1,800円以上の注文で送料無料

日本二千六百年史 新書版 の商品レビュー

3.4

5件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    3

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/03/27

これが戦前の1939年、つまり日本がすっかり軍事国家になっていた当時に書かれた本であることに驚く。 著者は政府や軍を賛美する姿勢もなく、日本の国難を乗り切るために、古代から日本の歴史を振り返り、国民に日本人のアイデンティティに目を向けさせ、日本の進むべき道について国民的世論を起...

これが戦前の1939年、つまり日本がすっかり軍事国家になっていた当時に書かれた本であることに驚く。 著者は政府や軍を賛美する姿勢もなく、日本の国難を乗り切るために、古代から日本の歴史を振り返り、国民に日本人のアイデンティティに目を向けさせ、日本の進むべき道について国民的世論を起こさせようという野心を感じる。 今の日本は失われた30年、コロナ禍、更にオリンピック投資の回収不能による財政悪化で、国力衰退に向かっている。そんな局面で、↓このフレーズに見られるように、いま歴史に学ぶことの重要さを思い知る。 -- 試みに日露戦争直後の帝国議会を見よ。この議会に於て第二次桂内閣は、一面に於て、平民が負担すべき戦時特別稅、即ち戦後の撤廃を約束せる通行税・織物稅及び塩専売法を存続せしめんとし、他面に於て、公債償還資金の増加、並びに国債利子所得税の免除を企てた。国債利子の所得税は、富豪にとりて決して大なる重荷でない。けれども之を免除してその歓心を買わんとした。公償還資金の増加は、公債時価を騰貴せしめて銀行業者を喜ばせんとしたのである。平民は戦争に疲れ果てたる上に悪稅を存続せられ、富豪は特別なる眷顧を受ける。この議会の光景こそ、日露戦争以後に於ける日本政治の典型である。

Posted byブクログ

2020/08/15

大川周明 日本二千六百年史  神話的な国家建設から満州事変までの通史。東亜新秩序(アジアの日本化)の必要性を説いているような構成。 大化改新、鎌倉幕府の創立、徳川幕府の大政奉還、明治維新を歴史の転換点とし、聖徳太子、道元、織田信長を政治、思想の革命者としている スクラッ...

大川周明 日本二千六百年史  神話的な国家建設から満州事変までの通史。東亜新秩序(アジアの日本化)の必要性を説いているような構成。 大化改新、鎌倉幕府の創立、徳川幕府の大政奉還、明治維新を歴史の転換点とし、聖徳太子、道元、織田信長を政治、思想の革命者としている スクラップ&ビルド思想は、この時代のインテリの共通思想だったのか「総てが改造即ち破滅の道程にある〜その破壊は必ず建設のための破壊でなければならない」 国家の建設についての著者の論調は危険思想もあるが、惹かれる部分もある *日本精神の最も著しきものは、入り来る総ての思想や文明に方向を与えること *日本書紀は〜強大なる国民的自覚並びに反省の所産である *我は 非我との対立により確立する〜日本は中国との接触によって国民的自覚を持った 日本建国の理想「あまつひつぎのみさかえ、あめつちとともにかぎりなけむ」天地の開闢(かいびゃく)、宇宙の生成を説いている 国民の天皇に対する関係は〜宗教的。国民が天皇に対して正しき関係を実現することは忠 古代の戦争は、まつろはぬものを まつろはす(同一の神を崇拝する)もの〜まつろひさえすれば 皆同胞 徳川初期は、元気と希望に充ちた時代〜されど思想信仰を欠いた時代。暗黒光明を征服せんとする傾向を示す〜仏教を根本信仰とする鎌倉時代との違い

Posted byブクログ

2018/11/22

思想家 大川周明が第二次世界大戦が勃発した1939年(皇紀2599年)に発表した歴史書。日本2600年の歴史を独自の視点で論じてます。高天原から江戸幕府の終焉まではかなり詳細に記述されています。源頼朝や足利尊氏への見方は面白いです。ここに書かれている事が当時の日本人にとって一般的...

