戦場を歩いてきた の商品レビュー
きっかけは中学生の頃のヴェトナム戦争。「何が起きているのか、この 目で見てみたい」。そんな思いが著者を戦場取材のジャーナリストにした。 アフガニスタンから、イラクから。テレビの報道番組でレポートする 著者の姿は何度か目にしている。 24歳で初めてアフガニスタンに入って...
きっかけは中学生の頃のヴェトナム戦争。「何が起きているのか、この 目で見てみたい」。そんな思いが著者を戦場取材のジャーナリストにした。 アフガニスタンから、イラクから。テレビの報道番組でレポートする 著者の姿は何度か目にしている。 24歳で初めてアフガニスタンに入ってから30余年のジャーナリストと しての足跡を振り返り、写真と共に紹介しているのが本書だ。 日本の大手メディアが伝えるのは、戦場のほんの一部に過ぎない。 紛争地と言えども常に弾丸や放談が飛び交っているのではない。 破壊された街で、難民キャンプで、人々は生活を営んでいる。 兵士たちだって食事もすれば昼寝もする。そんな日常を切り取った 写真が、本書には多く収録されてている。 当たり前なんだよな。どこにだって日常の生活がある。例えそれが どれほど過酷な状況でも…だ。 死がすぐ隣にある生活は私には想像がつかないけれど、生まれた場所が 違うだけで常に危険に晒されながら生きる人たちがいるのだよね。 「自分は廃墟と化した街を出て行くことができる。でも彼らはできない。 同じ人間なのにわたしは安全圏に自由に出られる。」 だからこそ、私たちは戦場で何が起きているのかを知ることが出来る。 過酷な環境で生きる人々がいることを知って、1日でも早く地球上から 紛争や戦争がなくなるよう祈ることしかできないが。 そうして、これからも世界中のジャーナリストが戦場から伝えるリアル を見逃さないようにしようと思う。
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イラク、アフガニスタン、ウクライナと 戦争が起こっている国々で人々が どう生きているのかを知ることができる。 戦闘が近くで行われるような場所でも 人々は農作業をし、ご飯を作り、談笑し、 結婚式までする。 知ろうと思わないと知れないことばかりだった。 見てみたいという興味本位の行動...
イラク、アフガニスタン、ウクライナと 戦争が起こっている国々で人々が どう生きているのかを知ることができる。 戦闘が近くで行われるような場所でも 人々は農作業をし、ご飯を作り、談笑し、 結婚式までする。 知ろうと思わないと知れないことばかりだった。 見てみたいという興味本位の行動が そのまま仕事となり、人々に何かを 伝えることができるという 勇気をもらえた。 作品名と同名の番組も見てみたい。
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著者の佐藤和孝氏(1956年~)は、30年以上に亘り世界各地の戦場を取材してきたジャーナリスト。2003年には、ボーン・上田記念国際記者賞特別賞をパートナーであった故・山本美香氏と共に受賞している。 本書は、「日テレNEWS24」で2016年8月から配信されている「特集 戦場を歩...
著者の佐藤和孝氏(1956年~)は、30年以上に亘り世界各地の戦場を取材してきたジャーナリスト。2003年には、ボーン・上田記念国際記者賞特別賞をパートナーであった故・山本美香氏と共に受賞している。 本書は、「日テレNEWS24」で2016年8月から配信されている「特集 戦場を歩いてきた」で取り上げられた、1980年代~90年代のアフガニスタン(第1章)、昨年から今年にかけてのイラクのモスル(第2章)、同じ時期のウクライナ(第3章)についての取材の記録である。 佐藤氏は、24歳で初めてアフガニスタン行きを決意したときのことを、「何が起こっているのか。この目で見たい」という思いが再び湧きあがってきた(中学生の頃に既に、ベトナム戦争の現場が見たいと思っていたそうだ)、と記しているが、この率直な思いが、佐藤氏を30余年に亘って、危険と隣り合わせの第一線に立たせている原動力となっているのであろう。戦場を主たる取材対象とするジャーナリストがまず受ける質問は、「ジャーナリストはなぜ、命を危険にさらしてまで戦場に行くのか?」というものであり、佐藤氏も本格的にジャーナリストとなってからは「戦場に立ち、目で見たありのまま、真実を伝えることで世の中を動かしたい」という強い思いがあるというが、根源は、中学生・24歳のときに湧きあがったものなのだ。 その佐藤氏が我々に伝えるものは、紛争地の戦闘の様子ではなく、そこで暮らす人々の日常生活である。 そして、佐藤氏は語る。「自分は廃墟と化した街を出て行くことができる。でも彼らはできない。同じ人間なのにわたしは安全圏に自由に出られる。自由を奪われた彼らには地獄の日々が続く・・・」、「紛争地の人々の暮らしはさぞ悲惨だろうと思われがちだが、百メートル先が最前線でも、みんながみんな泣き叫んでいるわけじゃない。むしろ笑っていることの方が多い。最前線にいても、お茶を飲んで談笑している。希望だって持っている」、「彼らはユーモアもあるし、冗談もよく言う。映画やテレビドラマを楽しみ、おいしいものには目がない。ただ紛争地に生まれ、戦争という不条理の中で暮らさざるを得ないのだ」、「わたしは事実をそのまま伝えることしかできない。それがわたしの仕事なのだ。わたしは自分のやるべきことをやればいい。やたら同情的になることはない。ジャーナリズムとボランティアは違う」。。。 しかし、こうも語るのだ。「厳しい状況で生きる人の映像なり記事なりを見たら、そこから考える機会を持ってほしい。わたしの願いはそれだけ」と。 本書の取材にもあるように、近年世界の最大の脅威のひとつであったISの主要拠点モスルは陥落したとはいえ、世界各地で続く様々な紛争が根絶する気配は全く見えない。日本に生きる我々は、本書のような情報に絶えず触れることにより、世界の現状を再認識し、自らの立ち位置を考えていく必要があるのだと思う。 (2017年8月了)
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