2030年ジャック・アタリの未来予測 の商品レビュー
グローバル化による市場と民主主義の崩壊から起こりうる大惨事を食い止めるためには利他主義という捉え方に立って行動するよう説かれていた。
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資本主義への警鐘と受け取れた。利他的に振る舞えるよう、1人1人が内面から変わっていかないといけないという著者の啓蒙書。語られている事実は衝撃的で、説得力があった。 一方で、変わっていかなければいけない理想は分かるけど自分が損をしないためにマネー社会に飛び込んでいかなければいけない...
資本主義への警鐘と受け取れた。利他的に振る舞えるよう、1人1人が内面から変わっていかないといけないという著者の啓蒙書。語られている事実は衝撃的で、説得力があった。 一方で、変わっていかなければいけない理想は分かるけど自分が損をしないためにマネー社会に飛び込んでいかなければいけないジレンマもある。一般人にはなかなか難しい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
現在世界の地政学や宗教から来る敵対関係、内情事情、環境問題、貧困、公害、高齢化など多様な社会的な懸案事項を取り纏めて解説して今後の動向をどう見極めるか?を提示してくれている。そこまではとても興味深いものがあったけど、ラストの回答とう言うか今後の指針は特別なものは無かったかなぁ〜けどね、出来るだけアンテナを高く上げていないと2030年までの荒波を乗り切る事が難しいんだよって、それは強く伝わって来た。本当にこの本で書かれていることの全てが起こるとは言えないけれど、形は少し違えども似たり寄ったりの事件や事象が発生するんだと思う。それに備えることを始めるきっかけにはなると思う。これからの世の中、情報は最大の武器だから、早く気付いて上手く使うスキルを身につけて荒波を乗り越えていきたい。
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ジャック・アタリが天才だからだろうが、現在の状況やら分析やらがどんどん押し寄せてきて、のどに詰まって飲み込めないといった感じである。結論も分析の続きのようで、なんでそのような結論が導かれたのかいまいち消化不十分である。 世界全体で見れば生活水準は上がり技術は進歩し順調に見える...
ジャック・アタリが天才だからだろうが、現在の状況やら分析やらがどんどん押し寄せてきて、のどに詰まって飲み込めないといった感じである。結論も分析の続きのようで、なんでそのような結論が導かれたのかいまいち消化不十分である。 世界全体で見れば生活水準は上がり技術は進歩し順調に見える反面、富の偏在や気候変動などの環境悪化、保護主義化や原理主義者の台頭などの混乱要因があり、2030年には大混乱になるだろう、という議論である。現在の状況なり課題が勢ぞろいでまとめてある。 結論として、それを阻止するためにみんなが行動する必要があり、国連に機関を設立しろとか世界通貨を導入しろとか10項目を提案している。普通の人なら数冊以上の本になるような内容を凝縮して書いている感じである。 本書を読んでなるほどと理解納得し、ジャックアタリが期待するような行動を取れる人が一体どれだけいるだろうか?私の読解力がないだけかもしれないけど…。
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要約ダイジェスト 2030というと後わずか干支一周分だ。 その時50前なので一発当てない限り、まだまだ現役であることを考えると、世の中の先を知っておく必要があろうと思う。 インターネットは情報収集のハードルを下げた。従い、世界のどこかで今起こっていることはある程度わかるように...
要約ダイジェスト 2030というと後わずか干支一周分だ。 その時50前なので一発当てない限り、まだまだ現役であることを考えると、世の中の先を知っておく必要があろうと思う。 インターネットは情報収集のハードルを下げた。従い、世界のどこかで今起こっていることはある程度わかるようになった。 しかし、これらを組み合わせて未来を予測することは難しい。例えば仮想通貨なんて10年前思いもしなかった。(不勉強だったからかもしれないが) 未来に備えるためには、考え方を知っておく必要がある。この本はちゃんと全部読んでみようかな。
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世界を取り巻く現状から2030に向かって、次の大戦が起きかねないと予想。これの裏付け的な文章が9割がた続くのが読んでいて辛い。この手の本によくある参考文献の多さも… ホラーストーリーからの主題としては、憤懣が充満して行く世界において、「利他の精神」がキーワードと説いている。 トル...
世界を取り巻く現状から2030に向かって、次の大戦が起きかねないと予想。これの裏付け的な文章が9割がた続くのが読んでいて辛い。この手の本によくある参考文献の多さも… ホラーストーリーからの主題としては、憤懣が充満して行く世界において、「利他の精神」がキーワードと説いている。 トルストイは「人生にはただひとつだけ疑いのない幸福がある ~ 人のために生きる事である」と言っているし、共通の部分は精神性としてはあるのだろう。 本の中では、「集団の活動に大きな変化が必要な際には、すべて必ず個人が変わることから始まる。」であったり、「自分自身になる」というキーワードも。これは「自他共の幸福」という事なのだろう。 著者は、アルジェリア生まれのジャックアタリ氏。フランスのご意見番といったところか? いくつかの「〜せよ」説を挙げているのだが、彼の説を実現させるのは政治の範疇では無いし(フランス向けの部分は政治に対してかな)、利益追求の組織でもない。個人が変わるしか無いと言いながらも、多くの人を糾合し団結させ大戦を回避させる力を持つものはなんなのかについての考察がほぼなくて、「~せよ」って言うのは、個人的には、ちと共感しにくかった。
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順調に推移している世界と悲惨になりつつある世界をそれぞれ具体的に上げて、それらを合わせて、未来を考察します。 市場と民主主義はお互いに強化しあいながら新たな富の創造を促進するはずであったが、世界は既にとじておらず、まったく別の力学が働いていて、この力学こそが従来の市場と民主主義の...
