罪深き緑の夏 の商品レビュー
ジルが出てきた時にああ、とはなったものの文章の美しさと、美術に係る緻密な描写がやはり素敵です。ミステリではなく、第三者として「うわあやめてえ」と思いながら眺めるのが楽しむのが個人的な正解です。
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この陶酔をどう言葉で表せば良いものか ただ、美しい悪夢のような童話に心を奪われたまま 至る所に散りばめられたアンティークな芸術 「この闇と光」と同じく、世界観が本当に好きです 美しき倒錯 歪な異常性の中にあるひとかけらの美しさは 人を惹きつけてやまない魅力がある まことの美...
この陶酔をどう言葉で表せば良いものか ただ、美しい悪夢のような童話に心を奪われたまま 至る所に散りばめられたアンティークな芸術 「この闇と光」と同じく、世界観が本当に好きです 美しき倒錯 歪な異常性の中にあるひとかけらの美しさは 人を惹きつけてやまない魅力がある まことの美に心を奪われた時、人は言葉を失う 解説にあった通り、本作の魅力は到底言葉で伝えられるものではなく、ただ世界観に心酔することしかできない 最後まで全ての謎を理解させてくれない 不明瞭な様はまるで夢…そんな所も素敵です そのきらめく瞳に射竦められたまま いつまでもこの夏に囚われていたい
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結局真相はどうだったのか、わかったようなわからないような。さらっと読むには読みにくい文章だったが、蔦屋敷の雰囲気やアトリエや塔の部屋の絵の具の匂いなどを感じ取れるような文体は嫌いではない。後半からのフレスコ画製作シーンからどんどんのめり込んでいける。ミステリー部分より、童話のよ...
結局真相はどうだったのか、わかったようなわからないような。さらっと読むには読みにくい文章だったが、蔦屋敷の雰囲気やアトリエや塔の部屋の絵の具の匂いなどを感じ取れるような文体は嫌いではない。後半からのフレスコ画製作シーンからどんどんのめり込んでいける。ミステリー部分より、童話のような耽美な世界観を楽しむ作品かな。結局洋ちゃんはどうなった?
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世界観は独特でどっぷりハマれるので、 とても良かったけど、結局なんだかよくわからなかった。 主人公も兄の太郎も道化だったってことなのかな。
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読み終えて、「え? 結局のところ、どういうこと?」となったのが少々残念ではあったものの、世界観を楽しめた小説でした。 売れない画家・淳には、腹違いの兄がいる。美貌にも才能にも人望にも恵まれている兄・太郎。幼い頃、太郎の母の見舞いに熱海の家を訪れた淳は、その家の上に位置する(まる...
読み終えて、「え? 結局のところ、どういうこと?」となったのが少々残念ではあったものの、世界観を楽しめた小説でした。 売れない画家・淳には、腹違いの兄がいる。美貌にも才能にも人望にも恵まれている兄・太郎。幼い頃、太郎の母の見舞いに熱海の家を訪れた淳は、その家の上に位置する(まるで異世界へ誘うような長く鬱蒼とした階段を登った先にある)蔦屋敷へと足を踏み入れる。そこで出会った魅惑の少女、百合を忘れられないまま大人になった淳と、百合の婚約者となった兄。画家としてのレベルの違いも歴然で、何もかも兄にはかなわない……、と思っていた矢先に次々と不幸な事件が起き、兄との関係が変化していく(?)。 というお話だと思うのです、最後まで読むと。テーマは淳と兄の関係性かと。でも、ただひたすら耽美な世界を描いているという感じでした。いろんな場面、いろんな人間が登場しての群像劇もあり、一人の人間の裏表も見せられ、どうなっていくんだろう? と思うのですが、特にどうもならない。事件の真相も動機も、わかったような、わからないような。蔦屋敷の存在が大きすぎて、兄の存在や過去の衝撃が薄れてしまっているというか。何を書きたかったのだろう? ラストの視点を変えた文章も謎を提示されたままで消化不良。 そういう点で、この作品は〈物語の筋を楽しむ〉というより、〈物語の雰囲気も含めた「絵巻」「画集」としてながめて楽しむ〉という読み方が適しているかと。 それでも最後まで読んでしまうし、世界観に引き込まれるのだから、この「画集」はすばらしいし、手元に置いておきたくなります。 服部作品は四冊目です。先に読んだ『この闇と光』『シメール』『一八八八切り裂きジャック』がどれも最高で、耽美な世界観に加えて、後半からたたみかけるように展開するストーリーと謎解きにページをめくる手がとまらない!って感じだったので、それらと比較すると『罪深き緑の夏』は、いまいち。再読したらまた感想が変わるかもしれませんが。 ところで鷹原氏は、切り裂きジャックの鷹原と関係あると思って読んでいましたが、子孫ってだけで直接的にはつながってこないんですかね。。。?
