百貨の魔法 の商品レビュー
書き下ろし 人の善意、温かさを肯定するこういう物語が好き。涙腺緩みっぱなしで困るのだけれど。 風早市にある星野デパートは、戦後の焼け野原から復興したシンボルとして、人々の暮らしと幸せを守ることを社是とし、街の人々からも従業員からも愛されてきた。屋上に遊園地のある老舗デパートに...
書き下ろし 人の善意、温かさを肯定するこういう物語が好き。涙腺緩みっぱなしで困るのだけれど。 風早市にある星野デパートは、戦後の焼け野原から復興したシンボルとして、人々の暮らしと幸せを守ることを社是とし、街の人々からも従業員からも愛されてきた。屋上に遊園地のある老舗デパートには、シンボルのステンドガラスに描かれた白い子猫が現れて願いを叶えるという噂がある。 入社2年目のエレベーターガール松浦いさなは、姉妹都市の北欧から来た市民オーケストラの少女が客船の火災で行方不明になった母が持っていた焼け焦げたテディベアの修理を望んでいると知って力になり、勇気付けるが、自身の行方不明になっている父の声を聞き、父が見たという空飛ぶ鯨を見る。 テナントの靴店の百田咲子は、母が亡くなり父も倒れたために自分が歌を作りヒット曲を出したバンドをやめて家業を継いだ。連絡も取らなくなったツインボーカルの片割れはが芸能界に残っていることを羨ましく思っていたが、行くことを諦めた最後のコンサートで歌う夢を見た。 宝飾贈答品フロアの責任者佐藤健吾は小学生の時に、屋上の遊園地で母に置き去りにされ捨てられた過去があったが、遠方で自分の名前を書いた紙を持った老女が入院したことを知らさせ会いに行って迎える。 資料室勤務で自分は美しくないと思う早乙女一花は、高校生の時に絵のコンクールで星野百貨店の思い出を描いて佳作になったが、群を抜く大賞作の力量に圧倒された。その作者は売れっ子のイラストレーターになっていたが一花の作品の暖かさに惹かれ続けていると星野百貨店を訪ねて来た。一花は化粧品コーナーの美容部員に美しさの引き出し方を教わり、浴衣を着て屋上で二人で花火を見る。 これら全ての話に謎の新人コンシェルジュの結子がかかわるのだが、最後の章で結子の正体がわかり、希望がわく。 こんな老舗デパートには行ってみたいし、ずっと残り続けて欲しい。
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連作短編5編+幕間 おしゃれな一幕ものの芝居を見ているような楽しさ.どの物語もあたたかな思いであふれていて,クリスマス前に読むのにぴったりの物語だった.「精霊の鏡」の絵の好きな二人がうまくいきますようにと祈りました.
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街の小さな百貨店で起こるささやかな魔法が素敵。 街に大事にされ、そこで働く人も集う人も大切な思い出がそこにはある。 少女だった彼女も成長し、そこにある思い出を大事に百貨店を継ごうとする。 見守る人も温かく心が満たされる感じがした。
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子どもの頃のデパートは 休みの日に、家族でおしゃれをして出かける場所だった。 親の買い物につきあったあと、 最上階のレストランでお子様ランチを食べて おもちゃ売り場でおもちゃをひとつだけ買ってもらう。 私はそんな思い出を持つ最後の世代かもしれない。 不思議なことが次々と起こる風...
子どもの頃のデパートは 休みの日に、家族でおしゃれをして出かける場所だった。 親の買い物につきあったあと、 最上階のレストランでお子様ランチを食べて おもちゃ売り場でおもちゃをひとつだけ買ってもらう。 私はそんな思い出を持つ最後の世代かもしれない。 不思議なことが次々と起こる風早の街。 この街にある老舗デパートにも やはり幸せな奇跡がたくさん起きていました。 この作者の物語を読むと必ず、 子どもの頃の幸福な読書体験を思い出すのですが 今回も、デパートの思い出と共に そんな記憶がよみがえって来ました。 毎回物語のどこかに、思い出の起爆剤のようなものでも仕込んであるのかしら。。。
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夢があってほっこりできて、ホロホロ泣ける素敵な本でした❤︎ 働く人を大切にしているから、働く人も会社を大切にしてて、大事に守ってるから、こんなあったかい気持ちになれるお話が出来るんやろーなと思いました。 こんな素敵な会社があったら、ぜひとも働きたいっっ‼︎笑 魔法の猫に出会えたら...
