二式飛行艇 の商品レビュー

文林堂

2019/01/22

世界に名だたる川西の大型飛行艇、二式飛行艇がNo.49から新版に。

その技術が今のUS-2飛行艇まで見事に受け継がれている。例えば主翼の桁と艇体の竜骨は∨字型の骨組部材でがっちり結合されているという。この構造はUS-2も継承。

米国に運ばれた機体は、種々の不具合で試験飛行は思うようにできなかったが、カツオブシによる波消しの効果は確認され、機体はエアコンの効いた格納庫に保管されたという。

二式飛行艇が1979年に良好な保存状態で日本に帰ってきたのはアメリカがこのように扱ったことによる。

本書では、冷戦期にソ連に対抗し得る飛行艇を開発するため参考にする意図があったのではとしている。それだけの技術を本機は秘めていた。また、日本の戦後の飛行艇開発にアメリカが協力的だったのも、その飛行艇を日本に作らせて日本に運用させることに意義を見出したからだと思う。

飛行艇の対潜哨戒はヘリコプターやソノブイの高性能化で行われなくなったが、救難飛行艇US-2は日本になくてはならない飛行機として今も活躍している。