虫から死亡推定時刻はわかるのか? の商品レビュー
川瀬七緒さんのミステリ小説〈法医昆虫学捜査官〉シリーズで興味を持った分野。 法昆虫学の概要を説明する一冊。 具体的な内容は、知る必要がないと思いスルー。 実際に、日本で法昆虫学者として活躍している人がいるということを知れただけでも収穫。
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薄い本だった。 しかし写真がなくてよかった… ボーンズの法昆虫学者のイメージあったので もっとバリバリかと思った。 死体農場、懐かしい… 私は虫嫌いだから絶対できない仕事!
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死体にいるウジムシなどを研究する「法昆虫学」の話。そもそも法昆虫学という学問はなく、著者の三枝氏が名乗っているようだ。こういう人材は貴重なのか、警察にも協力を依頼されるらしい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
海外の第一人者の著書『死体につく虫が犯人を告げる』とか、そこから着想を得たらしい法医昆虫学捜査官シリーズは読んだことがあったけれど、国内の研究者による法医昆虫学の本は初めて読みました。 写真がないのでまぁ大丈夫でした。 書かれていること自体は類書にもあるような内容が多いですが、どういうルートで法医昆虫学研究者になるに至ったのか、という話は興味深かったですね(もとは生物学専攻で、モグラ類の研究をされていたとか)。 仕事内容が仕事内容だからなのか、日本には法医昆虫学を専門としている人はほとんどいないそうです…… 「昆虫」の付かない法医学の分野に進む人も少ないと聞くし、法医昆虫学となると尚更だろうなぁ……
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法昆虫学の研究者による入門書である。 法昆虫学とは何かといえば、タイトルが示すように、死体についた虫から死亡経過時間や死亡の場所を推定することを主目的とする学問である。 人が死に、死体が放置されれば、ウジをはじめとする昆虫が肉を食べにやってくる。虫の種類によって、ごく初期にやって...
法昆虫学の研究者による入門書である。 法昆虫学とは何かといえば、タイトルが示すように、死体についた虫から死亡経過時間や死亡の場所を推定することを主目的とする学問である。 人が死に、死体が放置されれば、ウジをはじめとする昆虫が肉を食べにやってくる。虫の種類によって、ごく初期にやってくるものから、腐敗が進んでからやってくるもの、ミイラ化してからやってくるものなどさまざまである。産み付けられた卵や幼虫の種類や成長具合から、そもそもいつごろ死亡したのかを推定することが可能になる。また、昆虫は場所によって住む種類も異なり、地理的にこの種類はこの地域にしか見られないとか、水辺に多いものであるとか、昆虫の分布が死亡場所の推定に役立つこともある。死亡した場所と遺棄された場所が違うような場合、犯罪解明の手がかりになるわけだ。 つまり、物言えぬ死体の来歴を探る手段となるわけである。 ドラマや小説などではそこそこ取り上げられている。アメリカでは「死体農場」と呼ばれる大規模研究施設が複数作られ、ヒトの死体がさまざまな環境下でどのような経緯で腐敗し蚕食されるかが調べられている。 だが、日本では、それほど日の当たる分野ではない。いや、むしろ、アメリカが突出しているということで、他国でも実用の軌道に乗っている国は少ないようである。 著者は日本の数少ない法昆虫学研究者の1人である。実際に警察との協力関係もあるという点では唯一に近いようでもある。 日本では古来、「九相図」という死後経過の図譜もあるくらいで、素地はありそうだが、昆虫学専門家と犯罪捜査機関の間の連携が難しいこともあるのか、なかなかうまくはいかないようである。 そんなこんなの法昆虫学の現状を、現役研究者が語る。 物書き専業ではないので、そう流暢というわけではないのだが、率直な記述でイメージがつかみやすい。 著者自身、小さい頃から法昆虫学者を目指していたわけではなく、研究者として生き延びていくために最終的に選ぶことになったようだ。また、法昆虫学による死後経過時間の推定自体、不要になるような社会が望ましいとも述べており、それも一理あるかなぁとも思う。 各論については、初期に入植するウジの種類、シデムシやカツオブシムシなど、ハエ以外の昆虫、標本採集の仕方など、簡潔に述べられていてわかりやすい。 全般に、熱がこもり過ぎないゆえの説得力がある。 死亡の状況や場所、経過時間で結果はさまざまだろう。結論(死体の状況)を見て、その経過を推定するためには、膨大なデータが必要だろう。だが、ことの性質上、実験はしにくい。日本ではもちろん、アメリカのようなヒトの遺体を使った「死体農場」の許可は下りないが、著者はブタの死体で小規模な実験を行って観察している。その経過もなかなか興味深い。 うまく活用することが可能であれば、犯罪捜査の強い味方にはなりそうであるが、困難な点も多そうだ。実際に日本で活用されることになるのか、あるいはまったく行われなくなってしまうのか、ちょっと判断がつかないが、「法昆虫学」という分野のイメージを掴むにはよい1冊だと思う。
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