順調に推移している世界と悲惨になりつつある世界をそれぞれ具体的に上げて、それらを合わせて、未来を考察します。 市場と民主主義はお互いに強化しあいながら新たな富の創造を促進するはずであったが、世界は既にとじておらず、まったく別の力学が働いていて、この力学こそが従来の市場と民主主義の蜜月関係を破壊し、世界を逸脱させた。その力学とはグローバル経済であり、国際的な法整備を喫緊の課題として挙げています。 また、自分の幸福は他者の幸福に依存していることに自覚して、世界のためにも行動する準備をしろとも訴えます。 未来予測というより、エリート層に向けての世界の協調とノブレスオブリュージュを諭した書と読みました。
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まあ書いて有ることは面白いんだけど、それに対するアクションプランがすげーフランス人で笑う。仏教徒からすると。
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「これまでに述べてきたことから判断すると、これらの問いに対する答は否定的だ。最悪の事態が起きる可能性はきわめて高い。二〇三〇年までに大きな危機や壊滅的な戦争が起きる。そして世界的な危機や戦争は、人類に不可逆的な被害をもたらす。 否定的な理由は、地球規模の複合的な課題を自覚してい...
「これまでに述べてきたことから判断すると、これらの問いに対する答は否定的だ。最悪の事態が起きる可能性はきわめて高い。二〇三〇年までに大きな危機や壊滅的な戦争が起きる。そして世界的な危機や戦争は、人類に不可逆的な被害をもたらす。 否定的な理由は、地球規模の複合的な課題を自覚している人々の数が極めて少ないからだ。また、それらの課題を理解したところで、今日、全世界に作用する巨大な力をねじ曲げられるとは思えないからだ。…」 「… そして、民主主義が機能するのは国内だけであるため、民主主義はまもなく幻想になると覚悟しておく必要がある。。そして民主主義と市場は近視眼的な要求によって逸脱するかもしれないと心得て置くべきだ。」 ”自由を求め怒りにかられつつ他者を批判する”ことが横行している。 いまや学問が進歩して、どのようなわがままも「個人の自由や尊厳」に結びつける理屈を作れるようになった。「公共の福祉」を求める人間はほとんどいない。皆「自分への福祉」を「公共への福祉」と言い換えている。このような流れが民主主義を終わらせるということなのだろう。 ジャック・アタリは「審判のいない市場」と「地球規模の法の支配がないこと」が世界を壊滅的な状況に導くと言っている。「怒りの克服」と「利他主義」しか人類を救う道はないと結んでいるが、二〇三〇年までにそれが可能とは思っていないようだ。(そう書いてはいなけれど) ただ、最後に述べられている一人ひとりへの一〇段階の自省のすすめ、そして世界のための行動一〇箇条、これに耳を傾けよう。この破滅的な将来を生きていく一人ひとりにとって、自分の人生を救う道標になるだろう。 閑話休題。 読むのに1日もかからない二〇〇余ページの本に未来予測を詰め込んである。専門家は「ずさんだ」というのだろう。(著者の「二十一世紀の歴史」はもっと大部だったようにも思う。もう10年前のことだから記憶は曖昧だ。) 何を持ってずさんというのだろうか。一方でデータを乱用して「相関関係」から「因果関係」をおそまつに説明する風潮について冒頭でアタリも指摘している。 仮説を構築する能力はプロセスに対する理解と洞察力による。そして未来の世界を予測するにはありとあらゆるプロセスに対しててそれが求められる。未来予測は予測でしか無い。その元になる仮説が証明されるのはすべて終わったあとだ。何度も試行を繰り返せない場で予測の正しさを問うことは虚しい。 人々の行動を作る説得力はどこから来るか。部分部分の専門的な正しさでなく、本人の学術的成果の追求という個人の欲を離れ、多くの視点を持ち多様な価値観を是認して、多くのプロセスを常識的な因果関係で説明できるかにかかっている。古今真理は常に単純だった。 本書の結論は自分が考える今後数十年の世界の未来像とほぼ一致している。悲観的な将来をほぼ不可避と予想しながら、自分や家族に言うことは「どのような世の中になったとしても、怒りを制御し、自分の力で切り抜けていく覚悟をもって生きていこう。」ということだ。
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