CONQUEST の商品レビュー
ゴシック建築の如き過剰装飾の極致。硬派な立体造形作家に転向した廃墟マニアのヘンリー・ダーガー、現代に降臨したヘレニズム嗜好のヒエロニムス・ボスとでも言えば良いのか…偏執的に増殖していく緻密すぎるミニチュアゴシック集合体。画集を一見した感じだとまるで超細密なミニアチュールのようで、...
ゴシック建築の如き過剰装飾の極致。硬派な立体造形作家に転向した廃墟マニアのヘンリー・ダーガー、現代に降臨したヘレニズム嗜好のヒエロニムス・ボスとでも言えば良いのか…偏執的に増殖していく緻密すぎるミニチュアゴシック集合体。画集を一見した感じだとまるで超細密なミニアチュールのようで、まさかこれが立体造形だとは思えない。あまりに緻密すぎて、拡大写真でも捉えきれない細部がボヤけてしまっている。立体造形なので正面から撮った写真だけでは隠れてしまう部分もあり実物を見てみたくなるが、恐らく作品を実際に目前にしたとしても、大小様々なフィギュアたちのドラマが所狭しと詰め込まれ過ぎていて、一作品を鑑賞するのに数日間は必要になりそうだ。 有名な絵画や仏像・神像などの彫刻作品をオマージュした中央メイン部のモチーフの上や周りでは、小さな兵隊たちが残虐な戦闘を繰り広げている。教会戦車や銀行戦車の作品にも見られるように、恐らく子供の頃の戦争ごっこの延長線上に位置する風刺作品群だと言えそうだが、兵隊フィギュア遊びも極め尽くすとこんな所まで辿り着いてしまうのだろうか…。大小様々なサイズの、太古から現代まで時を超えた人や動物、機械部品やらが時空を超えた神話として入り乱れ混じり合う。頭部モチーフや作品下部の不気味な装飾や質感は、HRギーガーの世界観と奇妙に酷似している。 アンティークの緑青のような色合いが太古の遺物のように感じられ、所々着色された血のような毒々しい赤がグロテスクで生々しく、人類の何万年にも及ぶ蓄積された血塗られた歴史を凝縮しているように思える。下半身だけ突き出してる作品が多いのが気になるけども、作者は相当なお尻好き?wそれとも性欲を表す象徴だろうか?爬虫類のモチーフも多く、人類が誤魔化し翻弄され続けてきた内なる本能的な獣性を意識化させるのがテーマなのか?闇の部分を抉り出し、臭い物を封じ込めた蓋を開け放つような作風。 もしこれが機械仕掛けで動き出しでもしたら、さも美しく壮絶な悪夢だろうなと。戦闘シーンの動的なドラマ性に反して作品から感じる化石のような冷たさと静謐さは、地下に堆積した社会集合無意識のカタコンベに通じる墓標を連想させる。
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