思想家 大川周明が第二次世界大戦が勃発した1939年(皇紀2599年)に発表した歴史書。日本2600年の歴史を独自の視点で論じてます。高天原から江戸幕府の終焉まではかなり詳細に記述されています。源頼朝や足利尊氏への見方は面白いです。ここに書かれている事が当時の日本人にとって一般的な考えだったかは疑問ですが、日本民族が、普通に日本民族としていられた時代の歴史観を垣間見ることができ、目からウロコな内容がたくさんあります。あえて今の時代に読むのが良いと思いました。本書は世界維新に向けての提言で終わります。

Posted byブクログ

2018/05/28

新聞のセンセーショナルな広告で興味を持ったけど、 別にぶっ飛んだ内容ではなかった。 1つの視点としては面白い。 こうして、通史でダァーっと読める本て、そう考えると意外と少ないなぁと思った。 やっぱ歴史は流れだから。

Posted byブクログ

2018/02/25

最近(2018.2)日経新聞の広告欄で、戦前(昭和14年)に書かれた本が、当時検閲で削除された部分が復活して出版された、と宣伝されていたので興味を持ちました。 本の中には、該当箇所に傍線が引いてありその部分はすぐにわかります。書かれた文体は少し古いので少々読みにくいところがあり...

最近(2018.2)日経新聞の広告欄で、戦前(昭和14年)に書かれた本が、当時検閲で削除された部分が復活して出版された、と宣伝されていたので興味を持ちました。 本の中には、該当箇所に傍線が引いてありその部分はすぐにわかります。書かれた文体は少し古いので少々読みにくいところがありますが、傍線を探しながら読んだという感じです。 私が最も印象に残ったのは、実は本の前半部分で、広告にも掲載されていた事ですが、日本の今の地名の多くは「アイヌ語」が含まれているとのこと。北海道に行ったときに、同じ漢字でありながら読めないものが多く、これはアイヌ語のせいだ、と理解していた覚えがありますが、北海道以外にもそのような名残があることに改めて気づきました。そういえば、どの地方でも駅の名称、地名等、漢字を習っていても読みにくいものが多いですね。 この点について今後さらに学んでいきたい、という「きっかけ」を与えてくれたという点で、この本は記念すべきものになりました。 以下は気になったポイントです。 ・日本国民の天皇に対する関係は、その本質において父母に対する子女の関係と同一である、子女が父母に対して正しき関係を実現することが「孝」である、同様に日本国民が天皇に対して正しき関係を実現することが「忠」である。日本の天皇は、家族の父、部族の族長が共同生活体の自然の発達において国家の君主となり、もって今日に及べるが故である(p29) ・有史以前の太古において、日本はアジア大陸と同じく、南北二大勢力の争闘の舞台であった。南方の民は、今日の日本民族であり、北方の民はすなわち、アイヌ族である。初め日本は恐らくアイヌ民族の国土であった、この根拠は南は九州より北は奥羽に至るまで、日本の地名はほとんどアイヌ語らしき事である、日本語としては到底解釈し得ざる地名も、アイヌ語の転訛としてみると明らかなことが多い(p33) ・アイヌ人という勇武なる先住者をこの国土にもたなかったならば、南方民族(大和民族)に免れがたき文弱におちいり、今日のような国家建設ができなかったかもしれない。(p34) ・日本史は明らかに4期に分けられる、1)建国より大化革新、2)鎌倉幕府創立まで、3)徳川幕府の大政奉還、4)明治維新後(p47) ・室町幕府は、その外面組織は鎌倉時代と同一であるが、その政治を有効ならしめる統一力を欠いていた。(p143) ・江戸時代は、徳川氏を盟主と仰げる260余国からなる連邦の観があった、当時の大名の領土は、約20の大諸侯を除けば、大は数郡、小は半郡にも及ばない(p195) ・五番方と呼べる、大番・書院番・小姓組番・新番・小十人組、は将軍の親衛として江戸城を警護、書院番は駿府、大番は二条・大阪の在番も務めた(p196) ・領土の大小を問わず、各大名はみな独立対等であった、1万石の大名とは、1万石のコメを産する土地の君主の意味、収穫のうち30-40%をお蔵入りとして、君主の収入としていた。但し石高には表高、内高があり、名義上1万石でも実際は数万石の収穫(内高)が上がる土地もあった。表高は軍役高とも言い、100石につき3人の兵を雇う必要があった(p260) ・幕府創立当時には、1800万石、元禄時代に2600万石、天保時代に3000万石、徳川氏所領は、初期は400万石、末期は800万石(p261) ・フランス革命はナポレオンの専制、ロシア革命はレーニン及びスターリンの専制によりなりつつある、明治維新はその専制者を明治天皇にあてた(p276) ・旧来の調停直轄地、及び、幕府旧領地を分ちて、府・県とし、全国諸侯は、273を算し、9府20県と、273藩に分割した(p277) ・全国に8大学、256中学、5万3760小学の設立する計画を立てた(p281) 2018年2月25日作成

Posted byブクログ