バナナタニ園 の商品レビュー
伊豆にはバナナワニ園というバナナとワニの楽園がある。 バナナタニ園はその楽園をもじったタイトルの詩集である。 中の詩は、楽園、というより、日常という感じ。 日常をていねいに切り取った詩は、日常に潜んでいる楽園を浮き上がらせる。 なるほど、そうであれば、この本の詩もよしもとばななさ...
伊豆にはバナナワニ園というバナナとワニの楽園がある。 バナナタニ園はその楽園をもじったタイトルの詩集である。 中の詩は、楽園、というより、日常という感じ。 日常をていねいに切り取った詩は、日常に潜んでいる楽園を浮き上がらせる。 なるほど、そうであれば、この本の詩もよしもとばななさんの写真と谷郁雄さんの詩の楽園である。 ちなみに、わたしは『同じ空』という詩の 「たとえば 下町の小さな工場で あなたが作った 2Bの鉛筆で ぼくは毎日 詩を書いている」 という一文が好きだ。 たとえば ベトナムのどこかに工場で 誰かに組み立てられた キーボードで 私はその感想を書いている。
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これは、バナナ氏の詩集だと思った 書いている人、そうではないのだけれど、まるで手品で入れ替わったかのように、そう思った たくさんの言葉は要らなくて それよりも見過ごされてしまった言葉を広い集めたような 語り尽くされたのではない でも全く斬新なわけでもない どこにでもありふれていて でも見落としてしまいそうな とても大切なことなのだけれど ふとした時には忘れていたような この世界に触れた なんとなくとっておきたい断片を 言葉が橋のように繋いでいく 地面は地続きであるのはあたりまえ でもそのあたりまえが、 ずっと遠くの海にまで広がっているなんて どうして分かるだろう 見えるかどうかではなくて 心が最初から知っていたことを 教えてくれるようで 新しいのに、懐かしい そうして驚きと発見の風景を巡る旅をして、あとがきを読んで あ、違うんだった、て、思い出す ばなな氏ではなかったんだ、て まるで手品の種明かしを見るように どこからどこまでがそうなのか分からないくらい解け合っていて その驚きもまた、嬉しい。
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