映画はいかにして死ぬか 新装版 の商品レビュー
原著は1985年刊行だが、2018年刊の新装版を見つけたので購入。久しぶりのハスミ節を堪能した。初出一覧を読んで、この本のもとになった講演の一部が、ご近所の東駒形コミュニティ会館で行われていたことを知り、なんというか、無性にうらやましくなってしまった。 それにしても、このひ...
原著は1985年刊行だが、2018年刊の新装版を見つけたので購入。久しぶりのハスミ節を堪能した。初出一覧を読んで、この本のもとになった講演の一部が、ご近所の東駒形コミュニティ会館で行われていたことを知り、なんというか、無性にうらやましくなってしまった。 それにしても、このひとの記憶力というか注意力というか、画面を捉える把捉力にはほんとうに敵わないと思う。しかも本書は、いかにもハスミ的な細部の復権に加えて、映画を監督と国籍から解放すべく、映画の歴史を語る際には往々にして抑圧されたり後景化されたりしてしまう、メディアとしての映画を横切った人々の名前が印象的に呼び返される。「幾多の外国の亡命者の才能を食い潰してハリウッドは崩壊してゆくのです」という一言は、ひどく重たい。 歴史意識とは、自分の前に何があり、自分がどんな過去の積み重ねの上に立っているかを自分なりに捉え返すことである。そんな当たり前のことを、しみじみと啓蒙してくれる一冊。やはり蓮實重彦はひとかどの教師である、と改めて思わされる。
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同時復刊の2冊目。こちらは講演録が主になっている。 書き言葉も魅力だが、話し言葉(書籍になっているので、こちらも書き言葉であるとも言えるのだが)も独特の魅力がある。 この、褒めているのか貶しているのか、一見すると解らない語り口調というのは、一度、生で聞いてみたくもあるw 内容とは無関係だが、新装版の『あとがき』が入れ替わってしまったというのはちょっと笑ってしまった。これ責了にした編集者、目の前が暗くなったんじゃないだろうかw ああ、心臓に悪い……。
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