マーケティングとは「組織革命」である。 の商品レビュー
マーケティング実践のための組織論について述べた本。 前半はマーケティングを実践するための組織づくりについて。マーケティングの実践には、マーケティング機能ががんばるだけではなく、他の機能を含めた組織全体が連動して動くことが必要である。そのためには、「自己保存の本能」と呼ぶ変化を...
マーケティング実践のための組織論について述べた本。 前半はマーケティングを実践するための組織づくりについて。マーケティングの実践には、マーケティング機能ががんばるだけではなく、他の機能を含めた組織全体が連動して動くことが必要である。そのためには、「自己保存の本能」と呼ぶ変化を拒む人間の本質を理解すること。その上で、組織にとって望ましい行動と個人の生存確率を高める行動が合致するように、意思決定や評価・報酬のしくみを設計することが肝要。 後半はマーケティングのフレームワークを活用した下からの提案の通し方について。提案を通すということは、提案を上に買わせて社内という市場を開拓するマーケティングと捉えられる。市場原理として組織の文脈を理解した上で、提案の目的と組織の目的を合致させ、誰にどんな内容をどうやってアプローチしていくかを組み立てる。 マーケティングに関する内容は薄めなため、著者のマーケティング論について学びたい場合は別著を読んだ方が良い。大企業の組織運営や意思決定のやり方は本書に描写されている通りと思う。処方箋として書かれている評価・報酬のあり方なんかは、具体性はあるものの、果たしてこれが本当に正解かは疑問符。参考の一つに留めた方が良さそう。付録ではあるが、巻末に収録されているマーケティングの第一人者たちとの対談の中で、佐藤可士和との内容が興味深かった。佐藤さんは感覚、森岡さんは数学・論理を主としたマーケターという感じ。 以下、備忘録。 ■組織づくり ・マーケティングとは、消費者プレファレンスを読み解いて会社を勝つ確率が高い焦点に集中させる働き ・ブランドは、消費者の頭の中にある選ばれる必然 ・マーケティングは策を立てるより実行する方が難しい。策の通りに(=消費者視点で)会社全体が動く組織づくりが必要。マーケティング・システムの改革に加え、その他の3つ、ファイナンス・システム、生産マネジメント・システム、組織マネジメント・システムを連動できる体制にする必要がある ・商品開発は生産ではなくマーケティングに組み込むべき。作ったものを売るのではなく、売れるものを作る ・人間の本質は自己保存。コミュニケーションにおける個人が負うリスクやコストが大きいと、無難に過ごす ・自己保存の本能を満たすのはアメとムチ。生存確率を高めるための行動は自ら進んで行う ・組織マネジメントシステムの核は意思決定システム(会議)、評価システム、報酬システム ・会議は人を働かせるための儀式。オープン化することで、恥を書きたくない心理を利用 ・相対評価にすることで確実に差をつけれる ■下から提案を通す社内マーケティング ・下の人間でも上に提案を通す社内マーケティングスキル。自分が言いたいことを相手が買いたいものとして伝える。自分という商品を会社に売っている営業 ・社内マーケティングのフレームワークは5ステップ。①提案が判断される組織文脈の理解、②提案の目的と組織の目的との関係性整理、③提案を当てる直接・間接ターゲットの把握、④提案によるメリットの整理、⑤相手に合わせた提案の話し方 ・組織文脈の理解では、所属組織や上位・下位組織の目的・戦略、意思決定者、意思決定者の評価制度を把握する ・目的・戦略があいまいな場合は、意志決定者の困りごとにフォーカスする ・提案のターゲットは、組織全体の公の利を考えるタイプ、個の利を考えるタイプの2系統。1人が2系統両方の性質を併せ持つケースもあり ・提案内容は、魅力を高く、実現性を高く、コストを低く ・相手のコミュニケーションのスタイルが攻撃型、積極型、反応型、消極型のどれかを読み解き、相手に適したコミュニケーションのスタイルをとる
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マーケティングとは考え方 人間は事後保存の生き物で脳が変化を拒む 変化を拒むから緊張する 人間の本能を野放しにする組織が悪い 13%34%51%ゴールの社内改革の進捗
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人間の本質とは自己保存である。 国際社会での沈黙は、無能か無関心と受け取られる。 攻撃型の相手にはまず反応型で対処、要所でコメント→相手に興味を示す→自分の意見も発信
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意外性のあるタイトル。だが、読んでみると納得感がある。かつて、パナやソニーをはじめ、多くの国内企業が導入して失敗した、マーケティング本部を起点とした組織構造。成功させるためには、それだけではだめで、さらに様々な打ち手が必要だったのだと、感じた。トップの強いコミットメントが不可欠。
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優れたマーケターがいるからといってその会社のマーケティングがうまくいくわけではなく、組織としてマーケティングが運用できるような体制になっていなければ意味がない。その組織体制を作るのは人であり、組織として人の能力を発揮できるようにすること、人が組織を変えていくためにどういうことが考...
