ミラクル の商品レビュー
子どもの一人が重い病を抱えていると、両親はその子にかかりきりになってしまう。茅の外に置かれた子どもは、どんな気持ちだろう。 ミランダがそうだ。 心配、病状を説明して貰えない疎外感、寂しさ、姉に対し時にはイライラし、優しくなれない自分への怒り。 明るくユーモアのあるミランダの語りの...
子どもの一人が重い病を抱えていると、両親はその子にかかりきりになってしまう。茅の外に置かれた子どもは、どんな気持ちだろう。 ミランダがそうだ。 心配、病状を説明して貰えない疎外感、寂しさ、姉に対し時にはイライラし、優しくなれない自分への怒り。 明るくユーモアのあるミランダの語りの中に、時折見える痛々しさが辛い。 「不可能だと思われていることを、それでもなお想像できるとき、それを奇跡という」 ミランダがしたことは、空想の世界の地図を作り始めたこと。ミランダは、姉を連れて行きたかったのだ。 奇跡を信じたのだ。
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病気の姉を持つミランダが、家族の問題や学校での友人関係に対し自らの想像力でぶつかっていく物語。 とはいえ、ミランダはまだ子どもである。周りもミランダを子どもとして扱い、大事なことは何も教えてくれない。物語は常にミランダに寄り添って展開されるためミランダの知らないことは読者も知る事...
病気の姉を持つミランダが、家族の問題や学校での友人関係に対し自らの想像力でぶつかっていく物語。 とはいえ、ミランダはまだ子どもである。周りもミランダを子どもとして扱い、大事なことは何も教えてくれない。物語は常にミランダに寄り添って展開されるためミランダの知らないことは読者も知る事がない。 自分では何もわからないところで、自分の大事な人に何か大変なことが起こっている。それだけ理解できるミランダに出来るのは自分の想像力で世界を変えることだった。世界は自分の見たいように存在しているし、捉え方で世界を変えることができる、のかもしれない。 ミランダはまだぬいぐるみのクマとお話できる年齢なので現実と空想の境界があやふやなところもある。最後のシーンも、ミランダの想像なのか現実なのか区別できなかった。 物語にあまり起伏はないが、ミランダは想像力と感受性でもって日々を受け止めている。きっと優しい子のまま成長するのだろうなとつい親目線で見てしまった。負けん気が強いところも、まあかわいい。 冒頭には詩の引用があり、翻訳は柴田元幸さんのものがあてられている。この詩がとても良かった。児童書にナンセンス詩を持ってくる作者のセンスもすごいと思ったが、アリスも児童書か。
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