正しい女たち の商品レビュー
生々しい人間の姿や感情が描かれた短編集。 うーん、なんとも言い難い。 人間の裏、言葉にならずともある仄暗さ、受け止め難い現実、鬱屈とした感情が描かれている。 登場人物らの抱える暗い感情と自分とは地続きな感じがして、怖い。見たくない感じがする。 何を伝えたいのかぼんやりしてい...
生々しい人間の姿や感情が描かれた短編集。 うーん、なんとも言い難い。 人間の裏、言葉にならずともある仄暗さ、受け止め難い現実、鬱屈とした感情が描かれている。 登場人物らの抱える暗い感情と自分とは地続きな感じがして、怖い。見たくない感じがする。 何を伝えたいのかぼんやりしていてなんとも言えないので、 ☆2.5
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タイトルに魅かれて、手に取った。 女の正しさ、とはなんだろう。 本人が正しいと思っていても、他人は理解できないことも、 正しいと思って行動したことが、他人を気づけたり・・・ 「温室の友情」 女子高校生の、青春真っ盛りの、友情と嫉妬と、大人になっても、心はその頃のまま。家族より...
タイトルに魅かれて、手に取った。 女の正しさ、とはなんだろう。 本人が正しいと思っていても、他人は理解できないことも、 正しいと思って行動したことが、他人を気づけたり・・・ 「温室の友情」 女子高校生の、青春真っ盛りの、友情と嫉妬と、大人になっても、心はその頃のまま。家族よりも彼氏よりも友情を重んじる、誰しも経験が多少あるだろう。 「海辺の先生」 離婚をして、スナックをしている母親が、 先生にちゃんと家庭教師の代金を払ったり夜遅く帰ると心配したり、娘を思う気持ちはすごく「正しい」と思った。 この短編が一番好き。 「偽物のセックス」 なんというどうしようもない男だ・・・ 「幸福な離婚」 別れようと思ったとたんに、相手に優しくなれる、 ホントは好き同士で一緒になったのだし。 最後はほんわかと暖かい気持ちになった。 「桃のプライド」 MORIの「食品サンプルみたいに完璧だよね」が、 意味深に印象に残った。 「描かれた若さ」 廃校になった、最初の高校が舞台で、 復讐劇というか、ホラーというか、 少し怖くて、意味不明。
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一番好きだったのは、「幸福な離婚」 四か月半後に離婚予定の男女。残りの日々を過ごしていく中、女性が、「わたしが死ぬ瞬間、この静かで冷たくて幸福な日々を思い出す気がした。」と思うところが良い。 小説全体に流れているのは、若さ、特に女性の若さを第一とする風潮への皮肉だと思う。 今の...
一番好きだったのは、「幸福な離婚」 四か月半後に離婚予定の男女。残りの日々を過ごしていく中、女性が、「わたしが死ぬ瞬間、この静かで冷たくて幸福な日々を思い出す気がした。」と思うところが良い。 小説全体に流れているのは、若さ、特に女性の若さを第一とする風潮への皮肉だと思う。 今の若い女性も、若さに捉われて段々と生きづらくなっていくならば、悲しいことだと思う。 私の頃と全く変わっていない。私自身は、遅い結婚をして、やっとその呪縛から解き放たれた。
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6つの短編集。ちょっとずつ繋がってる話。 それぞれの思う正しさを貫く女性がリアルでちょっと怖くて、サラッと読めた。 「幸福な離婚」がよかった。離婚が決まってる夫婦の最後の数カ月、諦めた幸せな生活の空気感がめちゃくちゃリアル。
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短編6つ。「女の価値は若さ」という価値を皮肉っていたり、そのことに自分自身がとらわれている男女の執着を表現していたりするのであろうが、何だかうっすらと嫌悪感が残る。29歳の女性に対して、「誰がお前みたいな年増をもらうか、もう卵子だって腐ってるだろ」なんて主人公に言わせている…。 ...
短編6つ。「女の価値は若さ」という価値を皮肉っていたり、そのことに自分自身がとらわれている男女の執着を表現していたりするのであろうが、何だかうっすらと嫌悪感が残る。29歳の女性に対して、「誰がお前みたいな年増をもらうか、もう卵子だって腐ってるだろ」なんて主人公に言わせている…。 だがしかし、好きな話や表現もあった。 【海辺の先生】 「決められるのが嫌だったら、自分で決めないと何も変わらないですよ。」という言葉が好きだったな。 【桃のプライド】 MORIが「…あなたたちは求めるばかりで、求められることを考えていないから。あなたたちと同じことをしないために」SNSを見ること。 【幸福な離婚】 食べ物の趣味が合う2人。
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人間関係って、どうしても自分本位だったり打算的だったりする部分もあったりするかもしれないけど、そこに一欠片でも誠意があったなら、それは本当の友情だったり愛って呼んでもいいんじゃないかな。 と、「私って親友いねーな」とアラフォーになってしみじみ思ってしまう最近の私です。 短編...
