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奥さん、入りますけど。 の商品レビュー

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入れ替わりの範疇を越えた入れ替わりファンタジー

上司の肉体に精神が入り込んで(入れ替わって)しまうことがあらすじに記されおり、いきなり職場のマドンナとの逢瀬に遭遇する。これによって上司とOLが不倫していたことを知る主人公。次には大学時代の友人と会い、主人公も好意を寄せていたかつての同級生と友人が付き合っていたことを知る。ここで...

上司の肉体に精神が入り込んで(入れ替わって)しまうことがあらすじに記されおり、いきなり職場のマドンナとの逢瀬に遭遇する。これによって上司とOLが不倫していたことを知る主人公。次には大学時代の友人と会い、主人公も好意を寄せていたかつての同級生と友人が付き合っていたことを知る。ここでも入れ替わりが発生して図らずも同級生から、その見た目に反した積極さで迫られる。高嶺の花と思っていた女性から誘われる僥倖を感じながらも肉体は別との複雑さを滲ませるのだが、これらによって主人公が知る由もなかった世界を垣間見ることに本作の主題があると感じた。非現実なファンタジーではあるが、だからこそ可能な、ある種の願望を描いた点に唸ってしまう。 そして、ここからは予想のナナメ上を行く展開を見せる。入れ替わるのは男同士だけでもないし、もっと言えば人間同士でもないという幅の広さである。タイトルのように奥さんへ入り込めば男から迫られてしまうし、人間以外に入り込めば男女の営みを傍から堂々と覗き見ることと相成る。ついでに言えば、男から貫かれる快感をも知ってしまい、これに惹かれてしまうオマケ付きである。 そう考えると「奥さん、(ムスコが)入りますけど。」とイメージされるタイトルには他にも様々に受け取れる面があって興味深い。 そんな冒険(?)を繰り広げる主人公は自分の肉体へ戻ることに必死である。その必死さの中に甘い誘惑があることで寄り道を重ねているのだが、普段から通っている大衆食堂の1歳年上の看板娘という主人公にとって本当のマドンナの元へ如何にして辿り着くか、その際にこの能力を活用して良いのか、といった葛藤がもう1つの本線であり、これが面白味のある捻りを経由して収束していくのは展開の上手さを感じるところである。 官能面については様々な立場や立ち位置および性別で描かれるために中にはヒットしない類も出てくるだろう。個人的には中身が男のまま女性の立場で責められても興奮することはなかったのでスルーするように読み進めた箇所もある。ただし、性癖はそれぞれなので、どれが好みに合致するかは分からない。それよりも軽妙なタイトルに反していろいろと含蓄のある物語が紡がれていることに驚く。さすがと申し上げある。

DSK