平場の月 の商品レビュー
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これは「切ない哀しい」物語です。朝倉かすみ「平場の月」、2018.12発行。人工肛門、ストーマ。渡哲也さんは、腹式呼吸できれいになるまで、懸命にリハビリし、絆創膏を貼って済むようになったそうですが、ストーマは大変なことには違いないですね。青砥健将と須藤葉子、中学以来35年振りに再会。50歳の純愛。ところが、須藤葉子は進行性の大腸癌に。青砥のプロポーズに対して、明るく振舞う姿に、より一層の悲しみが。なんとも寂しい結末に。記憶には残りますが、読み辛かったです。
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せ、切ない…。 結末がわかっているだけに、日付が出て来る度、カウントダウンのような気持ちになってしまい苦しい。 朝霞周辺の街の感じ、まさに。 意地っ張りで、自分を律していたいけど、近づくとタガが外れるのがわかってて心をなかなか開けない須藤。不器用。わかる…。 それでもまっすぐに「どんな須藤でもいいんだよ」と言い続けてくれる青砥の存在は本当に救いになっただろうな。亭主関白になりそうでギリギリフラットでいる感じも今風というか、リアルで好ましい。なだけに、あの時話しだす順番、タイミング、オムライスの出来、ちょっとしたことでこんなことにならなかったのではと思えてならず、その選択が辛い…。もっと甘えていいんだよ、、、 離れている間、何度ラインのブロック解除しようとしただろう、ネックレスを埋めるときどんな思いだっただろう、病院のベッドで、どんな気持ちで日々をかみしめていただろうと考えるだけで、辛い…。 50代が主人公の小説ってあまり読んだことがなく、新鮮だった。色々あるんだな、、、
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以前から文体が好きだ。2人のドライな関係が、だんだんかけがえなのない関係になっていく過程が、男女であるのにカラッと描かれていて好ましい。1年という条件付きとはいえ、どうして手を離してしまったのか。大切だからこそ彼女の意思を尊重しただけなのに、運命は的確にそこを突いてくるなんて。切...
以前から文体が好きだ。2人のドライな関係が、だんだんかけがえなのない関係になっていく過程が、男女であるのにカラッと描かれていて好ましい。1年という条件付きとはいえ、どうして手を離してしまったのか。大切だからこそ彼女の意思を尊重しただけなのに、運命は的確にそこを突いてくるなんて。切ない大人の恋愛小説だった。
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さばさばとした語りのおかげで 最初から死の気配がありながらも じっとりと重くなりすぎずに 最後まで読み切れた。 さらに、余計に 死というものを覚悟しながら 生きていたいという 切実な思いが伝わってきた。 ただ、ふたりが 惹かれ合う理由というか 動機というか 落ちていく切なさが足り...
さばさばとした語りのおかげで 最初から死の気配がありながらも じっとりと重くなりすぎずに 最後まで読み切れた。 さらに、余計に 死というものを覚悟しながら 生きていたいという 切実な思いが伝わってきた。 ただ、ふたりが 惹かれ合う理由というか 動機というか 落ちていく切なさが足りなかった。
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50代を生きる男女(青砥と須藤)の日々の生活感の描写がとても細かくリアリティがあった。(年収まで) とくにストーマ(人口肛門)については、装着されてる方の大変さがよくわかり、他人事とは思えなくなった。 ただ、生活感について細かい割に、須藤の魅力についての描写が希薄で、少し味気な...
50代を生きる男女(青砥と須藤)の日々の生活感の描写がとても細かくリアリティがあった。(年収まで) とくにストーマ(人口肛門)については、装着されてる方の大変さがよくわかり、他人事とは思えなくなった。 ただ、生活感について細かい割に、須藤の魅力についての描写が希薄で、少し味気なさを感じた。
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50年生きてきた青砥、須藤葉子。2人は中学の時からの元男子、元女子で名字で呼び合う仲。50になった時に偶然、出会った。蘇る恋愛感情だが気心知れてる同士だ。やがて須藤のガンがわかる。2人の切ない感情が痛い程わかる。須藤と永遠に会う事がなくなった青砥。これから先、何かにつけ須藤を感じ...