人間関係って、どうしても自分本位だったり打算的だったりする部分もあったりするかもしれないけど、そこに一欠片でも誠意があったなら、それは本当の友情だったり愛って呼んでもいいんじゃないかな。 と、「私って親友いねーな」とアラフォーになってしみじみ思ってしまう最近の私です。 短編集をおさめた本作に出てくる主人公達は、いずれも腹に一物も二物も抱えた市井の人々です。 不倫に悩む友達のために、一世一代の演技に打って出る女。 自分自身を諦めていた少女の、ある出会いからの成長。 同じ階に住むマンションの住人に欲情する男が、物語の中で最後に選んだ相手。 離婚を決意した夫婦に訪れた、終着のある幸福。 女に対して残酷な男に、時を経て復讐を果たす女達。 今の日常を受け入れながらも、どこか鬱屈としたモノを抱えている彼等に自分を重ねずにはいられません。ペルソナって言葉、流行ったよね…。 友情とか家族愛とか夫婦愛とか、そんな一言でまとめられる関係性だけど、この世に二つとない色をそれぞれ持ってんだよねえと当たり前の事を改めて思わされた作品でした。
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フォロワーさんが読んでいて、千早茜さんの著書が好きになり、さらにタイトルに惹かれて読んだ。 学生時代からの女性4人組のそれぞれの視点からの話が中心にある、6篇の短編集。 学生時代は同じレベルだと思っていても、あらゆる選択を経てみな変わっていく。 初めから持っていた資質を擦り減...
フォロワーさんが読んでいて、千早茜さんの著書が好きになり、さらにタイトルに惹かれて読んだ。 学生時代からの女性4人組のそれぞれの視点からの話が中心にある、6篇の短編集。 学生時代は同じレベルだと思っていても、あらゆる選択を経てみな変わっていく。 初めから持っていた資質を擦り減らしていった者、努力しながら積み重ねていった者、自分になくなっていったものを他で補おうとした者。こういうはっきりと形で表せないものを話にしていくのは本当にすごいと思う。
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女性目線の、価値観を覗き見することができる短編集。千草茜さんの著書を初めて読んだけど、文章といい構成といい、話の展開といいすごく文学的でとても好みだった。どの話も、自分よりは年齢が上めな話だったから、そこを通して未来を見た感覚。主にこんな大人になりたくないけど、そう思いながら生き...
女性目線の、価値観を覗き見することができる短編集。千草茜さんの著書を初めて読んだけど、文章といい構成といい、話の展開といいすごく文学的でとても好みだった。どの話も、自分よりは年齢が上めな話だったから、そこを通して未来を見た感覚。主にこんな大人になりたくないけど、そう思いながら生きてるんだろうな。 客観視しないと、渦中にいることに気づけないもんなんだよね。「温室の友情」と、「描かれた若さ」が特に好きだった。
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自分の中の正しさを信じる女たち。 ホラー作品のようで、背筋がゾワっとして怖かった。 女性が持っている、決して表には出さない虚栄心や傲慢さ、弱さ、欲深さ。そういった後ろ暗いリアルな部分を、無遠慮に晒して直視させられた感じ。 『透明な夜の香り』と同じ作家の作品だとは思えない位世界観が...
自分の中の正しさを信じる女たち。 ホラー作品のようで、背筋がゾワっとして怖かった。 女性が持っている、決して表には出さない虚栄心や傲慢さ、弱さ、欲深さ。そういった後ろ暗いリアルな部分を、無遠慮に晒して直視させられた感じ。 『透明な夜の香り』と同じ作家の作品だとは思えない位世界観が全然違っていて、千早茜さんの別の顔を見せてもらった気がしたし、これはこれで好き!(辻村深月でいう「黒辻村」的な感じ) 特に4編目の『幸福な離婚』がとても良かった。静かで冷たくて幸福な日々が、とてもせつなく苦しくて涙が出た。 「正しさ」への「執着」。自分の中の正しさは自分だけのもので人に振りかざすものでも、理解してもらうものでもないのかも。正しさって一体誰のためなんだろう。 誰かにとってのしょうもないことが、誰かにとっての正義や常識でもある。 『透明な夜の香り』にも「正しい執着」というフレーズが出てくるし、千早茜さんは「正しさ」や「執着」とは?というテーマを追い求めているのかな。
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感受性いっぱいの中に潔さがあり、ひきこまれた。「正しい女たち」というタイトルだが、(そのときどきで自分を)正しいと(信じたい)女たちが描かれている。最後の「描かれた若さ」、世の男たちに読んでもらいたい。まとめると悪いけど、これはたぶん女全員の共通の声が聞ける。胸がすく。
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