魔法をかける編集 の商品レビュー
241101*読了 この本も、出会いの瞬間をよく覚えている。 それは2018年の秋、ちょうど今くらいの季節。 阪神競馬場で開催されていたマルシェ的なイベントに出店されていた古書店さんでこの本と出会い、タイトルに惹かれて購入。 しかもどういうわけかサイン本。どんな経緯でこの古書店...
241101*読了 この本も、出会いの瞬間をよく覚えている。 それは2018年の秋、ちょうど今くらいの季節。 阪神競馬場で開催されていたマルシェ的なイベントに出店されていた古書店さんでこの本と出会い、タイトルに惹かれて購入。 しかもどういうわけかサイン本。どんな経緯でこの古書店さんにたどり着いたのだろう。 当時も「編集」には興味があったものの、数えきれないほどの積読を抱え続けて生きているので、この本も本棚でずっと眠っていた。 6年もの時を経て、やっとページを開くことになったのは、この夏からかかわっている奈良をまるごとつなげるメディア「ナラゴト」がきっかけ。 奈良という地域を盛り上げていく、それはまさしく地域編集であり、「ナラゴト」をローカルメディアとして育てていきたいと思っていて、そんな折にふと本棚からこの本が読んでいる気がした。 ぱらぱらとページをめくって驚いたのは、それがまさしくローカルメディアの本だったから。 「編集」のことばのみに反応して購入したので、出版業界でばりばり活躍されている編集者さんのノウハウ本と思い込んでいたら、実は自分がやりたいと思っていた地域に根差した編集者さんであり、紙媒体だけでなく幅広く、地方の魅力を引き出すことをされてきた人だった。 本を愛していると、こんなふうに運命的な偶然がよく起こる。2018年に読んでいたら、ここまで感銘を受けなかったかもしれない。まさに今がこの本を読むべきときだった。 藤本さんも大切さを説かれているように、「待って」くれていたのかもしれない。 さて、内容はいまの自分にとって勉強になることばかりで、藤本さんが語ってくださったことをさてどう「ナラゴト」に活かすかばかりを考えている。 ヴィジョンをもつこと、あくまでも冊子の発行にしろイベントにしろ手段であって、描く未来をもっていなければ立ち行かないこと。 藤本さんのように、わたしも奈良の人がより奈良を誇らしく思える未来をつくっていきたいと思った。 この本が出版された当時と比べても、紙媒体の勢いは特に大手雑誌ほど廃れていっている向きはあるけれど、やっぱりゆくゆくは紙媒体ももちたい。 webと紙とオフラインと、それぞれにできることがあって、伝えられることがある。 わたしの編集クエストは始まったばかりで、武器も道具もこれから見つけなきゃ、な状態だからこそ、この本でレベルアップしたい。まさしく秘伝の書。 ここで紹介されている杜氏の方や市長さんなど、編集者でなくても編集の力を発揮している魔法使いのような人に対しても見習いたい。 その人たちと藤本さんのかけあわせがまた、より強い魔法を生み出している。 人にフォーカスを当てるのもまさに自分がしたいことで、インタビューやその切り取り方、企画の立て方、すべてが編集のたまもので、編集次第で大きく変わる、そのことを一貫して感じた。 藤本さんにいつかお会いして、お話を聞いてみたいとすら思う。 この本を出されてから7年経ったわけだし、その間、藤本さんはどんなふうに編集をされてきたのか、直接お伺いしたい。
Posted by
話しかけられているような本だった。 杜氏さんのデータのはなしとLCVが免許をとった理由のはなしが好き。 だじゃれありなところも好き。
Posted by
◯この、あって然るべき謙虚さが消えてしまうのが目標の怖さです。(30p) ◯必要なものは現場で100パーセント持って帰るんだという気持ちと、そこから生まれるほどよい緊張感が、よい現場を作り、よい取材を生みます。(171p) ◯蔦谷さんの仕事から、この、<整理し、まとめ、ふれら...