50年生きてきた青砥、須藤葉子。2人は中学の時からの元男子、元女子で名字で呼び合う仲。50になった時に偶然、出会った。蘇る恋愛感情だが気心知れてる同士だ。やがて須藤のガンがわかる。2人の切ない感情が痛い程わかる。須藤と永遠に会う事がなくなった青砥。これから先、何かにつけ須藤を感じるのだろう。
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主人公と私自身とは、生活環境も経歴も年代も異なる。でも、私も人生の終わりを考える年齢に差し掛かってきて、身につまされ、考えさせられるところが多かった。 当作の主人公の年代(50代)以下は、今の70代以上と同じような老後を過ごすことは難しいだろう。コロナ対策と東京オリンピック開催に...
主人公と私自身とは、生活環境も経歴も年代も異なる。でも、私も人生の終わりを考える年齢に差し掛かってきて、身につまされ、考えさせられるところが多かった。 当作の主人公の年代(50代)以下は、今の70代以上と同じような老後を過ごすことは難しいだろう。コロナ対策と東京オリンピック開催にまつわる様々な不祥事で、日本という国のシステムが壊れていたことを目のあたりにしてしまったし。なんだかしんと染み入るような恐怖のようなものを感じてしまった。
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50過ぎて再会した中学の同級生の須藤と青砥の恋愛。これ、若い頃の自分が読んだら、お互いに好きなのに結婚しないとか、ましてや自身の病が進行している中で須藤がとった最後の決断をとても理解出来なかったと思う。 須藤のキャラクターが見事に潔い。決して目を引く容姿ではないけど、彼女の発す...
50過ぎて再会した中学の同級生の須藤と青砥の恋愛。これ、若い頃の自分が読んだら、お互いに好きなのに結婚しないとか、ましてや自身の病が進行している中で須藤がとった最後の決断をとても理解出来なかったと思う。 須藤のキャラクターが見事に潔い。決して目を引く容姿ではないけど、彼女の発する独特の台詞(各章のタイトルにもなっている)には、自分ひとりで困難な人生に立ち向かおうとする覚悟とさみしさが現れている。人に甘えることをよしとしない須藤は、だから甘えさせてくれる青砥との出会いは僥倖というが、人生の面倒を見てもらうのは違うと思ったのか。でも、心のどこかでは青砥が会いに来てくれるのを待っていたのでは。最後の「(青砥に)会わせる顔がないんだよ」がせつない。 実際、世の中には、「青砥」と出会えないまま、孤独の中で、自分を責めながら人生をやり過ごす無数の須藤が存在しているのだろう。自分もそのひとりだ。
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この本をひと言で言うと「しんみり」だ。これを良いと思うか否か。私は残念ながら否になってしまった。50歳で再会した中学の同級生男女。徐々に惹かれ合う2人。しかし彼女には病魔の手が...。とにかくこの中高年の庶民的でカツカツの雰囲気というか、四畳半フォーク的な?世界観がまったくハマら...
この本をひと言で言うと「しんみり」だ。これを良いと思うか否か。私は残念ながら否になってしまった。50歳で再会した中学の同級生男女。徐々に惹かれ合う2人。しかし彼女には病魔の手が...。とにかくこの中高年の庶民的でカツカツの雰囲気というか、四畳半フォーク的な?世界観がまったくハマらず。2人の言動にも若干ジェネレーションギャップを感じ、字を目で追っているだけのような上滑りの読書。あと冒頭でオチ出すよりも、引っ張ったほうが面白かったのではないかな~と個人的には思った。感動できない自分は嫌な人間だなぁと自己嫌悪。
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「ただ真水のように活字を身体に浸透させたいのに、添加物の多い惣菜パンみたいだった」という感想を読了直後に残している。人の生き死にに触れるけれども、その手触りはゴム手袋越しみたいな、輪郭の曖昧なもの。
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