炎と怒り の商品レビュー
【一言触発】大統領選挙における「まさか」の勝利を手にし,前例にない状態でホワイトハウス入りを果たしたトランプ米大統領。内部の独占情報などを踏まえながら,ケリー首席補佐官が就任するまでの政権初期の内幕を暴き描いたとされる作品です。著者は,本作で一気に米メディア界の寵児となったマイケ...
【一言触発】大統領選挙における「まさか」の勝利を手にし,前例にない状態でホワイトハウス入りを果たしたトランプ米大統領。内部の独占情報などを踏まえながら,ケリー首席補佐官が就任するまでの政権初期の内幕を暴き描いたとされる作品です。著者は,本作で一気に米メディア界の寵児となったマイケル・ウルフ。原題は,『Fire and Fury: Inside the Trump White House』。 著者に関しては多くの毀誉褒貶が寄せられていますが,この本そのものが社会現象になったということで,取りあえず米国政治に興味がある人は手にとってみても良いかと。どこまでが本当でどこまでがフェイクなのかはわかりませんが,「何を」語るかという点と同様(もしくはそれ以上)に「どう」語るかが重要という,現在の政治状況を体現したような作品だと感じました。 〜ようやくトランプ政権第一章の幕が下りたのは,七月の終わりに退役海兵隊大将のジョン・ケリーが首席補佐官に任命され,その三週間後に首席戦略官のスティーヴ・K・バノンが退任したときだった。〜 著者も一気に時の人☆5つ
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その晩の8時過ぎ、予想もしていなかった結果が確定的になった。本当にトランプが勝つかもしれない。トランプ・ジュニアが友人に語ったところでは、DJT(ジュニアは父親をそう呼んでいた)は幽霊を見たような顔をしていたという。トランプから敗北を固く約束されていたメラニアは涙していたーもちろん、うれし涙などではなかった。 勝利が確定するまでの一時間あまり、スティーブ・バノンは少なからず愉快な気持ちで、トランプの様子が七変化するのを観察していた。混乱したトランプから呆然としたトランプへ、さらに恐怖に駆られたトランプへ。そして最後にもう一度、変化が待ち受けていた。突如としてドナルド・トランプは、自分は合衆国大統領にふさわしい器でその任務を完璧に遂行しうる能力の持ち主だ、と信じるようになったのである。(p.43) 自分にふさわしい祝福と歓待をワシントンから受けられなかったことにがっかりしながらも、優秀なセールスマンらしく、トランプは楽天的だった。セールスマンにとって最も重要な資質とは、世界の見方を絶えず自分に都合よく変えて、とにかくセールスを続けることである。他の人間なら意気消沈するような事態でも、彼らにとっては現実を塗り替えればすむだけの話だ。(p.85) メディアはさまざまな人生に干渉する。メディアが通ったあとは死屍累々である。メディアはしばしばその集合的なものの見方でもって、誰が成功し誰が失敗するのか、誰が生き誰が死ぬのかを決定する。(p.134) トランプの登場よりはるか以前から、政治というのは生きるか死ぬかの戦いのように思える。それは今やゼロサムゲームである。片方が利益を得れば片方は必ず損をする。片方の勝利はもう片方の死を意味する。(p.258) トランプにはもう一つ変わった特徴がある。自分の行動を、ほかの人たちと同じ視線で見ることができない。自分がどういう振る舞いを求められている農家が十分に理解できないのだ。彼には、大統領職を制度的理念や政治的理念として考えたり、儀礼や礼節や伝統を重んじたりする能力ー政治家としての手腕ーなど、到底なかった。(p.350) 怪しいマルチ商法のごとく次々にニュースが生み出され、新たな出来事によってそれまでの出来事が帳消しになるとすれば、それによってずっと生き延びていくことができるのだ。(p.398)
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トランプ政権の内幕を内部に入り込んだジャーナリストが描く。 政治の素人とも言うべきトランプが、予想外に健闘し、あろうことか当選までしてしまう。焦ったのは探られるとまずい爆弾ばかりもつ周囲の有象無象。 今どきコメディでもない展開だが、彼を大統領に選んだアメリカはどこで間違えたのだろ...
トランプ政権の内幕を内部に入り込んだジャーナリストが描く。 政治の素人とも言うべきトランプが、予想外に健闘し、あろうことか当選までしてしまう。焦ったのは探られるとまずい爆弾ばかりもつ周囲の有象無象。 今どきコメディでもない展開だが、彼を大統領に選んだアメリカはどこで間違えたのだろうか。
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面白かった。全部真実かはわかりませんが、トランプやその家族の無能ぶりは大体こんな感じなのでしょう。バノンが次期大統領選に出てくれば信憑性増すかもね。
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いわゆる「暴露本」ですが、ここまで内幕が描かれるのもそうはないのでは。トランプは、多くの人が感じていることかもしれないが、「大きな赤ちゃん」であることを再認識した。米国の有権者はとんでもない人物をプレジテントにしてしまったものだ。せめて1期でご退場願いたい。
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アメリカで発売直後、売り切れ続出だったトランプ政権のゴシップ本 の日本語訳。アメリカでの発売直後のニュースを見て、日本でも出し てくれないかなぁ…と思っていたら、早速、早川書房が出してくれた。 本文の前に主な登場人物一覧がある。それぞれがトランプ政権でどの ような役職を...