◯この、あって然るべき謙虚さが消えてしまうのが目標の怖さです。(30p) ◯必要なものは現場で100パーセント持って帰るんだという気持ちと、そこから生まれるほどよい緊張感が、よい現場を作り、よい取材を生みます。(171p) ◯蔦谷さんの仕事から、この、<整理し、まとめ、ふれられるものにする>という、あまりにストレートな魔法の偉大さを知る僕は、できるだけ誠実にその仕事に取り組みました。(192p) ◯もっともインパクトがある瞬間っていうのは、こんなものがあったらいいなって思っていたものが、目の前にあったときや(196p) ★新しい価値観を提案するのだが、世の中に受け入れられないと独善になってしまう。半歩先という塩梅が絶妙だと思う。
Posted by
前々から読みたい、読まなきゃと思っていた本。 ちょうど良いタイミングが急遽訪れたので、アマゾンで注文して取り寄せる。 普段、急いでいないときは、本の購入でアマゾンを利用することはほとんどないんだけど、やっぱり早いな〜、1日2日でポストに届く。 本書は、編集者であり、秋田県発行の...
前々から読みたい、読まなきゃと思っていた本。 ちょうど良いタイミングが急遽訪れたので、アマゾンで注文して取り寄せる。 普段、急いでいないときは、本の購入でアマゾンを利用することはほとんどないんだけど、やっぱり早いな〜、1日2日でポストに届く。 本書は、編集者であり、秋田県発行のフリーマガジン「のんびり」や、雑誌「Re:S」の編集などで知られる藤本智士さんによる、「編集」についての実践書。 藤本さんは1974年生まれで、これだけ若い方が「編集」について書かれることって、とても珍しいんじゃないかなあ。 だから、というべきか、内容も、いわゆる書籍や雑誌の編集術についてではなく、それらも含んだ広義の編集について。 具体的には、ローカルメディアを用いて自らのビジョンを実現させること、地域における様々な課題を解決する手段として「編集」を用いることが提案されています。 ビジョンを描く、実現させる、とはどういうことか、紹介されている事例も興味深いのですが、一番食い入るように読んだのが、著者本人の「のんびり」や「Re:S」制作時のエピソード。 ページや文字数を決めずに取材を進め、現場で得たものを直接誌面に反映する。 ……うーーーん、こうして書いてなぞることは簡単だけれど、自分だったら怖くなってしまう気がする。 それだけ、その現場の中から確かなものを見出せるという自信とも言えるし、見つけた確かな物しか誌面にしない覚悟、ともとれる。 どちらにしても、それを様々な制約のある現実の中で実行し、形にしているのが、すごい。 すごい、という言葉じゃ足りないくらい、ものすごいと思う。 読み終わった後、大きな帯を外した後に現れるカバーが、RPGに出てくる魔法使いの本みたいで可愛いなあと眺めていたのですが、そこではっとする気づきが。 そっか、この本自体も、この本を手にした一人ひとりの読者が編集者=魔法使いとなって、それぞれのビジョンを描いて現実に働きかけていく、という物語を描いているんだなあ、と。 (わかりにくくてすみません、気になる方はぜひ読んでみて〜。) 編集の魔法を、この本を読むことで、自分自身も体験させてもらっているのだな、と感じられた一冊でした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
編集力とは「メディアを活用して状況を変化させるチカラ」 つまり編集というのは手段であって目的ではないということです。(p.27) 自分がクラス地域や、友だち、家族など、自分を形づくる外側の世界から自分の内側へどんどん想いを深めていった先にはじめて本当のオリジナリティが確立されるのだと思うし、さらに突き詰めていくことで、人間としての普遍的な問いや、またその解にまでふれられる瞬間があって、そのほうがよっぽどグローバルだと僕は思います。(pp.90-91) 以前、アラーキーこと、写真家の荒木経惟さんに、フィルムカメラのよさについてインタビューしたとき、 「デジタル持って旅に出てさ、消しながら、消しながら撮るだろ?それでさ、素晴らしい夕焼けに出会って、憑いたようになって何枚もシャッターを切るじゃない。それを後から見てさ、選んで消すとするだろ。だけど同時に、そのときに自分は同じ光景に向かって何枚も何枚もシャッターを押したんだ、っていう出来事も消しちゃうわけ。そのときの夕焼けはすごく綺麗で、自分はその光景に向かってずっとシャッターを押し続けていたかったし、ずっと同じものを見続けていたかった。フィルムだと、あとで現像したものを見たときに、そういう気持ちも残るわけ」と話してくれました。