会計の世界史 の商品レビュー
知的興奮を覚えた。簿記から管理会計、ファイナンスへ。起点となっている国がイタリアってのも面白い。そして、会計の歴史が産業の発展を支えたことがとても面白い
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会計の本と言うよりも、世界史の本と言うべきだろう。 簿記が中世イタリアで生まれ、株式会社の誕生によりオランダで発展する。 ここまでの会計は自分のための会計。 産業革命で、イギリスでは鉄道・工場などの固定資産が増加する。ここで減価償却の概念が生まれる。 その後アメリカにわたり、...
会計の本と言うよりも、世界史の本と言うべきだろう。 簿記が中世イタリアで生まれ、株式会社の誕生によりオランダで発展する。 ここまでの会計は自分のための会計。 産業革命で、イギリスでは鉄道・工場などの固定資産が増加する。ここで減価償却の概念が生まれる。 その後アメリカにわたり、IFRSに発展する。 産業革命以降の会計は他人(投資家)のための会計
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「会計の全体像を歴史と共に楽しく学べる」ことを目的とし、書かれている。 内容としては以下の通り、とても会計の話しとは思えないほど多岐にわたって、面白く書かれている本書。 ・大航海時代に香辛料が人気だった理由 ・中世キリスト教は「時間は神のもの」という理由で利息を禁じていた、それ...
「会計の全体像を歴史と共に楽しく学べる」ことを目的とし、書かれている。 内容としては以下の通り、とても会計の話しとは思えないほど多岐にわたって、面白く書かれている本書。 ・大航海時代に香辛料が人気だった理由 ・中世キリスト教は「時間は神のもの」という理由で利息を禁じていた、それに対して利息を取った言い訳 ・メディチ家の「Stay out of Public Eye」という教え ・会計本にコカコーラやビートルズが出てくる訳は? 筆者も巻末に書いていたが、あらゆることが「普遍的・絶対的な存在ではない」ことを知ることができた。 本書で今の会計の制度や成り立ちを知ることによって、今がまだ変遷の途中、完結していないことを知ることができて、少し上の視点から会計の目的や、会計への接し方を考えるきっかけがもらえた本書。 しかもそのきっかけに色々なトリビアや歴史的に面白い話も交えて書いてくれている労力に感謝。 すぐに何かに役立てたい、というよりもっと大切な視点や考え方をもらえる本でした。
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新年あけましておめでとうございます(今更)ことしもどうぞよろしくお願いします。 そして、今年もたくさんの本を読んでいきたいと思ってます。 * * * * 今、政治の世界では緊縮財政派と積極財政派の2局に別れていて、水面下での戦いが起こっていますね。前者は国を...
新年あけましておめでとうございます(今更)ことしもどうぞよろしくお願いします。 そして、今年もたくさんの本を読んでいきたいと思ってます。 * * * * 今、政治の世界では緊縮財政派と積極財政派の2局に別れていて、水面下での戦いが起こっていますね。前者は国を家計にたとえ、借金が増えるからだめだといい、後者は国を会社にたとえ、資産とのバランスで見ることの重要性を説きます。会計学の知識は後者が正しいことを示していますが、会計学という学問を教養として学ぶ機会は少ないです。本書は公認会計士である著者がセミナーで話した「歴史の小ネタ」の評判が良かったことから、会計学の歴史を、一つの本にまとめた本です。有名な絵画や音楽の発展を通じて各時代の歴史的な背景が語られ、そのときの経済状況を説明する、という流れで進行し、面白く読めるように工夫されています。 本書を読むと、銀行のはじまりであるイタリアから出発して、ビジネスの形態に応じて、いわば、「そうする必要性にかられて」会計のやり方がアップデートされてきたことが伺えます。 ある企業がうまくいっているかどうかは企業の財務状況を把握しなければ判断できず、それゆえ、財務状況の公開という流れが生まれました。国もそういう意味では粉飾なく広く公開、周知する必要があるかと思いますが、なかなか一筋縄では行かないみたいです。 最後に、著者は、「のれん」の重要性について説きます。企業価値は単純に健全性のみでは語れない部分もあり、どのように次世代に「価値」がのこせるか?と問いかけています。 わたしが考えるところ、その価値は多様な考え方の中から生まれてくるものかと思います。つまり、自由な発想を生み出せる土壌、またこれを制限しないような仕組みが大事かと思います。
