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昭和解体 の商品レビュー

4.5

15件のお客様レビュー

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2017/09/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

長かったけど面白かった。知らなかったことがたくさん。国労の人の意見も聞いてみたい。最高裁までの過程もきちんと読んでおきたいと思った。

Posted byブクログ

2017/06/17

これは本当にすごい本、というか凄すぎる内容の本だった。 明治国家の西洋化の象徴として新橋ー横浜間の鉄道が最初に通され、終戦直後には復員兵を数十万単位で引き受け、64年の東京五輪では新幹線を通したが為に赤字転落をした国鉄は最終的には、職員27万人、累積赤字37兆円(!)となり、複雑...

これは本当にすごい本、というか凄すぎる内容の本だった。 明治国家の西洋化の象徴として新橋ー横浜間の鉄道が最初に通され、終戦直後には復員兵を数十万単位で引き受け、64年の東京五輪では新幹線を通したが為に赤字転落をした国鉄は最終的には、職員27万人、累積赤字37兆円(!)となり、複雑な労使関係、より複雑な労労関係、そして半国家組織であるが故の絶え間ない政治の介入により1980年代初頭には瀕死の重体となっていた。この国鉄を「分割民営化」して再生させるという1点に執念を燃やした国鉄キャリヤ組の井出、松田、葛西の"改革3人組"と脆弱な党内基盤ながらも抜群の政治センスを発揮して"戦後政治の総決算"を特に国鉄民営化において実現しようとする政治家、中曽根康弘らが主役のこの物語(まぎれもない実話だが)は、様々な困難で複雑な状況を乗り越えながら、最初の検討(第二臨調)から6年越しで分割民営化を成し遂げていく、それはすなわち国鉄の巨大な労働組合(国労、動労など)を分割することであり、それは全国的な労働組合連合である総評の中核を消滅させることにつながり、最終的には総評を基盤とした左派政党である日本社会党を減退、変容させることにつながった。つまり国鉄の分割民営化は昭和日本国家の解体へとつながった訳である。 内容の詳細は省略するが、読み終わって思うことは、"これこそが政治である"ということである。職員25万人、国民の足を担う巨大組織の大改革には策謀と裏切り、変節、保身、増悪、執念などの様々な情念が宿り、さらに利権や選挙、組織の存亡など具体的事象も絡まり最終的には労組同士の殺し合いにまで展開してく、まさに人間世界の悲劇、喜劇のすべてがそこに表出されているように思える。この組織の人間の情念をすべて賭けたすさまじい権力闘争に比べれば、いまの政治状況などはすべて児戯に等しく思えてしまうのである。 なお、「凄すぎる内容の本である」と評したが、このものすごく複雑で経過年数も長大な大河ドラマの詳細を調べつくし、かつ読者を迷わせることなく理解させる筆者の構成力、筆力も驚かざるを得ない本であった。とても分かりやすく淡々と事実を構成して語ってくれているのだが、これほど凄みのを感じる本も本当に珍しいと思う。 前回読んだ「愛国とノーサイド」に続き、私が生まれる少し前、私が全然知らない日本がそこにあったことだけは間違いない。うーん凄すぎる。

Posted byブクログ

2017/05/05

国鉄がいかに腐敗していたか、そしてJRに転換することが必然だったかよくわかる一冊。 今のビジネスマインドでは通用しない事がまかり通る時代だったんだと。

Posted byブクログ

2017/04/08

1987年4月1日は国鉄が民営化され、JR各社が発足した日にあたり、今年は民営化から30年という節目となる。30年が経過したものの、民営化の際に議論された問題は全てが解決したわけではなく、むしろJR北海道の経営問題のように、深刻さを増すものもある中、日経新聞の記者であった著者が、...

1987年4月1日は国鉄が民営化され、JR各社が発足した日にあたり、今年は民営化から30年という節目となる。30年が経過したものの、民営化の際に議論された問題は全てが解決したわけではなく、むしろJR北海道の経営問題のように、深刻さを増すものもある中、日経新聞の記者であった著者が、民営化時の首相であった中曽根康弘をはじめとする政治家、国鉄職員として民営化をリードした若手職員、日本最大の労働組合として強い影響力を持ちながらも、その闘争戦術の拙さから崩壊の一途を辿った労働組合幹部らなどへのインタビュー、膨大な一次資料に基づき、民営化に至った歴史をまとめた一冊。 読み終えて思うのは、この国鉄民営化という出来事が、経済学的な側面から見れば、当時の先進国がこぞって志向していた「小さな政府」を民営化という形で具現化したものであるのは当然のこととして、国内の政治情勢の観点から見ると、国鉄労組の動員力を背景につけた社会党の勢力を弱め、自民党による「55年体制」を終焉させる(そしてそれとほぼ時を同じくして昭和も終焉する)という中曽根康弘の強い意志に表れであったということである。当時の政治的な権謀術数は、当時官房長官を務めていた後藤田正晴の「情と理」にも詳しく、それと重ねて読むと、その凄まじさと、「かつての日本の内閣は、沖縄返還(佐藤栄作)や国鉄民営化(中曽根康弘)など、ある特定の政治的命題を遂げるのだという強い意志を持っていた」という同士の評をよく理解することができる。

Posted byブクログ

2017/03/20

国鉄改革の裏舞台を、政治、国鉄当局、労働組合、それぞれの立場から詳細に記録したもの。 「未完の国鉄改革」「国鉄改革の真実」にも、触れていないことが多く、語られている。

Posted byブクログ