女性の視点で見直す人材育成 の商品レビュー
「女性という、マイノリティの中のマジョリティにとって働きやすい環境を考える」を通して、多様な人が働きやすい環境を整えるための考え方を学ぶことができる
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今現在は、これまでの中で最も女性の比率が高い部署で管理職を担当している。よりベターな職場環境・組織をなんとなく思い描きながら、自分の家事・育児経験や職場経験をもとに同僚との接し方を模索してきた。またウェブ上の関連記事を読むこともしていた。 そうしたタイミングで本書を手に取った。...
今現在は、これまでの中で最も女性の比率が高い部署で管理職を担当している。よりベターな職場環境・組織をなんとなく思い描きながら、自分の家事・育児経験や職場経験をもとに同僚との接し方を模索してきた。またウェブ上の関連記事を読むこともしていた。 そうしたタイミングで本書を手に取った。特色は二つの大規模調査回答を基に、定量的分析の結果をわかりやすさに重点を置いた点にあるだろう。読んでいて楽しい誌面デザインや、ビジュアル的に理解しやすい構成は、学術的根拠を十分に保ちながら工夫されている。 分析結果と関連先行研究の引用は重要だ。ほとんどの指摘に首肯できる。以下に今後留意していきたいと感じたことを挙げておく。 ・優秀な人材を確保したいなら、女性を育成すべき。 ・組織内の同質性は、企業のパフォーマンスに影響しない。 ・3本脚の発想で、職場からのサポートが必要。 ・女性の働きやすさや商業継続意欲に最も強い影響を与えているのは、職場づくりの責任を負っている上司のマネジメント行動。 ・トランジションに応じて女性を支援することが、女性が活躍できる職場づくりのいちばんの近道になる。 ・リーダー初期の成功が、マネジャー期の成果を規定する。 ・左脳的な仕事に対する女性苦手意識の根底には、教育や環境、そして職場のなかで、社会的に構成されてきた無意識のバイアス(Unconscious Bias)があるのではないか。 ・育児期を夫婦共働きで乗り切った経験が、仕事で必要な能力やスキルの伸長にも生の効果を与える。 意外だったのは、「女性上司の下で働いた経験は、昇進したいという気持ちには関係ない」(p.87)という知見だった。女性同士の方が女性と男性の関係より、仕事や生活のこと分かり合えるはずと感じていたが、実際にはそうではなく女性上司へのやりにくさ(p.89)さえ感じることが興味深い。もしかしたら、こうした「やりにくさ」を回避するため、経営側・女性側からも男性上司に無意識に圧がかかっているのではないかと思った。個人的には今後の仮説にしつつ、職場で検討してみたい。
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【260冊目】中原先生が最近よく使っている大規模調査のデータをもとに、回帰分析等の分析手法を用いて、良い人材育成・職場環境醸成を行うために重要な要因を探り当てるという本。先生の他の著書と同じように、上司の役割の重要性や人材育成のための職場環境醸成の重要性が強調されている。 タイトルは女性の視点で見直す、となっているけれど、女性だけじゃなく男性も読むべき本。ただ、中原先生が書いている、女性の視点で職場を見直せば誰もが働きやすい職場になるっていう主張は疑問。だって、本の中で、男性と女性で求めるものが有意に異なるって書いてあったじゃない……。 とはいえ、確かに提示されているような観点から職場を変える必要があるよなと納得。 仕事に求めるものとして、男性が報酬などの見返りを期待するのに対し、女性がやりがいを求めるというデータは驚き。もちろん、男性が家計を支える場合が多いという日本の環境がこうした結果を招いているのかもしれないけど。 あと、女性は上司になることに躊躇するから、昇進前のワクチン注入、昇進後のアフターケアが大切というのは、まさに僕もやってほしかったこと。やっぱそうだよね、という感想しかない。 女性上司とのやりづらさは、男性よりも女性の方が感じているというのもちょっと意外。あと、スーパーウーマンばかりが女性活躍のロールモデルにされることへの疑問も共感。確かに活躍してる人って、色んなことを犠牲にしていて、真似できないどころかモチベーション削ぐことありそうだなって思う。 相変わらず読みやすくて、スルスル入ってくる。活用したいグラフもたくさん載ってる。そのため、本当は手元に置いて二読、三読しなきゃいけないんだろうな。図書館で借りるのでは無く、買うべきだった…。
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”最もメジャーなマイノリティ”=女性に対応できる職場をまずは作り、今後想定される更に多様な文化的属性・社会的属性に属する人々を包摂(インクルージョン)できる環境を作っていくためにはどのようなことに留意すればよいかが解説されている。 ・多様性がもたらす混乱や葛藤は、組織やチームが自らを強化していくための手段にもなり得る。それらをのち超え、新しい仕事のやり方を「安定化=学習」していくとき、多様性の高い集団は、同質性の高い集団と同程度のパフォーマンスを発揮することができるようになる。 ・誰もが働きやすい職場を作ることこそが、人や組織の成長を促す。そうした環境で業務経験を積んでいけば、個人は業務能力を高めていくことができるから。
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女性のための人材育成だけではなく、女性の人材育成を通して見えてくるものから、人材育成そのものを分析しています。 「なぜ昇進したがらない女性が多いのか?」、「仕事の重視ポイントに男女の違いはあるのか?」など、豊富なデータと分析から解き明かします。 その中から、意外な事実も見えてきま...