アメリカで発売直後、売り切れ続出だったトランプ政権のゴシップ本 の日本語訳。アメリカでの発売直後のニュースを見て、日本でも出し てくれないかなぁ…と思っていたら、早速、早川書房が出してくれた。 本文の前に主な登場人物一覧がある。それぞれがトランプ政権でどの ような役職を務めたかが記されているのだが、「のちに解任」「のちに 辞任」の文字のなんと多いことか。 それだけこの異端の政権のホワイトハウスがカオスだってことなのだ ろうな。 そりゃカオスかもしれない。自分の知名度を高める為だけに大統領選に 立候補して、まともな選挙戦術もなく、本人も大統領になる気なんて さらさらなかったドナルド・トランプなんだもの。 読み書きの能力が怪しく、集中力は欠如し、必要な文書さえも読もうと しない大統領を補佐しなくてはならないホワイトハウスの上級スタッフ は大変だったと思う。 特に政権初期の報道官であったショーン・スパイサーには同情する。 思い付きで言葉を発する大統領に、政治経験もないのに家族だという だけで政策に口をはさむ娘のイヴァンカと女婿のクシュナー、その イヴァンカ夫妻を敵視するバノンのプリーバス、そして政権に懐疑的 なメディア。 全方向敵だらけでよくやってたなぁと思うわ。大統領がドナルド・トラ ンプでなければ、きっと優秀な報道官だったろうに。 政権内の裏話盛りだくさんだが、トランプ政権の上級顧問で「のちに 辞任」に追い込まれたスティーブ・バノン側からの話によることろが 多そうなので、話半分くらいに捉えた方がいいのかも、それでも酷い んだが。 それにしてもファースト・レディであるメラニア夫人の姿がほとんど 見えないのだよな。 やっぱり彼女はドナルド・トランプに大統領になって欲しくなんかなく、 ひとり息子のバロンくんの成長を楽しみに、静かな暮らしをしたかった のかな。 昨年来日した時もあまり笑顔がなかったものな。
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退任してから書かれたものでなく、現在進行形であるところが恐ろしい。トランプ氏って何なんだ?こんな人が大統領とかありえるのか、ってか怖いんですけどーと、フェイクと言いたいけど妙に納得してしまう状況。傍観者としてなら、あるいはフィクションとしてなら純粋に楽しめるけど、同盟国、しかも世...
退任してから書かれたものでなく、現在進行形であるところが恐ろしい。トランプ氏って何なんだ?こんな人が大統領とかありえるのか、ってか怖いんですけどーと、フェイクと言いたいけど妙に納得してしまう状況。傍観者としてなら、あるいはフィクションとしてなら純粋に楽しめるけど、同盟国、しかも世界を左右する大国とあっては笑ってもいられない。これから世界はどうなってしまうのか、ニュースの国際面の裏の裏まで読み取りたくなるような内容でした。いやはや恐ろしい。
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「21世紀の精神異常者」こと、ドナルド・トランプの暴露本であり、アメリカでの発売から1.5ヶ月というスピードで出版された翻訳版。よくここまで微に入った取材ができたと思わせるくらい、本書で書かれているトランプ政権の実態はばかばかしく、500ページというボリュームを感じさせずに一気に...
「21世紀の精神異常者」こと、ドナルド・トランプの暴露本であり、アメリカでの発売から1.5ヶ月というスピードで出版された翻訳版。よくここまで微に入った取材ができたと思わせるくらい、本書で書かれているトランプ政権の実態はばかばかしく、500ページというボリュームを感じさせずに一気に読めてしまう。 本書では、トランプ政権の内部を、 ・スティーブバノンに代表されるオルタナ右翼の一座 ・トランプ実娘のイヴァンカ&婿養子のジャレッド・クシュナーの一座(2人の名前を組み合わせたジャーヴァンカと呼称される) の両者によるトランプ本人からの信頼をどちらが勝ち取るかという下劣なゲームと、そこから距離を置いて少しでも政策を前に進めようとする ・官僚的/ホワイトカラー的な一座 のダイナミックな権力闘争として描く。 さながら「21世紀の精神異常者たち」がホワイトハウスで繰り広げる乱痴気騒ぎとも取れるトランプ政権の歴史は、まさに空虚な権力闘争であり、恐らく何も生み出さなかったし、今後も生み出さないということを、諦念と共に理解できる。
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