男たちの船出 の商品レビュー
うーむ、いわゆる戦闘のない、だけどぎっちり戦いのドラマ。 世代間の戦いであったり、海との戦いであったり。 海洋ものはやはり面白い。 老いた頭の思いに共感するところも、物凄くあった。 だけど、幸せになって欲しかった人物がそうでなかったり、最後が若干しりすぼみ感があったのが残念...
うーむ、いわゆる戦闘のない、だけどぎっちり戦いのドラマ。 世代間の戦いであったり、海との戦いであったり。 海洋ものはやはり面白い。 老いた頭の思いに共感するところも、物凄くあった。 だけど、幸せになって欲しかった人物がそうでなかったり、最後が若干しりすぼみ感があったのが残念。 残念といえば、表紙が怖すぎるのであった。
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2019.12.26 親父が最後に力を出していく姿が良いねえ。七兵衛さんの本は読んでたから親しみがありながら、やはり大きな男だという思いが強くなった。
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まっすぐな歴史小説。愚直な江戸時代の職人を中心とした話だが、話に出てくる通り、大型船の登場は歴史の転換になった部分もあるのだろう。 職人とともにある商人の大きな展望も含め、かっこいい男達の話だった。後半にサラッとでてくる、「男達の船出だ」のシーンにしびれた。
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江戸時代の船大工の話。一流の大工頭だが、老いを感じ自分の居場所が分からなくなっていく父親と、半人前でも新しい挑戦をしたい息子。2人の葛藤を中心に、渋く、熱いドラマが展開します。
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- ネタバレ
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著者、お初。 確か、日経夕刊(木曜)の書評欄で見て、けっこう絶賛されていたので図書館に予約いれてたもの。そこそこ待たされた人気作品のようだ。久しぶりに痛快で迫力と舟足の速い(スピード感のある)歴史小説だった。 江戸の初期の都市興隆による庶民の消費社会を支えるため、海運の発展を企図した大型輸送船(千石船)の造船に絡むお話。中心となるのは、瀬戸内の船大工一家。頭の嘉右衛門、息子の弥八郎の父子。その愛憎と絆と、船大工の意地と執念で日本海は佐渡沖の冬の海に挑む実に男臭い物語。 あらすじや、作者の意図などは、著者公式サイトに丁寧に記されている(https://itojun.corkagency.com/works/otokotachi/)。 表紙の絵は、おそらく齢50を越えた嘉右衛門の風貌だろう。この嘉右衛門を中心に話が始まるが、政商の河村屋七兵衛(後の河村瑞賢)からの大船造りの依頼を嘉右衛門が断ったあたりから、息子弥八郎の物語へと移っていく。父と袂を分かち、大阪から佐渡へ渡り、前代未聞の千石船造りに若き情熱を注ぎ才覚を発揮してゆく。一方その間、嘉右衛門は老いを加速させ、現場で疎まれ、いわゆる「老害」を晒してゆくことになる。引き際、世代交代の難しさなど、妙に身につまされる話が展開していく。 弥八郎の挑戦は如何に?! 老兵はこのままただ消え去るのみか!? なかなか後半は予想を超えた展開となりページを繰る手が止まらない快感を久しぶりに味わうことになる。 予想を超えた展開と言ったが、いたって王道のストーリーでもある。妙な時間のいったり来たりもなく、司馬遼太郎的な歴史蘊蓄の羅列は少なく、佐渡の棟梁清九郎や、河村瑞賢など実在の人物は登場するが、徹頭徹尾嘉右衛門一家、父子の物語にフォーカスされていて実に読みやすかった。 著者はビジネス経験も長い。IBMなど外資系企業を経てコンサル業にも携わっていたらしい。それゆえか、仕事の進め方、事の成就になにが肝になるかなど、ビジネス書で語られていそうなことも、さりげなく物語展開や会話に滲ませるなど、なかなか巧い。 修行の身である弥八郎に指南する河村七兵衛は、なんなら著者の代弁者であろう。こんなアドバイスを弥八郎に送る。 「他人様に最高の仕事をしてもらうには、まず、お前さんを受け入れてもらわねばならない。それが半年でできるか、十年かかるかはお前さん次第だ。」 実家を飛び出し、大阪の職場で馴染めなかった弥八郎は心を入れ替え、佐渡の造船所で成長してゆく。 あるいは新しい千石船の差図(設計図)のアイディアが浮かばなかった嘉右衛門には、 ― そうか。わいらが戦う相手は海じゃなかったんだ。わいらの相手は、凝り固まった思い込みだったんだ。 と呟かせ、造船技術に革新をもたらす。これは、読者に対し、固定観念を打破しイノベーションを促す示唆となっているのだろう。 上記のサイトを見ると、「人という生き物は、変化を受け入れ難いものです。とくに年を取るほどに、それまで成功体験に固執し、新たなことに挑戦することに消極的になります。」と記されており、本作品を通じて著者が表現したいことは明白だ。 いろんな点で分かり易く、読みやすい作品だった。 惜しむらくは、そうした示唆に富んだ作意を表し切れていないタイトルと装丁か。確かに男くさい物語でもあるのだが、あまりに劇画調の暑苦しい顔のドアップと負けず劣らずのムサ苦しタイトルは、ややマイナスではなかろうか。というか、もっと良いタイトルがあるような気がしてならない。 さて、本作では、黒幕というかフィクサー的立場で日本中を飛び回る河村七兵衛(瑞賢)であるが、この男の一代記を描いた『江戸を造った男』という作品も著者は本作の前にものしている。本作でも魅力的に描かれている河村七兵衛であるが、『江戸を~』の方でもおそらく経済、商工業という一面からこの歴史上の人物の実像を浮かび上がらせているのだろう。興味が湧いたので、そちらもそのうち読んでみようと思う。
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真っ直ぐな男たちの話。正解なんてない世の中だけど、卑怯なことはせず、信じた道を真っ直ぐに生きていきたいと思う。辛いこともいっぱいあるだろうけど。
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千石船を生み出した瀬戸内、塩飽の船大工の物語であり、父と息子の物語ともなっています。伊東潤氏の海モノは「鯨分限」や「巨鯨の海」でもわかるように、海の描き方の迫力がすごい。特に出身地である佐渡の海が後半の舞台になっていて、実感とリンクした描写が息苦しくなるほどだった。佐渡の子供のた...
千石船を生み出した瀬戸内、塩飽の船大工の物語であり、父と息子の物語ともなっています。伊東潤氏の海モノは「鯨分限」や「巨鯨の海」でもわかるように、海の描き方の迫力がすごい。特に出身地である佐渡の海が後半の舞台になっていて、実感とリンクした描写が息苦しくなるほどだった。佐渡の子供のために、島内全校の図書室にこの著作を置いてほしいものです。
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話は分かりやすくて面白い。涙ぐむところもある。喜右衛門はもうダメな男になったのに、見事に復活するギャップが有りすぎでちょっと不自然。それに七兵衛って何者?もう少し説明してほしかった。
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大きな船を作って、物流を良くする。江戸時代の商人と船大工の物語。 江戸幕府の経済を支えたのは、武士だけじゃないと思いました。
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舞台は江戸時代前期。逆境のなか未来への道を拓くため、千石船造りに挑む船大工たちの壮絶な一生を描いた骨太な読み応えのある作品。
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