蜜柑 の商品レビュー
過去に読んだ記憶がうっすらとあったが、こんなにしっくり読めたのは年を重ねたせいかもしれない。 挿し絵のタッチが変化していくのも良かった。 挿し絵が、というより文章が挿し絵を引き立てているように感じた。 とにかく文章表現が天才的。
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芥川龍之介の短編『蜜柑』とイラストレーターげみ氏の絵がコラボした、新しいタイプの絵本のような作品。教科書に載っている文豪の文章はやや古臭い感じもするが、絵(イラスト)がとてもキレイなので、眺めるだけでも楽しめると思った。『乙女の本棚』シリーズということなので、"乙女&q...
芥川龍之介の短編『蜜柑』とイラストレーターげみ氏の絵がコラボした、新しいタイプの絵本のような作品。教科書に載っている文豪の文章はやや古臭い感じもするが、絵(イラスト)がとてもキレイなので、眺めるだけでも楽しめると思った。『乙女の本棚』シリーズということなので、"乙女"じゃないけど追いかけてみたいと思う。
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ふつうに小娘に怒るなり注意するなりしてもいいのにな。迷惑この上ない。しないのは小娘と、雑多なこととかかわりあいたくないからだろうか。 そんな主人公の心の変化が、ラストのイラストの色のやわらかさで表れていてとてもよかった
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なんともあたたかく、せつなく、美しい情景。 娘の手からこぼれる蜜柑をこの眼で視たような心持ちになった。 同じ果物を表題にしたという点で、太宰の“桜桃”をつい思い出し、両者の世界観の違いにほくそ笑んだ。
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乙女の本棚。 横須賀線に乗った「私」。 発車間際に乗り込んできた田舎娘と相乗りに。 退廃的な心持ちでいた私は小娘の蜜柑を見送りに来た兄弟にまくという行為にひととき心を慰められる。 読みやすかった。
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檸檬の白熱灯に対して、この蜜柑では夕焼けに踊る蜜柑。蒸気機関列車の疾走感と陽の温かみにほんのり心が温まる。
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素敵な絵に惹かれて、読んでみました。 芥川龍之介の著書はほとんど読んだことがなく、蜘蛛の糸くらいしか知りませんでした。 この話も少女の実情を知れば、本当はせつないお話なんですね。 文章だけよりも絵があることで、より情景が見えてわかり易かったです。
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横須賀線に乗った私がみた、発車間際に乗り込んできた小娘の行動に感動したお話。 奉公に出る女の子が、見送りに来ていた弟たちに、車窓から蜜柑をなげる。横須賀線に乗った私がみた、発車間際に乗り込んできた小娘の行動に感動したお話。 奉公に出る女の子が、見送りに来ていた弟たちに、車窓から蜜柑をなげる。鮮やかなその一瞬に、私の憂鬱だった気持ちが晴れる。 蜜柑をなげるイラストが、効果的で、とても素敵だった。
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黒色の景色がラストで一気に橙色に変わる、色の変化が美しい作品でした。読後感が心地よく、蜜柑のいい匂いまでしそうな気がした。 著者である、芥川龍之介さん曰く「文章の中にある言葉は、辞書の中にある時よりも美しくなければならない」 文章の中に、その人がいる。
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『蜜柑』 この短編は学生時代にも授業で取り上げられていたし、大人になってからも何度か読み直す機会があったのですが、歳を重ねるにつれ、娘が投げた蜜柑の色鮮やかさに切ないものがこみ上げてきます。 疲労と倦怠、退屈な人生に辟易している「私」の目に飛び込んできた、心が踊るような暖かな色...
『蜜柑』 この短編は学生時代にも授業で取り上げられていたし、大人になってからも何度か読み直す機会があったのですが、歳を重ねるにつれ、娘が投げた蜜柑の色鮮やかさに切ないものがこみ上げてきます。 疲労と倦怠、退屈な人生に辟易している「私」の目に飛び込んできた、心が踊るような暖かな色。走り去る汽車で起きた一瞬の出来事。娘の優しく美しい心に、忘れてしまった歓びがよみがえる。しかしそれも汽車が走り去るように、すぐに消えてしまうのでしょうけど… さすが芥川。文章だけなのに、蜜柑が落ちる様子から汽車の速度まで情景が浮かび、読後、一枚の写真のように心に残ります。 ところで、こんな画集があるとは知りませんでした。ぜひ買って読んでみたい。
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