黄砂の籠城(下) の商品レビュー
歴史の授業で習った記憶が無いが、柴五郎がとても好きになった。模範となる人物像であった。 内容はとても面白い
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1900年春、北京の東交民巷で起きた籠城戦(義和団事件)を、史実に基づき描いた物語。 本書の冒頭は2017年春、商談のため北京を訪れていた櫻井海斗は困難な取引を請け負っていたが、先方の重役であるエリック・チョウ(イギリス人と中国人のハーフ)は何故か好意的で、日本人であるあなたが...
1900年春、北京の東交民巷で起きた籠城戦(義和団事件)を、史実に基づき描いた物語。 本書の冒頭は2017年春、商談のため北京を訪れていた櫻井海斗は困難な取引を請け負っていたが、先方の重役であるエリック・チョウ(イギリス人と中国人のハーフ)は何故か好意的で、日本人であるあなたがたと仕事がしたいと言う。更に彼は、まさにその場で起こった義和団事件について語り、櫻井は高祖父である櫻井隆一やその上官である柴五郎が残した功績について知る。 本編では、義和団の暴徒化から始まり、外国公使館区域である東交民巷に列強11カ国(ベルギー、イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、アメリカ、オランダ、ロシア、イギリス、オーストリア=ハンガリー、日本)が義和団や清政府により籠城戦を余儀なくされ、各国同盟千数百人VS義和団およそ二十万という絶望的な闘いを、多くの犠牲者を出しながら援軍が到着するまでの二ヶ月間闘い抜く。 その中でも、柴五郎中佐や櫻井隆一ら日本人の存在感は大きく、その知性や勇気だけでなく、敵に対しても思いやる仁の心を持ち合わせていた。 国民性からか、忘れられていた日本人の誇りを取り戻させてくれる一冊。 この本をきっかけに、知らなかった義和団事件の内容や、柴五郎という偉大な先人について知ることが出来た。 自慢しない謙虚さも大切だが、日本人なのに世界に誇れる日本の功績があまり知られていないことに疑問を持った。教科書を作り直した方がいいと思う。 内容では、冒頭に登場した櫻井海斗の物語が、後半にも出てきて過去と繋がる展開を期待したが、義和団事件で終わってしまったのは少し残念だった。 しかし、籠城戦後半に明かされる裏切り者の存在や、櫻井のライバル的立ち位置にあったロシア兵のラブロフとの共闘、童貞か!とツッコミたくなるような櫻井の硬派な性格など、史実だけでも面白いストーリーがより魅力的に描かれていて、充分楽しめる内容だった。
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めちゃくちゃ面白かった。久しぶりに、本を読みながら息を詰めていた。緊迫感のある内容はもちろんんこと、「歴史に立脚している」というか、作者もかなり調べたらしく、リアリティのある内容なのが刺さった。手に汗握る系、割と好きだわ!右翼が絶賛しそうな本でもあるなぁと思ったんだけど、石破茂氏...
めちゃくちゃ面白かった。久しぶりに、本を読みながら息を詰めていた。緊迫感のある内容はもちろんんこと、「歴史に立脚している」というか、作者もかなり調べたらしく、リアリティのある内容なのが刺さった。手に汗握る系、割と好きだわ!右翼が絶賛しそうな本でもあるなぁと思ったんだけど、石破茂氏、これを推してるのか〜(趣味としては合うけど政治家として推してるのか〜と思うとなんとも。だって黄巾側の意見は一切無い本だからね。黄巾側の視点の「黄砂の進撃」買った。)
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義和団事件をこんなにも深く知ったのは、初めて。歴史の授業で単語を習っただけ。でも、キリスト教の布教を理由に人民を弾圧してきた西洋人もあり、義和団側のいい分も良くわかる。自国に外国人や異教、文化がはびこるわけだから。歴史のストーリーは、勝ったものの視点が軸になる。真相は。
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清の時代に起きた義和団事件で、清に取り残された日本人をはじめとした各国外国人の戦いを描いている。がっつり戦争もののはずなのに、エンターテイメントとして面白く、最後まで勢いよく読めた。松岡さんは義和団事件を清の側から描いた本も描いているそうなので、機会があったら読んでみたい。
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義和団事件。教科書では数行でしか語られないこの事件の詳細を知らずに生きてきたことを今、後悔している。 本作の特徴は、東交民巷という限られた空間に籠城し、徐々に陣地が削られていくハラハラ感とそこで生じる各国の連帯、そして何より日本人の持つ本質にスポットライトが当てられている点にあ...
