1,800円以上の注文で送料無料

ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 の商品レビュー

3.6

133件のお客様レビュー

  1. 5つ

    28

  2. 4つ

    40

  3. 3つ

    36

  4. 2つ

    13

  5. 1つ

    4

レビューを投稿

2023/12/02

コロナ禍で実感したネガティブ・ケイパビリティ。すぐさま答えを出すポジティブ・ケイパビリティに対し、正確が分からないまま過ごすことに耐える力の必要性。ネガティブ・ケイパビリティには日薬、目薬が効く。解決に時間をかけることをいとわず、それを見守る人の目を確かに感じること。ネガティブの...

コロナ禍で実感したネガティブ・ケイパビリティ。すぐさま答えを出すポジティブ・ケイパビリティに対し、正確が分からないまま過ごすことに耐える力の必要性。ネガティブ・ケイパビリティには日薬、目薬が効く。解決に時間をかけることをいとわず、それを見守る人の目を確かに感じること。ネガティブの響きは悪い状況を示すばかりでないことを理解しました。

Posted byブクログ

2023/11/21

ヒトの脳には、「分かろう」とする生物としての方向性が備わっている。さまざまなしゃさいじょうきょや自然現象、病気や苦悩に、私たちが色々な意味付けをして「理解」し「分かった」つもりになろうとするのも、そうした脳の傾向が下地になっている。目の前の、わからないもの、不思議なもの、嫌なもの...

ヒトの脳には、「分かろう」とする生物としての方向性が備わっている。さまざまなしゃさいじょうきょや自然現象、病気や苦悩に、私たちが色々な意味付けをして「理解」し「分かった」つもりになろうとするのも、そうした脳の傾向が下地になっている。目の前の、わからないもの、不思議なもの、嫌なものが放置されていると、脳は落ち着かず、及び腰になる。そうした困惑状況を回避しようとして、脳は直面している事象に、とりあえず意味付けし、何とか「分かろう」とする。しかし、ここには大きな落とし穴がある。「分かった」つもりの理解が、ごく低い次元にとどまってしまい、より高い次元まで発展しない。まして、理解が誤っていれば、悲劇はさらに深刻になる。

Posted byブクログ

2023/11/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

解決不可能なもの、答えを簡単に出せないもの、分からないものをそのままにしてその事態に耐える力をネガティブケイパビリティというとのこと。 これはとても今の時代こそ必要な力のように感じられる。 小説や絵画という芸術において、また戦争という事態においてなどそれが必要だろうと思われる場面について章を改めて考察しているのが興味深かった。 第七章の中で、米国のノーベル賞作家の7割がアルコール依存症だったという話が出てきたが衝撃的だった。統合失調症の性向と創造性との関連も興味深かった。著者が医師であり小説家でもある立場から考察していることで話の信憑性がより深く感じられたように思う。 小説家にはネガティブケイパビリティが必要だというのは間違いないように私も感じました。 第十章にはまた深く考えさせられました。ここに掲載された戦士された学生兵士の方々の言葉が胸に迫り苦しくなりました。 そして今の世界の現状を思うと…途方に暮れる思いもします。 寛容であることの必要性、共感を養うことの大切さを改めて認識します。今読まれるべき一冊と思います。

Posted byブクログ

2023/11/19

ネガティブケイパビリティとは 分からないものを分からないままにしておく能力のこと。 ついつい私達はわからない物事をすぐに解決しなきゃと思ってしまうけど、 分からない事を分からないままにしておく事で、 より深い解釈や創造を得ることが出来る。 というのは理解したし、面白いと思うけど、...

ネガティブケイパビリティとは 分からないものを分からないままにしておく能力のこと。 ついつい私達はわからない物事をすぐに解決しなきゃと思ってしまうけど、 分からない事を分からないままにしておく事で、 より深い解釈や創造を得ることが出来る。 というのは理解したし、面白いと思うけど、 源氏物語とかシェイクスピアの戯曲のあらすじが どうネガティブケイパビリティにつながっていくのかがいまいちピンとこなくて、そこが少し残念だった。

Posted byブクログ

2023/11/05

難解。途中から斜め読みになってしまいました。 どうすれば「ネガティブ・ケイパビリティ」を高めることができるのか、があまりよくわからかなった。 シェイクスピアや紫式部のくだりはどう関係するのか。 最後の方の「きけわだつみのこえ」や玉砕戦に至るエピソードは、著者に影響を及ぼしたで...