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①銀行革命 イタリア トビアスと天使 船乗りリズカーレ(リスク)とバンコ(バンク=銀行) キャッシュレス(為替手形取引) キリスト教は利息(ウズーラ(ユダヤの金貸し))禁止 利息ではないという屁理屈を捏ねて融資 「それを他に使えば得られたであろう儲け」、「失われたチャンスの補償」→インテレッセ(interest=利息) 事業拡大→各支店での記録、他支店への連絡が必要→簿記生まれる 毛織物から綿織物へ→紙(ボロ布由来)が増える→記録用紙 ②簿記革命 イタリア コジモ・デ・メディチ メディチ・ホールディングス(本部だけでなく各支店の支配人もその支店に出資、支配人に経営を任せる代わりに帳簿はしっかりつけさせる)→持株会社のルーツ ローマ教皇とのパイプ 世間のウズーラに対する疑問が大きくなる→その他キリスト教の教えに対しても疑問→ルネサンス運動へ ヴェネツィア→ファミリー組織 フィレンツェ→仲間組織 ③会社革命 オランダ 絵画:注文財(協会、君主)→市場取引財(市民) (服:注文生産→既製品生産) レンブラントの夜警→警備隊の火縄銃組合から依頼(割り勘で注文?) アムステルダムにヨーロッパ中の商人集まる(プロテスタント、カトリック、ユダヤ…) 市場取引財→絵画、チューリップ、株式 オランダ東インド会社→初の株式会社 アムステルダム→初の証券取引所 ロッテルダム会社ヨーフデ号豊後に漂着 ヤン・ヨーステン→耶揚子(やようす)→八重洲 ウィリアム・アダムス→三浦按針(あんじん) オランダ東インド会社(voc)→7社合併(ロッテルダム会社含む) イギリス東インド会社→当座企業的、マーケティング成功(お茶に砂糖とミルクを入れる飲み方を提案) オランダ東インド会社→継続企業的 インド各地に拠点、軍隊、貨幣鋳造→会社というより国家 ヴェネツィア→家族・親族 フィレンツェ→仲間 オランダvoc→株主(ストレンジャー) バランスシートの右下に株主(資本)が登場 遠洋航海はハイリスクハイリターン(沈没の危険)→無限責任では出資募るのが難しい→有限責任制度→所有と経営の分離 ④利益革命 イギリス ロンドン大火 木材不足→石炭発見→炭鉱の排水ポンプとして蒸気機関発明→産業革命 世界初蒸気機関車運転の日=世界初鉄道死亡事故の日 鉄道会社→固定資産が多い株式会社の資金調達・運用の実験→財務会計、管理会計 写真の登場→静止画的な絵画から躍動感を閉じ込めた絵画へ(写真では表現できない) 借入制限→資本集める必要あり→株主に毎年配当出す必要あり→設備投資が大きく、出資時期の差による利益の差が大きくなる→減価償却の発明 家系的な収支(現金主義会計)→収益-費用=利益(発生主義会計)→黒字倒産(利益は出ているのに現金がない) ⑦標準革命 アメリカ イギリス→まっすぐな線路(土地が狭い、土地代高い、山を削る) アメリカ→曲がりくねった線路(土地が広い、土地代安い、山を削る必要なし&人件費高い) 鉄道会社の合併→連結決算 線路、時間→イギリス標準 製造業の標準化→アメリカ製銃(互換部品制)→アメリカ式生産システム(素人でもできる) 組織的怠業の解決に向けて→科学的管理法(差別的賃金制度) 外部報告の財務会計、内部利用の管理会計 資本の論理(バランスシートの右下を握ったヤツが強い) ⑨価値革命 アメリカ 原価主義vs時価主義 買収→19世紀ライバル潰しコスト下げ、20世紀前半権利入手、20世紀後半隠れ資産入手 ファイナンスの考え方(将来キャッシュフローの見積もり→企業価値)誕生 イタリア・オランダ時代→帳簿をつくる イギリス・アメリカ時代→決算書を読む アメリカ・グローバル時代→未来を描く
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振り返れば大陸横断鉄道が完成し大量生産がはじまった19世紀後半、 カーネギーやロックフェラーたちは「規模」を目指しました。続いて企業規模が拡大し、多角化がはじまった20世紀前半、デュポンは「効率」を目指すようになりました。そしてビートルズが登場した情報化時代の20世紀後半、こん...
