ポイズンドーター・ホーリーマザー の商品レビュー
私自身、学生時代、自分の母親を毒親だと嘆き、色々な人にいいふらす節があった。また、物語に出てくる過干渉な母親と、自分の母親が重なる部分が多々あり、最初は主人公(娘サイド)に感情移入していた。 しかし、物語の後半、うってかわって、母親サイドからの話となり、母親の気持ちに気付かされ...
私自身、学生時代、自分の母親を毒親だと嘆き、色々な人にいいふらす節があった。また、物語に出てくる過干渉な母親と、自分の母親が重なる部分が多々あり、最初は主人公(娘サイド)に感情移入していた。 しかし、物語の後半、うってかわって、母親サイドからの話となり、母親の気持ちに気付かされることができた。「人生が上手くいかないと感じる時だけ母親のせいにして、苦しんでいるフリをして、ダメな原因はすべて自分の外にあるのだと、無意識のうちに自分に思い込ませようとしている」との理穂の言葉がとても刺さった。 本当に苦しい人は、(マリアのように)母親への悩みや気持ちを周りに伝えることができない人だと思う。それなのに対し、私が、この小説の由香のように、人に伝えることができる時点で、自分の大袈裟かつ、他責思考が露呈されたように感じる。 本当に、湊かなえさんの言うとおり、物事は解釈一つで白から黒へと反転し、この物語もまさに、同じ出来事でも、角度を変えると違って見える。 ただ一つ思うことは、理穂は、弓香の母親への本当の想いに耳を傾けるシーンがないことが気になった。 出版した本や、テレビ番組での発言をもとに、弓香のことを非難しているのだと思うが、実際はどうだったのか本音を聞いてあげたうえで、厳しい言葉を浴びせる必要はあるのかと思う。私のポリシーとして、「人は人であり、人の気持ちは推し量ることはできない。当事者にしかわからない、想いがあり、感情や行動を押し付けることはできない。人を変えることはできない」と言う考えがある。人の家庭事情は推し量ることなんてできないのにも関わらず、「毒娘」と一蹴してよいものかと思う。(そこの背景には、理穂の個人的な弓香への負の感情があると思うが) 〜優しい人〜 では、優しすぎて損する人の具体例が如実に描かれていた。ゲロ係にされたことなど、、、 ただ、人に興味がなく、深い関係を築くという前提がないからこそ、誰にでも親切にできる、近寄ってきた人間は受け入れる、しかし相手は自分が好かれていると勘違いし、もっと踏み込みたいと思うようになり、それに対して拒絶し、最初から何もしなかった人以上に傷つけてしまう、、、 【優しい】の考え方がかわった気がする また最後に、(優しい人)からの証言として、優しい人じゃないことは決して悪いことじゃないという言葉が刺さり救われた。私は、人のために自己犠牲する友人などに共感できず(もっと自分の意見を持って、ご自愛しろよ!と思う)自分自身のことを優しくない人だと認識している。それに対し、優しい言葉をかけてくださり、この物語は良かったと思う。 主人公が同じ属性の彼氏に出会え、自分のことを好きだと思えて良かったと思う。 ーーーーー 「要は、お互い、人付き合いに関しては、超面倒臭がりだってこと。大切な人は人生に一人だけいれば充分」 彼のそのひと言で、かえって私は、これからあらゆる人に対して本当に優しくできるのではないかと思い、その第一歩として、生まれて初めて自分を好きだと思えた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
湊かなえ作品2作目! 今回は短編集ということで気軽に読めるかなと思ったらその短編の数だけ食らってしまった。 あらすじでもあるように母娘、姉妹、友人、男女という自分たちにも身近な関係性に徐々にズレが生まれていき、やがて大きな事件に発展する。しかしその事件も最後までお話を読むとどちらが正義で悪か判断できないような真実が明かされることとなる。 それを、インタビュー、会話、メールなどの口語調で描かれるためダイレクトにその情景を感じることとなりヒヤッとする。 いろいろな人物の「思い」と「思い込み」によって描かれる物語。その怖さについて考させられた。
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いやミス読む高くなって、積読からこれを。短編集だけど、ちゃんと嫌でした(笑)。独白形式にして、逆の立場もそうして、すれ違い、見え方の違いが、あからさまになってゆく。現実の世界もこういうのいっぱいあるんだろうな。気づかないだけで。。。気をつけよっと。
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6/7〜 短編小説集 マイディアレスト ベストフレンド 罪深き女 優しい人 ポイズンドーター ホーリーマザー 1番面白かったのはベストフレンド 優しい人は微妙だった 母からの視点、当人からの視点、そして第三者からの視点があって、あれそういうこと?と思うことがいろいろあった。
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初めて湊かなえ作品を読んだ。 立場の変化が見方を変えるという点を深く感じた。 毒親とはなにか、毒娘とはなにか、読後感はどろっとした感じ。
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視点によって物語の見え方が変わるイヤミス短編集 嫌な気持ちになるし怖いお話もあるけど色々考えさせられる作品だった 良かれと思ってやったことが相手にとってはどうなのか 特に自分も子供に対して毒親になってないかと思わず我が身を振り返った
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さすがイヤミスの女王… 誰が正しくて何が本当なのかは分からないけど、ただ弓香の母親に同情した…私の母も行きづらい人間だったと思うところもあり… リンクする点があった。
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読んだ事あった? あれは違う本だったっけ? 毒親…なんか読んでて苦しくなってきた 親であり子であり嫁であり祖母であり。 色んな経験を積んで言える事は 大事な子どもに安全な道を選ばせたいのは 親心です。 でも、それが正しいかどうからわかりません。 湊かなえさんの最後はいつも、もやっ...
読んだ事あった? あれは違う本だったっけ? 毒親…なんか読んでて苦しくなってきた 親であり子であり嫁であり祖母であり。 色んな経験を積んで言える事は 大事な子どもに安全な道を選ばせたいのは 親心です。 でも、それが正しいかどうからわかりません。 湊かなえさんの最後はいつも、もやっと終わるのに今回は反対にホッとしたとゆうか苦しさが落ち着いた
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自分も母親との距離感を測るのに困難しているので、刺さった。今敏のPERFECT BLUEを観たあとみたいな味気の悪さが残った。今日は眠れないかもしれない。
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娘と母親両方の視点から語られる物語。 どちらが正解か不正解かは、読み終わった後でも分からない。 でも、その時その場にいた人じゃなければ分からない感情がありそれの表現が海と例えられているのがとても分かりやすかったです!
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