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選べなかった命 の商品レビュー

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46件のお客様レビュー

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2019/06/24

本書のケースは、「誤診」という医師の介入がなければ、「ダウン症の子が生まれ、早期に死亡した」という、不幸ではあるがごく一般的な事象であったはず。しかし母親は、「誤診により生まれて」早期に死亡したことで精神的苦痛を受けたとし医師を相手に提訴に踏み切っている。ということはこの母親は、...

本書のケースは、「誤診」という医師の介入がなければ、「ダウン症の子が生まれ、早期に死亡した」という、不幸ではあるがごく一般的な事象であったはず。しかし母親は、「誤診により生まれて」早期に死亡したことで精神的苦痛を受けたとし医師を相手に提訴に踏み切っている。ということはこの母親は、偶然や運命なら受け入れざるを得ないが、一旦人間(医師)の判断がなされた後では、結果が同じであっても許容できない、と主張していることになる。なぜ人間が介在すると許せなくなるのだろう? 本書にあるように、出生前診断の技術進歩により、胎児の持つ器質的特性は出生を待たずとも把握可能となり、いわゆる運不運の要素は小さくなる傾向は続くとみられている。つまりどのような子供を産むのか、人間がある程度「決められる」時代になった。問題はこのキャスティングボートは人間が持つにはあまりに「重すぎる」ことだ。医師や両親は、常に「命の選別」という、優生思想と背中合わせの、いわば「神の決断」を迫られる。そして医師と両親はその「重すぎる」判断を相手に押し付け合う結果、その判断が「間違っていた」と判定されるや否や、ジャッジした側はきわめて強い批判の矢面に立たされてしまうのだ。本書は、この矛盾が「胎児条項(障害ある胎児の中絶を認める条項)」を欠いたまま弾力的に運用されている母体保護法に起因するとしているが、至当だと思う。 NIPT(Non Invasive Prenatal Testing : 無侵襲性出生前診断)の一般診療化が開いた、「出生前診断の背後に潜む優生思想」というパンドラの箱。自分達がよもや「命の選別」や「神の決断」に関与していると気づかないまま、この検査を受けるカップルも少なくないことだろう。今後、人間が神の代わりに「選べる」ものはますます多くなっていく。本書はそれに備えるための社会的コンセンサスの醸成が不十分であると警鐘を鳴らすが、解決策は簡単に見つかりそうにない。 「何でもかんでも人間がコントロールできると考えて争っている社会ですが、それが本当にいいことなのか」という、ダウン症の子を持つ弁護士の言葉が重く心に響いた。

Posted byブクログ

2018/12/02

一人一人の言葉が重く、 読んでからもモヤモヤが続く。 生まれる前に障害が分かることの メリットって何があるんだろう? そのために、ものすごい悩みが 当事者に突きつけられている気がして ならない。

Posted byブクログ

2019/01/01

ダウン症の知り合いや、友人たちがいる。 彼ら彼女らが、この世にいなかったらと思うと、恐ろしい、つまらないと思う。 障がいがある子どもと生きることが自分にとっても、まわりにとっても当たり前、そして必要なサポートが受けられる社会にしていかないといけないと思う。

Posted byブクログ

2018/11/10

出生前検査の誤診でダウン症の子を産み、そして失ったご両親が、医師を相手取り裁判を起こした話を中心に、優生思想などを絡めてしるしたノンフィクション。 とても難しい話。自分も子供が生まれる前、考えたことがある。当事者でないと答えは出せない。

Posted byブクログ

2018/10/06

出生前診断では「異常なし」と診断を受けた。が、生まれてきた子供はダウン症だった。医師に誤診があったことが発覚した。 生まれてきた子供は合併症でボロボロの状態になって3ヶ月後に死去。両親への損害と生まれ苦しんで亡くなってしまった幼子への損害を求めて提訴する。(※幼子への損害というの...

出生前診断では「異常なし」と診断を受けた。が、生まれてきた子供はダウン症だった。医師に誤診があったことが発覚した。 生まれてきた子供は合併症でボロボロの状態になって3ヶ月後に死去。両親への損害と生まれ苦しんで亡くなってしまった幼子への損害を求めて提訴する。(※幼子への損害というのが裁判のポイントである) 生まれてきた子供の障害をどう考えるか、綺麗事はいくらでもいえるだろうが、当事者にならないと本当のことはわからない。正解がない問いかけに向き合い、重い葛藤を抱え、それでも何とかしようとするのだと思う。 出生前診断・中絶・強制不妊。文章を書くのが辛くなりそうな事柄に対し、当事者への取材を重ね、事実を淡々と記した勇気ある書籍。

Posted byブクログ

2018/10/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

20180920Mリクエスト それぞれの立場での意見があるだろうし、関係者でもない私がなにか意見を言う資格もないと思った。 亡くなるとわかっていたから産んだ、 なんとも、重い一言だと感じた。

Posted byブクログ