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『この闇と光』を読んでから久しい、服部まゆみさんの作品を読みました。やはり良いです。耽美的な、まさしく伝説的なゴシック・ミステリでしょう。私の貧弱な語彙力では、この小説の美しさを書き残すことは出来ません…。それでも頑張って、本作の魅力を書き留めておきましよう……。 本作では、美を...
『この闇と光』を読んでから久しい、服部まゆみさんの作品を読みました。やはり良いです。耽美的な、まさしく伝説的なゴシック・ミステリでしょう。私の貧弱な語彙力では、この小説の美しさを書き残すことは出来ません…。それでも頑張って、本作の魅力を書き留めておきましよう……。 本作では、美を求める人物たちが多く登場します。主人公の淳を初め、彼の父、兄、友人の山野など、画家である彼らは、それぞれの美の世界を切り拓くいています。また、澁澤龍彦がモデルになっている、淳の言葉で言うなら「ルシファーのような」鷹原龍由こと鷹原翔は、文壇の世界で唯美的思想を貫く永遠のディレッタントとして登場しています。そこに、百合姫と呼ばれる百合や、由里香といったあえかな少女たちが加わり、熱海にある静謐で荘厳なゴシック城が、ますますこの世界観を暗くも美しく造形しています。さらに、物語を読み進めるにつれて明らかになっていく真実の数々は、舞台が現代とはいえ、ゴシックロマンを読んでいるかのような重厚な魅力をも与え、読後感もひとしお素晴らしいものです…!! とにかく、造形から内容まで私好みなのです。まゆみさんが銅版画家だということもあるのでしょうが、お互いの美を研ぎ澄ましていく感じもまさしく耽美的ですね。そもそもこの本自体が一種の絵画なのではないかと思うくらい、緻密で瀟洒で美麗で、そしてうっとりするほど残酷でもあるのです。
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表現や絵画の事をあまり知らないので、調べながら読んだため、少し時間がかかった。 脅かし、魅惑的、蠱惑的な女性。 聖女なのか、悪女なのか悩み悶える、彼女の存在。 彼女の存在は、永遠に少女のままでいてもらわなくてはいけないと思う反面、彼女の名を聞けば、あの夏を思いだし、もう一度会いたいと思う。 魅惑的だと思いながらも恐怖も抱いている。 画家たちそれぞれが抱える相手への嫉妬、憧れ、苦悩。実力有る無しにかかわらず抱えるもの。 p93-15~p94-12 p100-18 人間の感情の波、渦 p203-2~11 至福の時間に対する思い p205-4~10 愛情と恐怖が隣り合わせの感情 p121~p122→p246-14 鷹原自身、犯人についての意見をのべているが、結局は誰かを犯人候補にしていたという現実。 抽象的にしかものを考えられないといいながら…。 登場人物がそれほど嘘について悪びれていない、より良く生きている人間が過ごす、生きるためと言い切るところに、複雑な思いが残った。
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雰囲気が最高 ラストに向けてどんどん妖しくなっていく 美しくて儚い世界…… 最後のほうで登場人物たちの本心をある程度知れた この状態でもう1回最初から読み直したい 何もかもを種明かししてくれてる訳じゃないから想像の幅も広げ放題 舞台設定から絶対好きなやつだって分かってたので期待...
雰囲気が最高 ラストに向けてどんどん妖しくなっていく 美しくて儚い世界…… 最後のほうで登場人物たちの本心をある程度知れた この状態でもう1回最初から読み直したい 何もかもを種明かししてくれてる訳じゃないから想像の幅も広げ放題 舞台設定から絶対好きなやつだって分かってたので期待通りです…!
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主人公の性格があまりにも愚図で、読んでてかなりいらいらする。後半、彼が少し積極的なってからは、割とおもしろかった。如何にもな設定の割にはお話しの雰囲気は明るく、思わせぶりなヒロインもファム・ファタールと言うには、あまりに親切。その兄も妙に人がよい。最後にひっくり返されるのかと思ったら、それもなかったなあ。ちょっと変な話。まあ嫌いじゃない。
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哀しいなあ。容姿や絵の才能、それらは勝っていても、愛に飢えてたんだなあ。 絵の才能が父に認められるようになりつつある弟をみて、とてつもない焦燥にかられたんだろう。とても哀しい。
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