夢があってほっこりできて、ホロホロ泣ける素敵な本でした❤︎ 働く人を大切にしているから、働く人も会社を大切にしてて、大事に守ってるから、こんなあったかい気持ちになれるお話が出来るんやろーなと思いました。 こんな素敵な会社があったら、ぜひとも働きたいっっ‼︎笑 魔法の猫に出会えたら私は何を願うかなぁ。 思い浮かばないって事はそれなりに充実してるからかなぁ。 この本をツイで紹介してくれた本屋さんに感謝❤︎
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見たものの願いを一つ叶えてくれる猫がいる百貨店。内装も働いている人たちも、とても素敵な百貨店でした。 願いを唱えながらも、前を向き、一歩を踏み出そうとする様子は、読み手の背中を押してくれる作品でした。 伏線も見事に回収されていて、百貨店の再建もとても気になります。どのように再建さ...
見たものの願いを一つ叶えてくれる猫がいる百貨店。内装も働いている人たちも、とても素敵な百貨店でした。 願いを唱えながらも、前を向き、一歩を踏み出そうとする様子は、読み手の背中を押してくれる作品でした。 伏線も見事に回収されていて、百貨店の再建もとても気になります。どのように再建されるのか…続きを読みたくなりました。 この著者の方の作品はいつもあたたかさと優しさや愛情がたくさん詰めこまれていているなあと思います。 今回も読み終わったあと、穏やかな気持ちになり、あたたかくなりました。
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+++ 時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける――...
+++ 時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける――。百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される「白い猫」が織りなす、魔法のような物語! +++ 風早の街に古くからある星野百貨店が舞台である。建物にも年季が入り、決して近代的とは言えないが、昔からの電灯が脈々と受け継がれているような、愛着のある重々しさがある。街の人たちに愛され、もちろん従業員たちにも愛されている星野百貨店なのだが、もう先がないという噂が飛び交うようなこのごろである。そんなときに、新しく作られたコンシェルジュとしてやって来た芹沢結子は、ちょっぴり不思議な存在ながら、誰からも愛され、なんとなく懐かしさをも感じさせられる女性である。彼女はいったい何者なのか。そして、金と銀の瞳を持つ不思議な白猫の噂とともに、百貨店で働く人たちや、子どものころからお客として来店していたひとたちの、それぞれの深い思いが描かれていて、星野百貨店の存在の大きさがうかがい知れる。どこを読んでも、人のまごころのあたたかさに涙を誘われ、とてもしあわせな心地にさせられる。外では読めない一冊でもある。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
とても優しくてあたたかく、懐かしい気持ちになれるお話。 あぁ、そうだ、子供のころ、よそゆきのお洋服を着て、親に連れられて、百貨店に行ったなぁ、という日を思い出します。 今は、あの頃に連れて行って貰った百貨店は、改装を終えたり改装中だったりするけれど、ずっと大好きだったレトロな内装の一部は、移築されたりしていて、あれを見つけた時には、涙が出るほど嬉しかったなぁ、という気持ちまで思い出しました。
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【収録作品】第一幕 空を泳ぐ鯨/第二幕 シンデレラの階段/第三幕 夏の木馬/第四幕 精霊の鏡/幕間/終幕 百貨の魔法 著者らしい、心温まる話。日々の努力を馬鹿にしない生き方やささやかな夢を見る力を肯定してくれる。
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ゆっくりじっくり読める日を待ってしっかり堪能。 期待していた以上に暖かいものが心にあふれてきて、外出先で読まなくて大正解。 読み終えて、その本をしっかり抱きしめたくなるなんて、そうあることじゃない。その中のみんなが、とてもとてもいとおしくて。 謎のコンシェルジュ結子は、軽やかに星...
ゆっくりじっくり読める日を待ってしっかり堪能。 期待していた以上に暖かいものが心にあふれてきて、外出先で読まなくて大正解。 読み終えて、その本をしっかり抱きしめたくなるなんて、そうあることじゃない。その中のみんなが、とてもとてもいとおしくて。 謎のコンシェルジュ結子は、軽やかに星野百貨店をしなやかに、泳ぐように動き回っているようで、みんなが実は魔法の白い猫なのでは、と空想するのも不思議ではないみたい。 だからこそ、結子目線の物語が圧倒的に胸にせまってくる。 色々な人から見た結子がきれいに1つにまとまって、ああ、と胸に落ちてくる。 星野百貨店は、きっと、大丈夫。 私が、いつかそこにたどりつけるまで、そこで待っていてほしい。 なんて、ね。
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