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腸科学 の商品レビュー

3.9

14件のお客様レビュー

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2020/05/24
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マイクロバイオータが人体にもたらすいちばんわかりやすい利益は、細菌が腸内で発酵し産生する化合物だ(これを私たちが吸収する)。これらの化学反応のおかげで、私たちは熱量(カロリー)を食べ物から得られる。この熱量は細菌がいなければ無駄になってしまうものだ。 マイクロバイオータは人によって異なり、どのタイプのプロバイオティクスをどれほど摂取するのがどのような症状にいいかは判断が難しい。したがって、自分のマイクロバイオータに合ったプロバイオティクスを見つけるのが重要だ。不快な腹部膨満感、ガス、頭痛などが起きるなら、そのプロバイオティクスとは相性が悪い。プロバイオティクスのわかりやすい利点は、便通が良くなることだ。プロバイオティクスをふくむさまざまな食品やサプリメントで少し試行錯誤して、自分にいちばん合ったものを見つけるのがいいだろう マイクロバイオータの多様性を増やすには、二つの方法がある。有益な微生物をたくさん食べる、そして、腸内にいる微生物に良質の食べ物を与えるのだ。 マイクロバイオータの多様性を高めるには、食物繊維の摂取を増やすのが欠かせない。腸内の微生物は、おもに食物繊維をふくむ複合炭水化物を食べる。 二番めのタイプの炭水化物(マック)は、マイクロバイオータの食べ物だ。ヒトが食べるさまざまな植物にふくまれ、マイクロバイオータの食べ物になる炭水化物は数千種類ある(*6)。オリゴ糖は三~九個の単糖から成り、豆類、全粒粉、多くの果物や野菜にふくまれる。オリゴ糖は小腸ではほぼ消化されずに大腸に達し、大腸内の細菌によって迅速に発酵される。同様に、デンプン以外の多糖類(果物のペクチンや玉ねぎのイヌリン)は一〇~数百個の単糖が結合したもので、マイクロバイオータによって短鎖脂肪酸に転換される。 グリセミック指数より大切なのは、食物のグリセミック負荷(GL)だ。グリセミック指数は、ある食物にふくまれる炭水化物がどれほど早く血糖値を上げるかを示す。一方でグリセミック負荷は、ある量──たとえば、一人分の分量──の食物にふくまれる、血糖値を上げる炭水化物の量に注目する。 小麦粉がきわめて細かく製粉されていると、ヒトの消化酵素が炭水化物の結合をより多く分解し、その結果得られる単糖と二糖を血液中に吸収する十分な時間がある。小麦粉の粒子がもっと粗ければ、ヒトの消化酵素は炭水化物のすべての結合を分解するのに十分な時間がなく、炭水化物の一部がマイクロバイオータの食べ物となる。 腸内マイクロバイオータは、幸福感を調整する強力な神経伝達物質であるセロトニンの体内濃度に影響を与える。 抗生物質の発見以来はじめて、現存する抗生剤に対してきわめて高い耐性をもつ病原体の登場によって、細菌感染で人が死につつある。新たな抗生物質を開発することはできるが、それでは病原性細菌との軍拡競争から逃れられない。これらの病原体の一歩先を行くには多面的なアプローチが必要になる。第一に、細菌が出会ったことがなく、まだそれに耐性を獲得していない新種の抗生物質をつねに供給する。第二に、強力で多様なマイクロバイオータを形成し維持することで体内防御を万全なものにし、抗生物質の使用を最小限度に マイクロバイオータに良い食事には、四つの原則がある。まず、マックを多くふくむ食物を食べること。 マイクロバイオータに良い食事の二つめに大事な原則は、肉の摂取量を減らすことだ。 マイクロバイオータに良い食事の三番めの柱は、飽和脂肪酸の摂取を減らすことだ。 マイクロバイオータに良い食事の最後の原則は、 有用菌 の摂取である。 マックを多くふくむ食事に切り換えると、しばらくの間ガスに悩まされることが多い。けれども、やがてマイクロバイオータが適応して、ガスの発生は正常に戻る。 不快感をなるべく減らすには、食物繊維の摂取量をゆっくりと増やし、体内発酵がマックの増加に適応する時間を与えるといいかもしれない。少しずつ食物繊維を増やしていけば、腹部の不快感を防ぎつつ、最終的には推奨された食物繊維量にたどり着けるだろう。いったん適切な摂取量に達したら、この状態を維持するように食物繊維をたくさん食べつづけることが重要になる。 人体を構成する多様な種のあいだで起きる複雑で入り組んだ相互作用の実体が明らかになりつつあるいま、ヒトというものを新たに定義し直すべきときが来ている。それは私たちの細胞集合体を形成する生き物すべてを考慮するものでなくてはならない。ヒトは複合生物、つまりは生態系なのである。自分の健康について考えるとき、体内の微生物に思いを馳せ、食事、生活習慣、自分が下す医学上の判断が、自分の片割れである微生物に与える影響について想像力をはたらかせよ

Posted byブクログ

2019/11/30
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マイクロバイオータのお話。 結局、野菜を食べて、運動して、肉を減らすって、どこかで聞いた話。しかし、それらをやらないとどうなるのかを詳細なエビデンスをもって紹介。

Posted byブクログ

2018/12/02

「腸内の微生物が健康を左右する」という健康情報はかなり古くからあった。それが最近になって(おもに商業的な目的で)腸内フローラやマイクロバイオータといったキーワードで語られるようになり、書店では「腸活」の本をちらほらと見かけることが多い。 本書はハヤカワから出ていることもあり、そ...

「腸内の微生物が健康を左右する」という健康情報はかなり古くからあった。それが最近になって(おもに商業的な目的で)腸内フローラやマイクロバイオータといったキーワードで語られるようになり、書店では「腸活」の本をちらほらと見かけることが多い。 本書はハヤカワから出ていることもあり、そうした「健康情報のまとめ本」とは異なる、ポピュラーサイエンスの色彩の濃い腸活本。 河出書房『あなたの体は9割が細菌』を先に読んでいたため、本書に対して『9割が細菌』のエッセンシャル版のような印象を受けた。それなりにまとまっている印象は感じるが、本書は全身ではなく「腸」に限って話となっていることで、けっこう読みやすいのは確か。 とくに最後に掲載されている腸活レシピなどは試してみたくなる。 本書で物足りなければ、別の「腸活本」を読むのではなく、全身に生息して共生している菌について書かれた『9割が細菌』を読んで、さらに深く知るのが良いかとおもう。

Posted byブクログ

2018/08/26
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我々と共生している腸内細菌が、人間が生み出すことができない様々な化合物を提供してくれていることが書いてあった。その化合物は、利益をもたらしてくれるもの、不利益をもたらすもの、様々あるようだ。現代の食生活と抗生物質のおかげで、今や我々の腸内環境が危機に陥っているらしい。おかげで毎日ヨーグルトを買うようになりました。ピロリ菌と人間の共生関係が特に面白かったです。

Posted byブクログ