(pp.148-149) そういう一人ひとりの中に同居している反対と賛成を、強引にどちらかに導いてしまうことのほうがよっぽど不誠実だということを三枝さんは話してくれたんです。 物事の真実はたいていこのグレーゾーンにあって、だからこそ僕たちはそこにきちんと対峙していかなきゃいけません。白黒言い切る安易さに逃げることのない誠実さが編集には必要です。(pp.150-151) 僕が取材現場で大切にしていることは、現場で100パーセント持って帰るってことなんですが、これは、あとからもう一度電話で聞けばいいやとか、あとでネットで調べて補足すればいいやとか、そういう考えで取材にのぞまないことです。そこに少しでも甘えがあると、現場の緊張感が一気に薄れてしまいます。(p.169) そもそも編集者として、後藤さんが僕に伝えてくれたことの本意は、どちらかというとそういうことで、《あまり遠くを見せすぎない》ということだったんだと思います。ただただあたらしいもの。奇抜なもの。アバンギャルドなもの。そういったものに、人々は反応しません。ほどよく少し先を行くものに、行くものに、人々は惹かれるんです。(p.199) 「とりあえず短期的にPV稼ぎればいいや」という狭い視野ではなく、「未来の僕たちへの贈り物」になるような素敵なメディアに育てていってくださいね。(p.208) とある風景写真の巨匠にインタビューしたときの話なんですが、「ベタ焼き(フィルムカメラで撮った写真をそのまますべて印画紙に焼き付けた一覧)を見れば、これはいつどこで撮った写真で、たしかにこのときは南からとても強い風が吹いていて、そこにちょうど西から陽が射してきて……って、ワンカットワンカット、その状況を克明に思い出せたけど、デジタルを使いはじめてからは、あれ?この写真、俺撮ったけ?って思うことがある」と言われたんですね。 これは言うなれば、「シャッターの重み」の話です。 もちろん、デジタルカメラになってシャッターの押しごたえが変わったわけではなく、フィルムがわかりやすく有言であることや、シャッターを押した瞬間にフィルムに像が焼き付けられるゆえに失敗してもすぐ削除できないことなどから、ただシャッターを押すという行為に、いかに緊張が伴ったかという、そういう意味の重みの話。(pp.212-213)
Posted by
本書は「編集とは魔法である」といっていますが、この本の中で語られている「編集」は、いわゆるプロデュースとかマネジメント的な意味ですね。 本のタイトルに興味を持って読みましがたが、全く期待はずれ。編集という意味をなんだか誤解されていると思ってしまいました。 残念な1冊でした。ゴメン...
本書は「編集とは魔法である」といっていますが、この本の中で語られている「編集」は、いわゆるプロデュースとかマネジメント的な意味ですね。 本のタイトルに興味を持って読みましがたが、全く期待はずれ。編集という意味をなんだか誤解されていると思ってしまいました。 残念な1冊でした。ゴメンナサイ。
Posted by
地元を元気にしたいという思いはあるものの、どう動けばいいのか… この本をきっかけに、自分が変わらねばと思いました
Posted by
編集とは、狭義の編集ではなく、広義の編集である。 ということで、町おこしや地域おこしに繋がる話が出てきて、とても興味深く読めました。 魔法、とか、勇者とかにたとえられることで最初つかみづらく、少し分かりにくかった部分がありましたが、 都会や地域への考え方を変えるひとつのきっかけ...
編集とは、狭義の編集ではなく、広義の編集である。 ということで、町おこしや地域おこしに繋がる話が出てきて、とても興味深く読めました。 魔法、とか、勇者とかにたとえられることで最初つかみづらく、少し分かりにくかった部分がありましたが、 都会や地域への考え方を変えるひとつのきっかけになりました。
Posted by
Posted by
あたらしい物事を世の中に提案するときは、あたらしい言葉が必要 名付けて共有させる こんなものがあったらいのに、を目の前に用意する メディア ☓ 編集 = ビジョン 雪の芽舎☓人間が造るのではなく、授かる酒作り=普通酒ではなく、純米酒がスタンダードな世の中 八戸の町☓八戸ブッ...
あたらしい物事を世の中に提案するときは、あたらしい言葉が必要 名付けて共有させる こんなものがあったらいのに、を目の前に用意する メディア ☓ 編集 = ビジョン 雪の芽舎☓人間が造るのではなく、授かる酒作り=普通酒ではなく、純米酒がスタンダードな世の中 八戸の町☓八戸ブックセンターの設立=本との出会いにあふれた文化度の高いまち
Posted by
- 1
- 2