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自然主義入門 の商品レビュー

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2021/02/26

クワイン以降の哲学において有力な立場となってきた、自然科学と哲学がシームレスなしかたでつながっていると考える「自然主義」の立場について説明している本です。 哲学上のさまざまな問題に対して自然主義がどのように立ち向かっているのかということを幅広く紹介することが本書の目的であり、自...

クワイン以降の哲学において有力な立場となってきた、自然科学と哲学がシームレスなしかたでつながっていると考える「自然主義」の立場について説明している本です。 哲学上のさまざまな問題に対して自然主義がどのように立ち向かっているのかということを幅広く紹介することが本書の目的であり、自然主義において「価値」や「規範」の問題がほんとうに解明できるのかという困難な問題そのものについて突っ込んだ考察をおこなうことがめざされているわけではありません。こうした問題は、本書の後半で触れられてはいますが、自然主義に懐疑的な読者を納得させるのに充分な議論がなされていないように思われます。また、クワインをはじめとする自然主義の立場の形成過程をたどるようなしかたで説明がなされているわけでもないので、学説史的な解説を求める読者にとっては、あるいは期待外れに思われるかもしれません。 むしろ、生得説と経験論という二つの立場を対照的に解説しながら、両者を統合するような理論へと進んでいく道筋をえがきだすことが、本書の中心的なテーマであるように感じました。本書のサブタイトルは「知識・道徳・人間本性をめぐる現代哲学ツアー」となっていますが、まさにこのことばが本書の特徴をよく示しているように思います。

Posted byブクログ