炎の色 の商品レビュー
「天国でまた会おう」の続編。エドヴァールの姉、マドレーヌが主人公。「天国でまた会おう」の終わりでは、夫プラデル元中尉との関係など、マドレーヌはこれからどうなるのかなあ、と心配。が、案ずることはなかった。以外に打たれ強いマドレーヌだった。 1927年から1933年、第一次世界大戦...
「天国でまた会おう」の続編。エドヴァールの姉、マドレーヌが主人公。「天国でまた会おう」の終わりでは、夫プラデル元中尉との関係など、マドレーヌはこれからどうなるのかなあ、と心配。が、案ずることはなかった。以外に打たれ強いマドレーヌだった。 1927年から1933年、第一次世界大戦後のちょっとの間の休息から、しかしまた恐慌やナチスの台頭など、社会は激動の時代へ。その時代のなかにルメートルによって散らされた人々が生を生きる。正直者、悪者、怠け者、みんなしたたか。 冒頭はマドレーヌの父の葬儀。そう、銀行家の父が死んだことでマドレーヌは深窓の令嬢ではいられなくなる。相続した財産をめぐり、親戚や銀行周辺の人々が魔の手を伸ばす。「天国でまた会おう」でもマドレーヌとプラデル中尉の結婚で、マドレーヌが意外にも冷めているところが描かれていたが、マドレーヌは折々につけくじけない。この打たれ強さが小気味いい。 そしてマドレーヌの息子ポール。祖父の葬式時には7才になっていたが、なんと家から出立する葬列の棺桶に3階から飛び降り激突、半身不随となってしまう。この理由は最後の頃に明かされるのだが、このポールもくじけないのだ。これはマドレーヌの弟エドヴァールが戦地で顔面を無くしても芯ではくじけなかったところに重なる。そして一発逆転である企みを考えるところもエドヴァールを受け継いでいるところがおもしろい。 エピローグによってその後のそれぞれの人生も知らされる。ゆるい勧善懲悪的な道のり。 2018発表 2018.11.20初版 図書館
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ピエール・ルメートル 4作品目。 「天国でまた会おう」の続編。エディアールの姉・マドレーヌ・ペリクールの華麗なる復讐劇。 第2章 扉のエピグラフ「神々が大いに楽しむため、英雄は高みから落ちねばならない」が、Good。 続編とのことですが、前作の登場人物の葬儀から始まる。基本的に別の物語。 主人公マドレーヌが、落ちぶれてゆく姿は、かつてバブル崩壊時の日本中の投資家のようで、ぞっとした。このとき、世間では、”自己責任”という免罪符が流布し混乱を避けた。きっと、フランスでも同じだったのではないか?と。ただ、「新聞が嘘のニュースを」は、大本営発表と同じことを指しているのだろうか。 怖い世の中だ。 復讐劇は、作戦が安直のように感じたのは、なぜだろう。恐らく、レオンスを前半も後半も手先のように、使い過ぎていたからかもしれない。特に重婚をネタにして、そこまでやらせるか?と感じる。ただ、「二人目の夫とその財産、一人目の夫と自由。一番価値があるのはやっぱり自由だと思う」が、フランスらしいかもしれない ただ、ポールに対する復讐を行う時、「あなたのモラルは、これを認めているんですか?」に決意を示すマドレーヌの姿は本物だと。
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やっぱり外れない 大どんでん返しだとも思わなかった 気になっていたポール・・・ 三部作らしいけど ちょっと雰囲気違います
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「その女アレックス」が有名なピエール・ルメートル。 ミステリではない「天国でまた会おう」の三部作、その二作目になります。 1927年、パリ。 大実業家ペリクールが亡くなり、長女のマドレーヌが後を継ぎます。 ところが葬儀の日に、マドレーヌの息子ポールが3階から転落して大けが。 看...