女性のための人材育成だけではなく、女性の人材育成を通して見えてくるものから、人材育成そのものを分析しています。 「なぜ昇進したがらない女性が多いのか?」、「仕事の重視ポイントに男女の違いはあるのか?」など、豊富なデータと分析から解き明かします。 その中から、意外な事実も見えてきます。 男性と女性の仕事や職場に対する考え方や感じ方の違いには、思い当たる所もたくさんあります。 人材育成について、考えさせられました。
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部下に女性が来て1年。 男と女は違うし、男が持ってる働く女性のイメージってデタラメだな、と思っていたところでこの本に出会いました。 でも、うちの女性部下は、あまりあてはまらず… うちの女性部下は男だと思って接するべきと結論付けました。 とはいえ、この本は女性を切り口に、様々な...
部下に女性が来て1年。 男と女は違うし、男が持ってる働く女性のイメージってデタラメだな、と思っていたところでこの本に出会いました。 でも、うちの女性部下は、あまりあてはまらず… うちの女性部下は男だと思って接するべきと結論付けました。 とはいえ、この本は女性を切り口に、様々な多様性にどうフィットしていくか、という点ではとても考えさせられる内容でした。
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社内の男性先輩に勧められた一冊。 良い事でも悪い事でも「女性」と特別視されくくられる事に辟易としていたので、本書のタイトルを見て「また『女性』か」と気乗りせず本を開いた。 しかし冒頭の「多様性の一つとしての女性」「女性すら満足に働けない会社が今後多様性の進む社会に対応出来る筈がな...
社内の男性先輩に勧められた一冊。 良い事でも悪い事でも「女性」と特別視されくくられる事に辟易としていたので、本書のタイトルを見て「また『女性』か」と気乗りせず本を開いた。 しかし冒頭の「多様性の一つとしての女性」「女性すら満足に働けない会社が今後多様性の進む社会に対応出来る筈がない」というメッセージに目からウロコが落ち、考えを改め意欲をもって読む事が出来た。 内容はデータが多用され、「男性的」「女性的」という主観や先入観をなるべく排除した形で進められている。データは多いが文章は平易でとても読み易い。 個人の実感としてもうなずける部分、身につまされる部分が多々あった。まだプレーヤーの立場なので、環境づくりよりも自身の働き方を振り返る意味や、上司はこういう目線で見ているのだろうかと周囲への理解を深める意味で非常に為になる本だった。 特に「昇進の際は報酬より『why me ?』重視」という部分は、何故自分なのか解らず不安と不信が募って辞退した事がある為、実体験として納得の深い部分だった。 性別、ポジションによらず全ての会社に所属する人間に一読して欲しい一冊。 ただ、本書で筆者が指摘している様に「女性の自信のなさは社会により作られたものである可能性がある」部分も大きいと思うので、今後会社の多様性が進めば、こうしたアンケートの結果や「女性目線」というものも次第に変わって行くのだろうなと思う。
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「女性活躍推進」が声高に言われていますが、はたして今の女性は活躍していないのかって素朴な疑問からスタートしています。女性はすごく活躍しているけど、望むときに選択可能な働き方が多様に用意されているかというと、まだまだ環境整備不足なのでしょう。 その職場作りが重要なのだけど、ここで...
「女性活躍推進」が声高に言われていますが、はたして今の女性は活躍していないのかって素朴な疑問からスタートしています。女性はすごく活躍しているけど、望むときに選択可能な働き方が多様に用意されているかというと、まだまだ環境整備不足なのでしょう。 その職場作りが重要なのだけど、ここでの着目点は女性の働き方を「スタッフ期」「リーダー期」「マネジャー期」「ワーママ期」の4つの「トランジション」をとらえて説明しています。女性にしても男性にしても画一的に扱うのではなく個々の働く価値観が大切であって、女性の場合は、その人生のフェーズに置いてその価値観も変わっていくので、そのあたりを意識した職場作りが大切なんですね。
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立教大学の中原淳教授とトーマツイノベーションの共同研究レポート。トーマツイノベーション主催のセミナー参加者を対象に行ったアンケート結果に基づいている。女性のキャリアを考えるにあたって、女性社員をスタッフ期・リーダー期・マネジャー期・ワーママ期の4カテゴリに分類。集計データには各種...
立教大学の中原淳教授とトーマツイノベーションの共同研究レポート。トーマツイノベーション主催のセミナー参加者を対象に行ったアンケート結果に基づいている。女性のキャリアを考えるにあたって、女性社員をスタッフ期・リーダー期・マネジャー期・ワーママ期の4カテゴリに分類。集計データには各種検定を有意差の有無を確認している。全体的に示唆に富む印象である。特にREFLECTIONのtips、女性の仕事のモチベーションは責任ややりがいにあること、長時間労働を嫌うこと、給料アップや権限拡大よりもサポート体制が整っていること、など根本的な思想の違いを認識できる。もちろん、現実との認識すり合わせは必要。 他方で、細部で疑問が残る部分がいくつかあった。例えば、「優秀な人材を確保したいなら女性を育成すべき」との提言。この論理がどのようにして導かれたのかは不明である。続いて、経営陣の女性比率別に示した株価の推移のグラフ。果たしてこれほどまでに露骨に女性経営陣の割合が株価の推移に影響を与えるのだろうか?逆の相関関係など考えられることから、思考の余地がある。あとは、月別の残業時間のグラフ、こんなに残業時間は少ないものか?などなど、ざっと読んだだけでも疑問が浮かんだ。 アンケート調査+統計の組み合わせは、バイアスが入りやすく、解釈の余地が多いため、ここに書かれていることが必ずしも正ではない。難しい。
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2018年9月読了。 ・ 6ページの点線部分、ダイバーシティのない会社が競争力を失うという話 ・50ページ、女性が働きづらい状況を放置しておけないという経営課題 ・52ページ、組織内の同質性は、企業のパフォーマンスに影響しない
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