優れたマーケターがいるからといってその会社のマーケティングがうまくいくわけではなく、組織としてマーケティングが運用できるような体制になっていなければ意味がない。その組織体制を作るのは人であり、組織として人の能力を発揮できるようにすること、人が組織を変えていくためにどういうことが考えられ、実行できることが大切である。 組織を動かし、人をリードするリーダーとしては、人を理解し、組織として同じ方向を向かせる必要がある。 人間にはそもそも自己保存の本質があり、動物の本能として変化を拒むような機能を持っている、その本質がある前提でその人の心理を理解し、接することが重要で、自己保存に反する方針や戦略では人はついてこない。 (例:自己保存の本能から自分が不利な状況を作ることに対して拒否の反応、反対意見を示すことが多い。アメとムチの人身掌握術を使い、自己保存の方向をコントロールする) 自己保存の本能を逆手に取った対応の仕方、自己保存の心理で共感させるような導き方が活かせる。 従業員との接し方について、社長と社員とどちらが偉いのか?役割が違うだけで対等な関係である、という考え方に、自分にない気づきとなった。 普段接する時も自分の方が上だから、と思わず、相手にもそう思われずにフラットなコミュニケーションが取れるように接することを気をつけようと思った。 その他、 人の評価の仕方 タイプの違う部下との接し方 意思決定者に意見を通すときのポイント など
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同じように実践出来るか否かは別として… 実際に現場で四苦八苦されてきた方の言葉は現実味があってとてもわかりやすい内容だった。 マーケティングに関する本として読むと、もしかすると若干求めてた内容と違う…という人もいるかと思うが、マーケティングとはここまでやるものなのだ、ということが...
同じように実践出来るか否かは別として… 実際に現場で四苦八苦されてきた方の言葉は現実味があってとてもわかりやすい内容だった。 マーケティングに関する本として読むと、もしかすると若干求めてた内容と違う…という人もいるかと思うが、マーケティングとはここまでやるものなのだ、ということが学べるし、表面的ではないので役立つこともあるはず。
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組織構造をマーケティングで読み解くのは興味深かった。人材マネジメントをパチンコの釘に例えたのも分かりやすい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
マーケティング力を構築するための最大の課題は組織改革 組織とは、一人一人の能力を引き上げる装置 →組織は性悪説に基づいてつくる →不正の温床を潰す 「組織力=個人技×システム」 組織の機能は4つ →マーケティング、ファイナンス、 生産マネジメント、組織マネジメント →組織マネジメントは上記3つの更に土台 →商品開発もマーケティング →生産マネジメントは売れる商品を 継続的に供給する仕組みづくり マーケティングは市場価値を創造する仕事全般 →だから商品開発と切り分けない →実行が100倍難しい →夢を売る、憧れをつくる仕事 ぬるま湯組織は滅びる →全員がキャパMAXの状態がベスト →変化できなくなったら組織は終わる →変化する時代は経験で優劣はつかない →先人を超えることこそが次世代の使命 →人の行動を変えなければ業績は変わらない リーダーは結果責任を追う 人体のように感知→判断→行動をスムーズに →中間管理職は脊髄 →危険時の緊急回避判断もする →人体は上下関係でなく共依存関係 →脳のために腎臓を壊さない →社長と平社員は役割が違うだけで優劣はない 職能の値段は市場価値の相対 →社長と社員では優劣はなくても価値は違う →社内なら「さん」付で良い 人間の本質は現状維持であり自己保存 →脳が本能として変化を嫌う →変わるための必然をつくる →行動レベルに噛み砕いた上でムチも明示する →行動を変えるメリットを信じさせる 役割は人々に周知されて初めて意味を持つ 「13%→34%→51%→ゴールの法則」 →集団が変化を察知する13%、8分の1 →大きな変化として受け入れる34%、3分の1 →過半数、、、という流れで組織は変わる 会議は会議の目的、結論、結論に至る議論の理由、 関係者の次のアクションの4つをきめる →アクションは5w1hを意識 →参加者で認識の相違あれば一報くれ、でOK 相対評価で競争、比較の中で評価する →評価はシンプル、具体的、行動を通じた判断 →ただし近い層と比較する 社内提案は社内のマーケティング →上に提案を買ってもらう →決定権者の目的に沿ってるか →一社員がまず持つべきは自責精神 →提案に大義はあるか? 重要なのは新しい仮説を発想すること →データ検証は必須だが、捉われてもいけない →数字を読み解くには仮説が必要 →自分の商品が買われる根源的な理由を把握する →ビールの敵はスマホだった 過去の延長線上で物事を考えない 業界各社はライバル以前に客の満足をつくる同盟軍
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三枝匡さんの三部作を裏付けするような内容でした。同世代の方が書かれたこの本は、心にグサグサと、耳の痛い、内容でした。でも、勇気や戦略もいただきました。これからチャレンジしたいと思います。
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会社組織の理想 マーケティングシステム 売上獲得に関わるすべての機能 マーケティング、市場調査などの狭義のマーケティングだけでなく商品開発部も 売れる商品を作る CMOは売上にも責任を 生産管理システム 資材調達、生産、在庫、物流管理 商品...
