名探偵誕生 の商品レビュー
タイトルの意味は読み終わって分かる。 小学生から大学生までという、いい連作だった。 おもしろかった~。
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語り手であるみーくんこと星川瑞人が少年時代から大学生になるまでに起こった事件をそれぞれ回想するようなミステリー。 本作では、みーくんはワトソンであり小林少年という立場で、となるとホームズやら明智やらが登場するべきであり、本作ではそれが隣に住むお姉ちゃんの波多野千歳である。 物語はみーくんが語り手となって小学生、中学生、高校生、大学生と年代ごとに起こる事件を2人が解決していく。年代ごとに、というのが本作の魅力の1つだと思う。例えば小学生の頃の事件はクラスで流行った都市伝説から始まる。あるある、と思わず頷いてしまうような物語でよかった。 また、年代ごとに考え方や着眼点、事件性や話題などが年齢ごとに綺麗に取り込まれており、読み進めるのにしたがって、彼らの成長を楽しめる。 ミステリーとしては、トリックが微妙だが、みーくんの成長物語であり初恋の物語として読む分には面白い。 こんなお姉ちゃんが近くにいたら憧れるし恋もするよなぁと。 人それぞれ思い出の形があって、みーくんにとってはそれがたまたま事件という形になっていただけだろう。 全編読み終えてから1ページ目を読むと、最初とは違った見方ができると思う。 本作で面白いのは、名探偵を名探偵たらしめるのは他人であるということ。自身は自身を、周りが気付かないことに気がつく、程度にしか思っていないが、それを周りは名探偵と呼び特別な視線を送る。しかし名探偵だって人間であり、小説の中の登場人物ではない。悩むし葛藤もするし恋もする。そこに気付いた名探偵が名探偵になれるのかもしれない。 適度に散りばめらる雑学や知識は、読んでいて知的好奇心がくすぐられ大変good。著者の見識は相変わらず広い。 私は著者の作品が好きでよく読むのだが、初めて事件で人が死んだ気がする。
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隣のお姉さんに憧れる少年の成長物語。小中高と大学時代に関わった謎をお姉さんが解いてくれるのだが、いくらなんでも危ないよ、と心配になることも。小学生の時の話が子供ならではで良かった。
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語り手の「僕」が小学生のときの小さな事件から始まり、最後の一篇は大学生となって遭遇する殺人事件に至る連作。それぞれに、その年頃のものの考え方とか、興味の対象が自然に取り込まれていて、巧みだ。バーンと驚かされる大作というわけではないが、凝った内容を素直に読ませる佳作だと思う。
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連作ミステリ。少年が憧れる隣のお姉さんが洞察鋭い名探偵、という、甘酸っぱくてほろ苦い青春恋愛物語の要素も含んでいます。実際起こる「事件」もそれほど物騒なものではなく、日常の謎に近いものだし。徐々に成長していく少年の恋心が微笑ましい、と思っていたら。 ついに起こってしまう殺人事件。...
連作ミステリ。少年が憧れる隣のお姉さんが洞察鋭い名探偵、という、甘酸っぱくてほろ苦い青春恋愛物語の要素も含んでいます。実際起こる「事件」もそれほど物騒なものではなく、日常の謎に近いものだし。徐々に成長していく少年の恋心が微笑ましい、と思っていたら。 ついに起こってしまう殺人事件。そこでもやはり「名探偵」っぷりは健在なのだけれど、たしかに今までのとはわけが違うよね……「名探偵の悲哀」にも胸を突かれる思いでした。そしてそこからの展開がなかなか意外。なるほど、そういうことだったのね。 いい感じにゆるい作品だと思っていたのは間違いでした。でも読み終えた後には温かいものが残る印象もあって、ほっとできる一冊です。
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ミステリーであり、恋愛小説であり、青春小説。 そして、少年の成長を描く小説でもある。 テンポよく、起伏もあり、スイスイ読める。 〝誕生〟の仕方も良かった。
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名探偵という存在を中心にした上質なジュブナイル作品。様々な反転がミステリにも物語にもうまく作用していて楽しめました。 主人公が小学、中学、高校、大学と各年代であった、名探偵が誕生するまでのエピソードを描く連作短編集。それぞれの謎と世界が広がるような真相が心地よく、その中で名探偵の...
名探偵という存在を中心にした上質なジュブナイル作品。様々な反転がミステリにも物語にもうまく作用していて楽しめました。 主人公が小学、中学、高校、大学と各年代であった、名探偵が誕生するまでのエピソードを描く連作短編集。それぞれの謎と世界が広がるような真相が心地よく、その中で名探偵の存在が主人公の中で大きくなっていくのが分かりました。その中で描かれるのは名探偵のすごさと抱えている苦悩です。その名探偵の印象が変わるのが面白い作品でした。 読了後、名探偵とは何なのかとタイトルを見返してしまいました。
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【収録作品】第一話 となり町は別の国/第二話 恋するドトール/第三話 海王星を割る/第四話 愛していると言えるのか/第五話 初恋の終わる日
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これは青春ミステリとしては贅沢すぎる一冊。 本書は主人公の「僕」が名探偵になるまでの,小学校・中学校・高校・大学時代に起きた4つの事件を描いた短編集である。 しかし,そのころの「僕」はまだ名探偵ではない。「僕」にとって名探偵とは,家のとなりに住む千歳お姉ちゃんだった。 ...
これは青春ミステリとしては贅沢すぎる一冊。 本書は主人公の「僕」が名探偵になるまでの,小学校・中学校・高校・大学時代に起きた4つの事件を描いた短編集である。 しかし,そのころの「僕」はまだ名探偵ではない。「僕」にとって名探偵とは,家のとなりに住む千歳お姉ちゃんだった。 「僕」は千歳お姉ちゃんからいろんなことを教わった。学校の勉強や物事の考え方のほか,大人としての振る舞い方や恋心まで。それらはすべて,事件を解決するための「推理力」として役に立った。 これは一人の「名探偵」が誕生するまでの,青春ひとつひとつにスポットを当てた物語だ。成長するにつれて,隣のお姉ちゃんは遠い存在になっていく。それでも「僕」は大人になっていた。 “この先,僕がもっと歳をとった未来でも,この気持ちは変わらないだろう。そして十代の頃の,あの事件の日々は,きっと宝物になっているだろう。たぶん,人生とはそういうものだ。”(P.1) 少年時代のちょっとした冒険と,思春期の淡い初恋と,学生時代に知った社会の闇。 こうして名探偵が誕生した。
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今回のあとがきはいつもに増して面白い。謎解きミステリ好きあるあるのような。 高校時代までを描いた短編3作は平凡な感じだが、ラストの中編で、以外な骨太さを見せられておや?と思ううちに短編を経てのビルドゥンクスロマンの完成という面白い展開でした。 (「海王星を割る」の動機は、またか感が強く、残念)
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