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路上のX の商品レビュー

3.7

105件のお客様レビュー

  1. 5つ

    18

  2. 4つ

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  3. 3つ

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  4. 2つ

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2018/09/17

嫌悪感と虚無感と疾走感とやるせなさと理不尽さ。色んな感情が湧き出てくる作品でした。 舞台は渋谷。 親から「少しの間だけ」と言われて叔父の家に預けられた高校生になる真由。 その家では、非正規雇用で工場に働く酒に溺れる叔父と、パートで働く口の悪い叔母、そして小学生の2人の娘、この4人...

嫌悪感と虚無感と疾走感とやるせなさと理不尽さ。色んな感情が湧き出てくる作品でした。 舞台は渋谷。 親から「少しの間だけ」と言われて叔父の家に預けられた高校生になる真由。 その家では、非正規雇用で工場に働く酒に溺れる叔父と、パートで働く口の悪い叔母、そして小学生の2人の娘、この4人が暮らしている。 真由はそこで満足な食事や生活環境を与えられず、毎月2,000円の小遣いでお昼や文房具、身の回りのものをやりくりしないといけないという恵まれない生活を送っていた。 そんな中真由は生活のために働いていた唯一の居場所であるラーメン屋で性的暴行を受け、家や学校、そしてどこにも居場所が無くなって自暴自棄になりあわや風俗一歩手前の仕事に手を出すことに。 そこで真由に声を掛け、かろうじてそこから救い出してくれたのが2つ年上のリオナ。そのリオナは真由以上の辛い過去があり、その境遇を知った真由はリオナに心を開いて2人はリオナの知り合いの東大生が住むマンションに行く。 そしてそこから始まるのが冒頭に書いた「嫌悪感と虚無感と疾走感とやるせなさと理不尽さ」。いくつものネガティヴ感情が溢れ出し渦巻く親から見放された女子高生のストーリー。 うちの娘は高校3年生。本当にちょっとしたことで人の人生は大きく変わる。何不自由無かった生活が一晩で行き場のない生活に。 自分の居場所が無く、味方が一人もいないことかどれだけ人の心を蝕むか。 自分だったらどうする? 自分の娘がそうなったらどうする? それが他人だったら助けられるか? 色んな感情が湧き出てきますがなかなか答えが出ない。 男の性欲、女の嫉妬、人間の醜さや脆さを表現するのが上手い桐野夏生さんならではの作品。心がかなりエグられますが破滅に向かった疾走感はどんどんのめり込みます。先が気になり一気に読み終えました。

Posted byブクログ

2018/09/17

現実のことなのでしょう。都合の良すぎる主人公、登場人物たちにもう少し現実的、堅実になってほしいと思う。

Posted byブクログ

2018/09/03

現実社会でもこの本の中の少女達と同じような、それ以上の辛い生活を強いられている少女達が居ると思うと読んでいて辛かったです。 大人がこういう社会を作ってしまったんだと思います。 自分のこの年代の頃を思いだすとまるで子供だった。 大人びた友達は居たけど、楽しい時代でした。

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2018/08/30

色んな事情から行き所を無くし路上を彷徨い、邪な欲望の処理だけの為にJKを食い物にする男たちから得るお金で一夜の宿代を稼ぐしかない少女たちの生活が読んでいるだけで辛い。そしてこれが現実社会でも今現在でも至る所で行われているであろうと容易に推測される事が悲しい。

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2018/08/26

(2018.04.01読了) 親に捨てられた少女たちの物語。 住むところもなく、JKビジネスで稼ごうとするが、危険がいっぱい。 桐野夏生は好きな作家さんの一人だけど、 今回はあんまり合わなかったなぁ…。

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2018/08/20

3.5 リアリティある内容は作者の取材力と筆力の賜物なんだろうけどエンタメとしてはまあまあかな。ぐいぐい読ませる感じでは無かったです。

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2018/08/13

路上のX 桐野夏生さん。 大好きな作家さん。 普通の生活を送っていた少女が、 急に、親が失踪して、 親戚に預けられ、 その親戚に疎まれ、 前の生活のとギャップに、耐えられず、 家出をして、 渋谷の街で居場所がなく。 いろいろな体験をする話。 可哀想すぎて、 びっくりした。 ...

