すごい博物画 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
〇宗教的な自然科学から、観察の近代的な自然科学への過渡期。絵画としても美しい! ◎大航海時代、芸術家meet世界の動植物! ◎人類が初めて描いたのは動物。 植物でも、風景でも、自分たち自身でもなく、動物だった。 それはなぜか? ◎古代の自然科学者たちの権威を衰えさせた 【レオナルド・ダ・ヴィンチ】 マーティン・クレイトン “世界を彩る自然のすべての作品” ・自然の風物、動植物、解剖学的構造画 〇自身が学者でもあったダ・ヴィンチの博物画は、そのとき興味を持っていたテーマが絵に反映されている。 【カッシアーノ・ダル・ポッツォの紙の博物館】 レア・アレクサンドラトス “オオヤマネコの真実の目で” ・骨董研究家かつコレクターであったカッシアーノの「紙の博物館」は古代世界や自然界に関する何千点もの絵や印刷物を収録する視覚的な博物館。 ・自分のコレクションを絵に描かせた 〇動物は死んだものを描いてるので、少し萎びた感じや想像で描いた部分もある 〇植物がそのまま陶器などの絵付けに使えそうな美しさ 【アレクサンダー・マーシャル】 スーザン・オーウェンズ “あの興味深い花の細密画の本” ・17世紀の手描きの花譜で英国芸術界唯一 科学的な発見の記録ではなく、楽しみのために描いた→甥は反対のことを記している プロの園芸家であり、商人でもあった ・植物は薬効より美しさにスポットライトがあたりはじめた時代。図式ではなく、美しく描かれるようになった。 ・「彼は子を残さなかったが、その誠実さと才能ゆえに、与えられた寿命より長く生きることができるだろう」 〇花々のすました姿ではなく、庭での取り繕わない姿を描いている。ヒマワリとグレーハウンドの絵が好きだ 【マリア・シビラ・メーリアン】 マリア・オーウェンズ “すばらしき勤勉、気品、そして魂” ・『スリナム産昆虫変態図譜』『ヨーロッパ産鱗翅類ーその変態と食草』 ・幼少の頃から芸術と自然科学が身近にあり、昆虫学に魅せられる。13歳のときから、イモムシやハエ・クモの研究を始める ・52歳のときに娘とともにチョウと蛾を研究するため、オランダ領スリナムに旅立つ。公的援助や研究成果の出版の約束もなく、他の研究者との交流もない中での苛酷なフィールドワーク。 ・必ずしも正確ではない ・コモリガエルの生態を解説・出版した最初のヨーロッパ人 カエルの絵がいくつか。カエラーかな? ・昆虫を愛する人だけでなく、美術を愛する人にも魅力的な本を出版した 〇幼虫を持ち帰り甲斐甲斐しく世話をし、蛹からチョウへと姿を変える。筆舌に尽くしがたいほどの困難だったろうけど、残した絵画を見ると、それを上回る感動を得たのだろうなあと 色の鮮やかさ!繊細さ! 〇渦巻きに萌えた画家 〇蜘蛛のフカフカさ 【マーク・ケイツビー】 スーザン・オーウェンズ “博物学の天才” ・『カロライナ、フロリダ、バハマ諸島の自然史』 ・17世紀の英国…庭園文化の発達 →新世界の植物に対する好奇心 ・リョコウバトの絵 ・生きている状態の動物を描くことに心血を注いだ …魚はすぐに色を失うため、連続して調達する ・絵のない正確な解説文よりも、正確に適切な色で描かれた図譜のほうが価値があるーとした。 〇著者は相対的な大きさの不正確さについて物申しているけど、アート作品としてはむしろ面白くなっている
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イギリスのロイヤルコレクションの博物画を紹介した本。 記載されているのは、レオナルド・ダ・ヴィンチ、カッシアーノ・ダルポッツォ、アレクサンダー・マーシャル、マリアシビラ・メーリアン、マーク・ケイツビー。レオナルド・ダ・ヴィンチはよく知られているので、以前に見たことがある画もあった...
イギリスのロイヤルコレクションの博物画を紹介した本。 記載されているのは、レオナルド・ダ・ヴィンチ、カッシアーノ・ダルポッツォ、アレクサンダー・マーシャル、マリアシビラ・メーリアン、マーク・ケイツビー。レオナルド・ダ・ヴィンチはよく知られているので、以前に見たことがある画もあったが、彼以外の人物についてはよく知らなかった。 博物画について、ダヴィンチは日本語で言う「百聞は一見にしかず」のようなことを言っている。 文章で書かれたものよりも、絵で見るほうが多くのことがわかるということだ。 博物画はその精神で描かれているが、一方で芸術性の感覚もあって、画家の想像力が反映されていたりする。描かれた動物と植物の寸法が違っていたり、現実にはありえない物が組み合わされていたり。それも博物画の面白さだ。また解説のデヴィッド・アッテンボローの見解が面白くて楽しめる。 色々面白い絵があるが、デューラーのサイの絵は有名で、自分がデューラーに興味を持つきっかけになった。 また絶滅したアメリカの旅行鳩は、歴史上の動物としては知っていたが、その姿をカラーの絵で見たのは初めてだった。 今は絶滅した昔の動植物の姿を知る手がかりとして、博物画には大変意味があると思う。 ちなみに、自分の家系では江戸時代のご先祖様に博物画家がいる。 国会図書館に収蔵されている絵を見たことがあり、この本の画家たちに通じる「何でも見てやろう」精神を感じる。 後世の自分たちは当時の図鑑を見るような楽しみ方で良いと思う。
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15世紀後半~18世紀初めの大航海時代の博物画集。 ウィンザー城のロイヤル・ライブラリー所蔵の レオナルド・ダ・ヴィンチ、アレクサンダー・マーシャル、 マリア・シビラ・メーリアン、アーク・ケイツビーの作品。 同じくカッシアーノ・ダル・ボッツオの「紙の博物館」からの作品。 87点の...
15世紀後半~18世紀初めの大航海時代の博物画集。 ウィンザー城のロイヤル・ライブラリー所蔵の レオナルド・ダ・ヴィンチ、アレクサンダー・マーシャル、 マリア・シビラ・メーリアン、アーク・ケイツビーの作品。 同じくカッシアーノ・ダル・ボッツオの「紙の博物館」からの作品。 87点の水彩画やデッサンを紹介。挿絵リスト、参考文献有り。 アッテンボローとロイヤル・ライブラリーのキュレーターによる 解説で、自然界の豊かさとそれに注目した人々の関心が昇華した 博物画を紹介しています。 ダ・ヴィンチの芸術活動でのデッサンは身近な生物が対象。 細部まで詳細に描かれ、解剖により動物の動きの根本まで探る。 ダル・ボッツオは遠方からの生物が持ち込まれた時代、 視覚的な百科事典「紙の博物館」のために、 多くの画家たちに絵を描かせ、自然史研究に寄与。 マーシャルは園芸への興味が高まった時代、 自らの楽しみで身近な植物や生物を花譜に描く。 メーリアンはまさに虫愛ずる姫君。17世紀、船旅も困難な時代に 自ら遥か遠方の南米に旅し、未開の地で主に昆虫たちを写し取った。 ケイツビーは植民地であったアメリカで、多くの生物や植物を 生態の相互関係も写し取り、博物学を意識した作品を残した。 写真とはまた異なる、生物を詳細に描き残した博物画の数々は、 彼らの生き生きとした様子まで表現されているかのようです。 その目で見、観察し、その手で姿を写し取る。 そんな素晴らしさを伝えてくれる画集です。
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