障害」とは診断されていません。 多分、そこまでの「興味の限局性」がなければASDと診断されないというのであれば 実際に「発達障害」と診断されている人も含め、 かなりの人が「発達障害ではない」と診断されてしまうことになります。 「『興味の限局性』がないのにASDと診断されている自分って」 などと悩むのはバカバカしいので、敢えて考えないことにしますが 「現場では実際にDSM-5をこんなふうに解釈しているのか?」 という点については、大いに気になっています。
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フリーライター姫野桂さんの力作。 タイトル通り、明確に発達障害と診断されない、または診断を受けず、発達障害を公表しない人が、どのような生きづらさを抱えているかを丁寧に追ったルポルタージュ。 著者自身が発達障害の当事者であり、発達障害にグレーゾーンがあることを知る。そこで、本書...
フリーライター姫野桂さんの力作。 タイトル通り、明確に発達障害と診断されない、または診断を受けず、発達障害を公表しない人が、どのような生きづらさを抱えているかを丁寧に追ったルポルタージュ。 著者自身が発達障害の当事者であり、発達障害にグレーゾーンがあることを知る。そこで、本書では彼らのことを「グレさん」と親しみを込めて名付け、ケースステディを6例、軽度発達障害のための当事者会OMgry代表のオム氏への取材など、類書にないコンセプトで、意義の高い本である。 かくいう私自身も、おそらくグレさんであるので、非常に心づいよい本である。著者の姫野さんには、今後も期待したい。
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