路上のX 桐野夏生さん。 大好きな作家さん。 普通の生活を送っていた少女が、 急に、親が失踪して、 親戚に預けられ、 その親戚に疎まれ、 前の生活のとギャップに、耐えられず、 家出をして、 渋谷の街で居場所がなく。 いろいろな体験をする話。 可哀想すぎて、 びっくりした。 JKビジネス。 怖い。 普通に暮らすって言うことが、 普通ではないんだなーと、 感じました。 親の身勝手。 少女のその後が気になり、続編が読みたいです。

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2018/08/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

こういう人達いそうだなあ、 と思えるほどにリアルで怖いです。 少しでも幸せになってほしいと祈るように読みました。

Posted byブクログ

2018/08/08

▼しかし、女子高生に声をかけてくるのは、高校生が御しやすく、安い相手だと見くびっている男がほとんどだ。彼らは、女子高生が小遣い欲しさに、男から声をかけられるのを待っている存在だと低く見ているのだ。(p.19) ▼「何を覚悟するの? 行き場がないって、そんなに悪いことなのかな」 ...

▼しかし、女子高生に声をかけてくるのは、高校生が御しやすく、安い相手だと見くびっている男がほとんどだ。彼らは、女子高生が小遣い欲しさに、男から声をかけられるのを待っている存在だと低く見ているのだ。(p.19) ▼「何を覚悟するの? 行き場がないって、そんなに悪いことなのかな」  真由に問われて、言葉に詰まった。もちろん、悪いことなんかじゃないよ。悪いのは、そこに付け込んでくる大人の男たちだよ。そう言いたかったが、口にできない。(pp120-121) ▼秀斗は、確かに自分からいろんなものを奪ってきた。リオナの体や時間だけでなく、誇りとか希望とか、そんな明るく前向きなものも。  それなのに秀斗には、奪っている意識や、金で買っている意識なんか皆無だった。むしろ、リオナを助ける「神」だと思っていた節さえあった。(p.289) ▼金を貰ったからといって、初めて会ったおじさんにフェラをして、セックスをする行為がどれほど嫌で辛いか。自分が女の子になってみなければ、男には絶対わからないだろう。(p.293)

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2018/07/31

10代の頃は彼女たちと似たようなもんだった。 ってもウチは親はマトモと言われるほうだったから、多分おかしかったのは私のほうだったんだろう。と、いつの間にか当時の怒りを忘れて世間に馴染んでしまっていた自分を発見。 まぁ 当時にしたってここまで悲惨な目には合わずにすんだんだけどさ、こ...

10代の頃は彼女たちと似たようなもんだった。 ってもウチは親はマトモと言われるほうだったから、多分おかしかったのは私のほうだったんだろう。と、いつの間にか当時の怒りを忘れて世間に馴染んでしまっていた自分を発見。 まぁ 当時にしたってここまで悲惨な目には合わずにすんだんだけどさ、この子達のような目に遭っててもおかしくはなかった。 自分は、全くただの幸運な子だったんだなぁ。 同じく周りの大人に恵まれない少女たちを描いた『未来』を読んだときにはどっちかと言うと母親目線で読んでたのに、この本では一気にン十年前の10代女子に戻されてしまったよ。 穏やかに他人事として感想が書けないな。 描写少な目で彼女たちの目線でタイトに書かれた話だからかもね。 『未来』との相違点は、あちらは「大人」に恵まれていず、こちらは「大人」に加え「男」にも恵まれず、更に搾取されている点。 真由をリオナをミトを、浅はかだとか短絡的だとか自己中だとかもっと考えろよとかやぁね思春期は支離滅裂だわとか、大人目線で批判するのは簡単だと思う。 私もいい加減結構な大人なんだしそう思っても良さそうなものなんだけど、先に「わかってよ!」が来る。なぜか。 で、そんな私だからこそ言えることもある。 この本自体に「救い」はない。 でも、この子たちはきっと強く生きていくよ。 救われなくとも満たされなくとも、強く生きていく。 脆そうな友情でも、共感できる相手がいることの大きさは、それだけを光として生きてきた人間にはわかるパワーがあるんだよ。 がんばれ。

Posted byブクログ