振り返れば大陸横断鉄道が完成し大量生産がはじまった19世紀後半、 カーネギーやロックフェラーたちは「規模」を目指しました。続いて企業規模が拡大し、多角化がはじまった20世紀前半、デュポンは「効率」を目指すようになりました。そしてビートルズが登場した情報化時代の20世紀後半、こんどは「価値」が経営のキーワードになりました。 企業価値志向には「規模から効率」の段階でいったん縮みがちになった経営を、「効率から価値」への転換によって拡大・成長路線に戻そうという意気込みが感じられます。そのためには短期的な売上・利益重視の"古い常識"を捨て、未来の将来キャッシュフローを増やす努力をしなければなりません。
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会計の世界史/田中靖浩 日本経済新聞出版社 この本について 「会計ギライ」の方を悩ませる、数字及び複雑な会計用語は一切出てきません!「世界史ギライ」の方をげんなりさせるようなよくしらないカタカナの人や、細かい年号も殆ど出てきません!登場するのは偉人、有名人ばかりで、冒険、成功、陰謀、企業と買収など波乱万丈な沢山の「知られざる物語」が展開されています。3部構成でイタリアからオランダを舞台にした「自分のため」の会計、イギリスかアメリカを舞台にした「他人のため」の財務会計、アメリカを舞台にした「自分のため」の管理会計、ファイナンスという流れで話が構成されています。 歴史のツアーような感覚で、楽しく会計の世界史を学べる一冊です! 選んだ理由 前期の高橋史郎先生の財務会計演習の授業の教科書として扱われた本で、面白い内容だったので選んでみました!このゼミのテーマは企業行動研究ですが、教授は会計学のプロなのでいとかつゼミのゼミ生として最低限会計の知識を入れておくのは必須かなと思いました。(このゼミで知識が十分じゃないのは私だけだったらすみません
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おもしろい! 簿記の始まり、減価償却の始まり、原価計算の始まりなど、世界史のなかで分かりやすく教えてくれます。会計の世界史です。 それだけでなく、銀行の始まり、株式会社の始まり、会計監査の始まりなど、会計が必要とされた背景や、監査が必要になった理由なども、世界史の流れの中で捉える...
おもしろい! 簿記の始まり、減価償却の始まり、原価計算の始まりなど、世界史のなかで分かりやすく教えてくれます。会計の世界史です。 それだけでなく、銀行の始まり、株式会社の始まり、会計監査の始まりなど、会計が必要とされた背景や、監査が必要になった理由なども、世界史の流れの中で捉えることができます。 とてもおもしろい1冊でした。
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視点は面白い。マンガ版も出た。「帳簿の世界史」が原典かややパクリ? 国家経営の視点で帳簿をとらえたジェイコブソール氏に比べると、本書は荒っぽい。和書全般に言えることだが、索引がないのも手抜きに見える。 「複式簿記」は権力の暴走をチェックするツール 受け入れない権力者は反民主の暴...
視点は面白い。マンガ版も出た。「帳簿の世界史」が原典かややパクリ? 国家経営の視点で帳簿をとらえたジェイコブソール氏に比べると、本書は荒っぽい。和書全般に言えることだが、索引がないのも手抜きに見える。 「複式簿記」は権力の暴走をチェックするツール 受け入れない権力者は反民主の暴君 日本の公会計も単式簿記だ! 国民に複式簿記を徹底しないのも問題と思う
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会計本は数あれど、歴史に焦点を当てるという新しい視点の一冊。 決して小難しい事が書いてあるわけではなく、ストーリーとして会計の歴史が学べる。
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