難解。途中から斜め読みになってしまいました。 どうすれば「ネガティブ・ケイパビリティ」を高めることができるのか、があまりよくわからかなった。 シェイクスピアや紫式部のくだりはどう関係するのか。 最後の方の「きけわだつみのこえ」や玉砕戦に至るエピソードは、著者に影響を及ぼしたであろうことはよくわかるが。。 ブクログ評価が高いので、読み手である私の”共感力”が低いのかもしれませんが。

Posted byブクログ

2023/11/05

ユリイカのヤマシタトモコ特集で、桜庭一樹が『違国日記』を評するために「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念を援用していたので、この本に興味を持った。 「不確かさの中で事態や状況をもちこたえ、不思議さや疑いの中にいる能力」を指すネガティブ・ケイパビリティ。 ここ1年、学問、就...

ユリイカのヤマシタトモコ特集で、桜庭一樹が『違国日記』を評するために「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念を援用していたので、この本に興味を持った。 「不確かさの中で事態や状況をもちこたえ、不思議さや疑いの中にいる能力」を指すネガティブ・ケイパビリティ。 ここ1年、学問、就職、人間関係全てにおいて、先の見えないトンネルの中にいるような状態が続いてて、鬱蒼としていたけど、確実にネガティブ・ケイパビリティは育ってたんだな。トンネルの先は見えなくても、その事実が自分を照らしてくれるから、これからも走っていける気がする。 前半は、ネガティブ・ケイパビリティの概念を提唱した詩人のキーツと、再発掘した精神科医のビオンの生涯が丁寧に紹介されてる。冗長に思えるけど、これを読み耐えることがネガティブ・ケイパビリティを身につけることに直接繋がってる。構成に1本取られた気分。 最相葉月『理系という生き方 生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか』の中で、最相は「人間というものは、物事が発見された順序に沿って説明されたとき、いちばんよく理解できるものだよ」という恩師の言葉を紹介していた。 なぜその人がその研究をやっているのか、なぜそのテーマに生涯を賭けたのかという思考の道筋が伝記や評伝には表れる。こう考えたからこの技術が生まれたんだ、こう考えたからこの発見に導かれたんだという実感が持てて、科学を理解する手がかりになるから、伝記や評伝は大事という話。 確かに、今回もキーツとビオンの伝記を読んでいく中で、2人の人生に寄り添ってるような感覚になって、異物感なく自然と、ネガティブ・ケイパビリティの誕生や発見の経緯を受け入れられた。 対人関係においても、時間が許すのであれば、できるだけ、生い立ちや過去のことを聞いていきたいと思った。冗長だと思えることばかり話したい。手前の段階でキャラ付けしてわかったつもりになりたくない。複雑な人間性を複雑なまま愛したい。

Posted byブクログ

2023/11/04

結論を出さずに抱え続ける、その状態に耐える能力。世の中の答えが出ないことや、答えを出すべきでない事柄への対策。過去の文献からネガティブケイパビリティに該当する解釈を紹介するなど、実用書というよりエッセイのような文章でした。結局、ネガティヴケイパビリティ自体が何なのかがよくわかりま...

結論を出さずに抱え続ける、その状態に耐える能力。世の中の答えが出ないことや、答えを出すべきでない事柄への対策。過去の文献からネガティブケイパビリティに該当する解釈を紹介するなど、実用書というよりエッセイのような文章でした。結局、ネガティヴケイパビリティ自体が何なのかがよくわかりませんでした。それ自体が本書のメッセージとしては正しいのかもしれません。

Posted byブクログ

2023/11/03

宙ぶらりんな状態に耐えうる力、ネガティブケイパビリティ。治療の中でも人生の中でも必要性を根幹をなす力だと思った。それを幹とした共感、親切が、人生や世界をより良くするものだと感じた。 自分のしてきたこと、世間とずれていると感じたことが分かった気がした。答えを急ぐ世界ではあるけど、子...