会社組織の理想 マーケティングシステム 売上獲得に関わるすべての機能 マーケティング、市場調査などの狭義のマーケティングだけでなく商品開発部も 売れる商品を作る CMOは売上にも責任を 生産管理システム 資材調達、生産、在庫、物流管理 商品を継続的に生み出す機能 商品開発は含まれない ファイナンスシステム お金の管理 組織マネジメントシステムです 人と人を生産的に働かせるための仕組みを管理 組織構造 意思決定 評価 報酬 育成 採用 繋がりを重視して最適化 知覚→判断→行動 コミュニケーション阻害要因 年功序列 役割差 性差 必要なときに本当のことが言えること 情報伝達の際のリスクやコスト 人の本質 変化を拒む 自己保全 組織利益と相反 職責と権限 意思決定権 羊化 自分で意思決定を行わず他人に決定を委ねる状態 リスク回避 どこで誰が決めているか不明 意思決定の権利がない 役割の定義だけでなく周知も徹底 期待値を具体的な行動レベルに落とし込んで伝える 期待する行動レベルでのアメとムチを設定 1/8→1/3→1/2 変化に気づく→うねりとして受け入れる→組織が変わる 社内マーケティング 組織文化の理解 組織全体の目的や戦略は? 意思決定者は誰? 自分の所属する組織とその上位、下位組織の戦略は? それぞれの意思決定者は? 上司とその上司それぞれの評価は何によって決まるか? 目的 提案の目的が意思決定者と共有できるか その提案が上位組織にどのようなメリットがあるか 目的を共有してから提案 組織の戦略が曖昧な場合は 意思決定者が困っていることは? 組織の不文律や暗黙知は? 経営哲学 普遍的な経営のキーワードから仮定 ターゲット 組織目的に忠実なターゲット 自己保存に忠実なターゲット 意思決定者は? 合意形成の重心は? 提案を潰せる人は? 明確な便益 公の便益 個の便益 感情的な便益 やりがい 承認欲求 実利的な便益 報酬 キャリア 実行コストを下げる 段階的なプランを提示 提案を実現するためのステップを明確に 相手が聞きたいように話す コミュニケーションスタイル ブッシュスタイル 攻撃型 相手に強いストレスを与える コミュニケーションが破綻 対策 傾聴して相手に理解していると思わせる 相手の名前を連呼する 相手が落ち着いてから積極的に話す 自己コントロールが難しくなったら一旦撤退 積極型 前向き 情熱的 協力的 プルスタイル 反応型 傾聴 相手に気づきを与える 消極型 無反応 やる気がない 無能 対策 オープンな質問で情報を引き出す 自分のスタイルは相手の認識に依る コミュニケーション 言い方 言い方のトーン 表情 仕草 身だしなみ 感情のコントロール 仮説をもとにデータで検証 予定調和を壊して驚きをつくる 水平方向の拡張 やりたいことベースで技術を選ぶ 購買モチベーションの本質を考える 本当の競合は何か 本質的な価値、夢でマーケティング 不必要にターゲットを狭めない 実行されないプランは価値がない やりきる体制 ブランドが光る文脈をつくる 新しいルールを作ることで光が当たるものもある 世の中の価値の軸を変える 自分の強み 好きなことを動詞で書き出す その動詞を活かせる機会が多い仕事を選ぶ
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