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江戸無血開城の深層 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2021/01/04
  • ネタバレ

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聡明で知られた慶喜ですが、自らの出自には、とらわれていました。自分の母親が皇族である。つまり天皇の親戚だと言うことで、他の兄弟たちよりも高い位置にあると言う意識を持ちます よく徳川慶喜は、徳川幕府15代将軍、最後の将軍と呼ばれていますが、実は私は、京都幕府の初代将軍と言うべきでだと思っています 民主的な議会を作ることで、国民各層の中を結集する。それこそが、欧米と肩を並べる国づくりの基本であると、西郷は考えていたわけです 戦いが長い長引けば、西郷軍を見る周囲の目も変わってきます。あの西郷が率いる軍勢に寄せられる期待は徐々に薄れ、やがて、政府に逆らう賊軍を見る視線に変わってきます 歴史にifは必要です。ifを考えない歴史は役に立たない歴史になりがちです 歴史とは、過去の出来事を興味本位に拾い上げ、記録する営みにとどまるものでは決してありません。人生や社会を正しく運用していくための知識を集積し、必要に応じて引っ張り出せるレファレンスでなければならないと思います

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2020/07/20

歴史書でここまで面白いものはなかなか無いと思う。 江戸の無血開城、西南戦争、篤姫。。。 なんとなく日本史で見たなぁというキーワードを、史実と沢山の資料を読み解くことで鮮やかに、生々しく描く磯田先輩は、凄い!

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2020/06/13
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幕末維新を4つの事件を著者独自の視点で分析した一冊。  慶喜の大政奉還、  勝海舟の無血開城、  和宮と天璋院の嘆願、  西郷の西南戦争。 NHKの「英雄たちの選択」という番組を本にまとめたものだが、彼らはそれぞれ他にどんな選択肢があったのかを検討して行くが、それぞれの事件に関して専門家の意見も交えて、「歴史にもしもはない」という理論を超えて、「もし別の選択をしたらどうなったか」検討を進めて行く。 無血開城に関して、山岡鉄舟が再評価されている中、著者は最終的にはやっぱり勝ー西郷会談が決定的であったという立場をとっている。

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2018/12/30

特に目新しい新事実はないが、最新の情報でアップデートされた幕末本。西南戦争で鹿児島の判事が停戦要望を明治天皇へ出したという、新資料も掲載されているが天皇へは届かず事態への影響はまったくない。司馬遼太郎本を読んだあとに、小説から歴史の世界にもどるのに良いかも。

Posted byブクログ

2018/12/03
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NHK英雄たちの選択 BSプレミアム 毎週木曜日午後8時 8F210.5エ 安政年間で日本の行く末を描けたのは横井小楠と橋本左内のみ。 徳川慶喜の再評価。東北を見捨てた勝海舟。

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2018/09/20

磯田さんの本はとても読みやすい。しかも、それは史料を充分読んだ上での記述だから説得性がある。江戸無血開城は勝と西郷の談判によると言われているが、まえに「篤姫」がNHKで奉じられたときは、彼女が大きな役割をしていると述べていた。いったい、なにが事実なのか。磯田さんは篤姫以外に大御所...

磯田さんの本はとても読みやすい。しかも、それは史料を充分読んだ上での記述だから説得性がある。江戸無血開城は勝と西郷の談判によると言われているが、まえに「篤姫」がNHKで奉じられたときは、彼女が大きな役割をしていると述べていた。いったい、なにが事実なのか。磯田さんは篤姫以外に大御所にいた、公武合体の「犠牲者」皇女和宮も江戸無血開城にかかわっていたという。しかし、最も大きな力となったのは西郷と勝の談判である。西郷はある時期からかなり戦闘的になっていた。それは、徳川慶喜の処遇やのちの奥州連合に対する執拗な攻撃に現れている。坂本龍馬などは慶喜を新政権の一員にしようと考えていたようだが、西郷や大久保はあくまで排除しようとした。西郷と勝の談判ではそれも大きな課題であったが、一番の課題は江戸をどうするかであった。そして、そこで勝が最後にうった手は、江戸を焼き払うという案であった。江戸を焼き払えばもちろん民は困るが、そこにはイギリスの思惑もあった。つまり、江戸を焼き払われれば横浜での貿易がなりたたなくなる。そこで、イギリスはこれを阻止しようとした。さらに、江戸が焼き払われれば、その後の明治政府のインフラも大きく遅れ、日本の近代化の歩みも遅いものになる。このようなばくちが打てる勝はさすがに大物である。本書では、慶喜が戦争をする気になれば、西郷を仕留められたのにしなかった「英断」も評価する。慶喜は決してぼんくらな将軍ではなかったと。実際、当時の幕府の海軍は薩摩などにはるかに飛び抜けた力を持っていたのである。

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2018/11/27
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NHK「英雄たちの選択」の放送の中から、「江戸無血開城」に関連する4回分の放送とそれに著者が加筆し、再構成したものです。 主要な登場人物は、徳川慶喜、勝海舟、和宮、篤姫等です。そして最後は勝利者であったはずの西郷はなぜ非業の死を遂げたのか・・・というテーマで切り込んでいます。 幕末の時代に対して、私が予てから持っていた疑問は、 ①幕府は外国に対して開国するにあたり、禁じ手である天皇の勅許を必要としたのか? ②鳥羽伏見の戦いに敗れた後、徳川慶喜は何故いとも簡単に政権を放り出したのか? ③勝海舟は元々の直参旗本でもないのに、何故老中格となりえたのか? ④西郷や大久保は下級武士なのにどうして、藩政を動かし得たのか? 上記の疑問に対して、例えば②に関して、江戸幕府最後の将軍徳川慶喜は「大政奉還」をし、鳥羽伏見の戦いで敗れると、大阪から江戸へ逃げ返った「アンチヒーロー」として受け取られています。 しかし最近の研究では、慶喜の実像や慶喜が率いる政権の持つ意味合いが明らかになってきて、その政治手法が再評価され、慶喜なくして明治維新は実現しなかったことが分かってきました。詳細は・・・ いろんな分野の専門家が集まり、最新の歴史研究を踏まえて、上記の私の疑問に答えるような解が散りばめられています。 また、この本ではなく最近の放送でしたが、上記④の解として「小松帯刀」の再評価の放送もありました。 歴史に興味のある方には、是非お薦めいたします。

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