宙ぶらりんな状態に耐えうる力、ネガティブケイパビリティ。治療の中でも人生の中でも必要性を根幹をなす力だと思った。それを幹とした共感、親切が、人生や世界をより良くするものだと感じた。 自分のしてきたこと、世間とずれていると感じたことが分かった気がした。答えを急ぐ世界ではあるけど、子どもたちには、寛容で親切で共感できる人たちになってほしいと思った。

Posted byブクログ

2023/11/02

生きている中で、白でも黒でもない状態に身を置くことって沢山あると思う。このような状態を維持する力って実は撮っても大切だと思う。

Posted byブクログ

2023/10/22

「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、「事実や理由をせっかちに求めず、事態や状況を持ちこたえ、不確実さ、懐疑の中にいられる能力」あるいは「論理を離れ、どのようにも決められない、宙ぶらりんの状態を回避せず、耐え抜く能力」 古くは詩人のキーツがシェイクスピアに備わっていると発見した「負...

「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、「事実や理由をせっかちに求めず、事態や状況を持ちこたえ、不確実さ、懐疑の中にいられる能力」あるいは「論理を離れ、どのようにも決められない、宙ぶらりんの状態を回避せず、耐え抜く能力」 古くは詩人のキーツがシェイクスピアに備わっていると発見した「負の力」である。第二次世界大戦に従軍した精神科医ビオンにより再発見され、著者が臨床現場において腑に落ちる治療を行う上での支えとなっている。  精神科医に必要とされるのは「共感すること」であり、治療ではなく「トリートメント」(ケアすること)。 また、主治医の処方はすぐに解決することを求めない〈日薬〉と見守っているという〈目薬〉だと指摘する。 「ネガティブ・ケイパビリティ」と対極にある「ポジティブ・ケイパビリティ」には、才能や才覚、問題の解決や処理能力を求めてせっかちに対処したり、見せかけ的な対応に走る嫌いがある。 著者は、これに関して、知識を詰め込んだり、早急かつ単純に解決を求めて問題設定をする現代教育のあり方を引き合いに出して、批判の目を向ける。その上で、学習速度にこだわらず、感受性を大事にし、問題解決が課せられていない芸術や研究の分野に必要な「運・鈍・根」に触れ、「ネガティブ・ケイパビリティ」を育てる意義を説く。 また、昭和18年10月、徴兵猶予の恩恵を廃止し、学徒出陣に至った史実や、「きけわだつみのこえ」の戦死者の言葉を取り上げ、戦時における「ネガティブ・ケイパビリティ」の欠如を嘆き、平和を維持する面からも為政者、国民ともども、この能力の発揮が必要であると述べている。 人間の脳には「分かりたがる」傾向があり、そのために、行き過ぎた知性化、拙速な理解といった弊害をもたらすことがある。逆に脳はポジティブで楽観的に考えるようにもできており、これを利用した医学的効用もあるなど医学者ならではの見解も興味深かった。特に、プラセボ効果が、薬だけでなく、外科的治療にも示されているというデータやプラセボにもノセボ効果という副作用があるという事実には驚かされた。 全体を通して、医療のみならず、文学や歴史に関する著者の博覧強記ぶりに感心したが、第一、ニ章のキーツやビオンに関する伝記的記述、第八章の源氏物語の内容を滔々と解説する部分は正直、ついていけず読み流した。 ちなみに、源氏物語に関しては、第ニ巻「帚木」、第十五巻「蓬生」が著者の名前になっていること、第十一巻「花散里」が著者の作品名に使われていることから、著者の源氏物語へのこだわりが垣間見れた。 最後になるが、自分は、問題解決に性急に対処するポジティブ・ケイパビリティを重視する傾向が強いので、どこまて対応できるかわからないが、この本で書かれている内容を教訓として、生かしていきたいと感じた。

Posted byブクログ