「その女アレックス」が有名なピエール・ルメートル。 ミステリではない「天国でまた会おう」の三部作、その二作目になります。 1927年、パリ。 大実業家ペリクールが亡くなり、長女のマドレーヌが後を継ぎます。 ところが葬儀の日に、マドレーヌの息子ポールが3階から転落して大けが。 看病に必死になったマドレーヌは、重役らに財産をだまし取られてしまい… お嬢様育ちで立ち居振る舞いは優雅だが、他にはとくに取り柄がない平凡なマドレーヌ。 どういうことだったのかを理解した時、復讐を決意。 元夫の部下デュプレを味方に、策を練っていくのです。 第一次大戦後のヨーロッパの情勢を背景に、胸のすく復讐劇。 ルメートルの作品としては、特異な残酷さが少ない方かな…これでも(笑) ポールの看護師ヴラディや、ポールの救いとなったオペラ歌手ソランジュ・ガリナートとの交流など、魅力あふれる登場人物が印象に残ります。 障碍を負って弱々しく思える存在だった少年ポールも、次第に才能を発揮していきます。 そして、意外な?ハッピーエンド! 三作目にも期待しています☆
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第一次大戦後のフランス。1927年パリの大実業家が亡くなる。後を継いだマドレーヌの壮絶な人生がスタート。側近の裏切りにより、無一文になる。障害を持つ一人息子と壮絶な復讐劇。敵役を含め全ての登場人物が、生き生きと描かれている。 息子ポールが憧れるオペラ歌手、ソランジュ ガリナート。 大活躍する元夫の部下、デュプル。 フランス語をしゃべれないポールのポーランド人の看護士、ヴラディ。 「天国でまた会おう」の続編。
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三部作の続編と言うことだが、登場人物や歴史的なつながりがあると言うだけで前作を読んでいなくても楽しめる。 主人公の復讐が後半えげつなくなってきて楽しめた。 ただうまく都合よく行き過ぎるところはある。
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「天国でまた会おう」の続編。 その後のペリクール一族の5年間の物語でした。 前作が大河小説であるのに対し、こちらは一族の没落と復讐がテーマとなっていて、この時代のフランスの背景も勉強になりますが、この後の第二次世界大戦に向かうヨーロッパを背景とした更なる続編に期待したいところです。 復讐される側、復讐する側にもそれぞれの良いところもあるのですが、自業自得、因果応報という感じだと思います。 ただ、どの登場人物にも感情移入ができず、強いて言えば、ポールとデュプレに好感が持てました。
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「天国でまた会おう」の続編。3部作の2作目。570頁ものボリュームを誇る大作です。 この作者の入り口は「その女アレックス」なんですが、カミーユ警部3部作も凄く良かったので今回も期待しました。 そして期待を裏切らない面白さです。 今作はちょうど半分を過ぎた辺りで早くも復讐劇が始まり...
「天国でまた会おう」の続編。3部作の2作目。570頁ものボリュームを誇る大作です。 この作者の入り口は「その女アレックス」なんですが、カミーユ警部3部作も凄く良かったので今回も期待しました。 そして期待を裏切らない面白さです。 今作はちょうど半分を過ぎた辺りで早くも復讐劇が始まります。つまり前半でとことん主人公は落ちぶれて、後半は真っしぐらに逆襲するのです。 爽快感は格別です。 マドレーヌを陥れた男達はことごとく社会的に抹消されて、ポールを辱めた男は現実に抹消されてしまいます。この辺は復讐と言うより必殺仕置人のよう。(股間に粉石灰をまぶしたら死ぬのか?) 片棒を担いだ女にはなんだか優しい結末、使い捨てにはしますが、最後に餞別をあげちゃいます。この復讐の度合いが微妙に違うところがマドレーヌの心情を如実に物語っています。登場人物は多いですが、例によって外観から内面まで細かい描写があるので、なんとなく人物像が浮かんできてしまいます。前作同様、最後に主人公を囲む人々のその後を語るところが面白い。 ヴラディのその後なんて最高。前作では脇役だったデュプレは最後まで美味しい役回り。 最後の最後まで楽しめる一冊でした。 続編はなんと「天国でまた会おう」では12歳だったルイーズが主役。 第二次世界大戦の最中から戦後が描かれるんだろう。今から楽しみ!
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