義和団事件。教科書では数行でしか語られないこの事件の詳細を知らずに生きてきたことを今、後悔している。 本作の特徴は、東交民巷という限られた空間に籠城し、徐々に陣地が削られていくハラハラ感とそこで生じる各国の連帯、そして何より日本人の持つ本質にスポットライトが当てられている点にある。話自体はフィクションが多いとは思うが、柴五郎が国際的に勲章を受けたこと、1900年代の日本が本格的に列強の仲間入りしたきっかけになったという事実に変わりはない。そしてその取り上げ方に嫌味がないのがないのがさらに良い。※余談に近いが、近年、ナショナリズムの高揚を受け、日本でも日本人の凄さを誇張する番組が多い(日本人の技術を見せつける番組や世界に住む日本人を探す番組など)が、その表現自体が日本人の本質、謙虚で真面目、表に立たずとも裏で支えることを美徳とする性質に反しているという皮肉に満ち溢れていると感じる。 また、主人公の櫻井伍長の変化(青年の成長というべきか)も見所の一つ。当初は列強と肩を並べるには彼らと同じ土俵で同じ武器で戦うべきだと考えるも、籠城を通して、柴中佐からの影響を受けて、日本人らしさで信頼を勝ち取ろう、そして日本人であることに誇りを持てるようになる。ロシア兵のラブロフとの関係(いがみ合いから信頼し合う戦友に)の変化がその象徴。また、前半は村田銃へ文句を言っていたが、後半はマシンガンが手に入る状況下でも村田銃を握りしめ続けたのもその一つだろう。
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義和団事件を取り上げた小説。この時代の小説は暗いものが多い印象だが、これはそう快感がある。列強が利権やエゴを主張していたところを、柴大佐をはじめとする日本人がまとめあげていき、最後は義和団に勝利する物語。日本人を変に礼賛することなく、日本人ならではの西洋各国との関係の築き方を表現...
義和団事件を取り上げた小説。この時代の小説は暗いものが多い印象だが、これはそう快感がある。列強が利権やエゴを主張していたところを、柴大佐をはじめとする日本人がまとめあげていき、最後は義和団に勝利する物語。日本人を変に礼賛することなく、日本人ならではの西洋各国との関係の築き方を表現されているように感じた。
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清朝の西太后は宣戦布告を決断し、公使館区域からの24時間以内退去を通告する。20万人の義和団と清国軍の前に、外国人とキリスト教徒の命は風前の灯火となり…。世界から賞賛された日本の姿を描く。 柴五郎が実在の人物であることは上巻冒頭の写真で知っていたけれど、ここまで称賛されるといま...
清朝の西太后は宣戦布告を決断し、公使館区域からの24時間以内退去を通告する。20万人の義和団と清国軍の前に、外国人とキリスト教徒の命は風前の灯火となり…。世界から賞賛された日本の姿を描く。 柴五郎が実在の人物であることは上巻冒頭の写真で知っていたけれど、ここまで称賛されるといま流行りの「日本人礼賛」のような気がしてくるのは疑い深すぎだろうか。でも物語はフィクションなのに、臨場感あふれて真実のように感じさせる佳作だったとは思う。 (B)
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3.9 後半は、惹きつけられるようなハラハラドキドキの連続。どれが、史実でどれが創作なのかわからなくなる。歴史とは、勝者がつくるものといっているのがよくわかる。教科書では1行で終わる史実がこんなに奥深い話になるのに驚く。
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日本は漢人のキリスト教徒を救出しますが、西太后は突然宣戦布告し、公使館区域からの24時間以内の退出を通告します。 援軍はなかなか到着せず、20万人の義和団と清国軍の前に、4000人の外国人とキリスト教徒の命がさらされます。 誇り高き日本人の活躍により、援軍が来るまでに持ちこたえる...
日本は漢人のキリスト教徒を救出しますが、西太后は突然宣戦布告し、公使館区域からの24時間以内の退出を通告します。 援軍はなかなか到着せず、20万人の義和団と清国軍の前に、4000人の外国人とキリスト教徒の命がさらされます。 誇り高き日本人の活躍により、援軍が来るまでに持ちこたえることはできるのか。 北京の55日が克明に描かれます。 「日本人こそ最高の勇気と不屈の闘志、類稀なる知性と行動力をしめした、素晴らしき英雄たちである。彼らのそうした民族的本質は国際社会の称賛に値するものであり、今後世界において重要な役割を担うと確信している。とりわけ日本の指揮官だった柴五郎陸軍砲兵中佐の冷静沈着にして頭脳明晰なリーダーシップ、彼に率いられた日本の兵士らの忠誠心と勇敢さ、礼儀正しさは特筆に値する。十一ヵ国のなかで、日本人は真の意味での規範であり筆頭であった。私は日本人に対し、ここに深い敬意をしめすものである」 ー 312ページ
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