「原因と結果」の経済学 の商品レビュー
因果関係を証明するには反事実が必要 交絡因子がない、ただの偶然ではない、因果が逆ではないことを証明する 方法は ランダム化比較試験 偶然を利用する自然実験 トレンドを取り除く差の差分析 原因のみに作用する操作変数法 ジャンプに注目する回帰不連続デザイン マッチング法 全てのパラメ...
因果関係を証明するには反事実が必要 交絡因子がない、ただの偶然ではない、因果が逆ではないことを証明する 方法は ランダム化比較試験 偶然を利用する自然実験 トレンドを取り除く差の差分析 原因のみに作用する操作変数法 ジャンプに注目する回帰不連続デザイン マッチング法 全てのパラメータが揃って重回帰分析できればそれでも良い
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因果関係か相関関係か。 全くの偶然ではないか、第3の変数(交絡因子)が存在していないか、逆の因果関係(原因と結果が逆方向ではないか)。 反事実を証明できればいいが、実験できなければ不可能。 回帰分析で交絡因子の影響を取り除く=重回帰分析 事前実験と類似実験=偶然の出来事で生じた数値を活かす ランダム化比較試験=対象をランダムに割り当てて実験する。 メタアナリシス=複数のランダム化実験を結果を統合する。メタとは、高次の、という意味。 統計的に有意=95%以上の確率で。表が4~5回連続で出る程度の確率。 健診に長生きとの因果関係はない。特定の検診は別。国立がん研究センターの「科学的根拠に基づくがん検診推進」 ホスピタリスト=外来患者を診療せず入院患者に専念する。ランダムに割り当てられる。内科医は女性のほうが基本治療に忠実なため長生きできる。 出生時体重は重いほうが健康状態はいい。小さく産んで大きく育てるは母体のため。 胎児起源説「オリジンズ」 認可保育所を増やしても母親の就業率は上がらない。祖父母、民間保育所の代替えになるだけ。 なだらかに最低賃金を上げても雇用は減らない。企業は価格を上げる。 母親が大卒だと子供の健康状態はいい。(健康に気を使う) 無理して高偏差値の学校に行っても学力に差はない。 高齢者の医療費の自己負担を増やしても死亡率は変わらないが、病院に行く回数は減る。 女性取締役を法令で無理やり増やすと企業価値が減る。 A/Bテスト=広告の文字を変更する、写真を変える、など。女性の写真と、簡素な広告、が効果がある。 ルービンの因果推論モデル。「因果推論」 政策評価、疫学に応用された。 分析の内的妥当性と外的妥当性。 再読記録ーーーーー 因果関係をチェックするポイント=全くの偶然ではないか、第三因子はないか、逆の因果関係ではないか。 反事実における結果が必要=原因がなかった場合に結果がないこと。 回帰分析<自然実験と疑似実験<ランダム化比較試験<メタアナリシスの順。 チョコレートの消費量とノーベル賞の受賞者数は、裕福度合いが第三因子になっている。 医療費を高くすると受診を控える。貧困層以外の健康状態は変わらない。 外生的なショックを利用して、ランダム化比較試験を行ったような状況を利用する。 女性医師が担当すると死亡率が低くなる。 疑似実験=差の差分析、操作変数法、回帰不連続デザイン、マッチング法。 年が違うと広告の有無は正しく測定できない=景気がtoshiによって違う=差の差分析。 認可保育所を増やしても就業率はあがらない。私的保育サービスを代替しただけ。 最低賃金の上昇が雇用に与えた影響=州ごとに最低賃金が違うことを利用した自然実験。最低賃金を上げても雇用には影響しない。差の差分析。 操作変数法 結果には直接影響を与えないが、原因に影響を与えることで間接的に結果に影響を与える。広告料の割引があれば広告を出すお店が増える可能性がある。 テレビを見るから学力が低くなる、か学力の引き子どもは良くテレビを見ている、か。貧困家庭では、テレビを見ると成績が上がる効果がある。 教育は株式や債券よりも利回りが良く次の世代まで影響する。 回帰不連続デザイン 友人の学力と自分の学力の間に因果関係があるか。連続した学力の子どもが、進学した学校によって違いがでるか。ほとんど関係はなかった。 高齢者の医療費の自己負担割合が増えても、死亡率は変わらない。外来受診は減る。 マッチング法 同じような店舗を比較する。よく似た対照群を選ぶ。何を似たものとするか=共変数はなにか。いくつかの共変量をひとまとめにするプロペンシティスコアマッチング。 偏差値の高い大学に入っても収入は上がらない。 簡素で情報が少ないDMのほうが顧客を増やす効果があった。 交絡因子の影響を取り除く重回帰分析。 内的妥当性と外的妥当性。同じ集団で同じ結果が再現されるか、アメリカの結果が日本でも同じか。 因果推論のステップ=原因は何か、結果は何か、反事実はどうか、比較可能なグループか確かめる。 メキシコのプログレッサ計画。ランダム化比較試験で政策効果を示した。マサチューセッツ工科大学の貧困アクションラボ。
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○エビデンスには階層がある。 ・「メタアナリシス」「ランダム化比較試験」「自然実験と擬似実験」「回帰分析」の順にエビデンスレベルが高い。 ○メタアナリシス ・複数の研究結果を一つにまとめて全体としてどのような関係があるのかを明らかにする研究手法(例:国立がん研究センターによる受動喫煙と肺がんリスクの関係調査) ○ランダム化比較試験 ・大笑を介入群と対照群にランダムに振り分け比較可能にすること(例:デンマークの保健指導と死亡率の関係、ランド医療保険実験(医療費の自己負担割合と外来受診回数、健康状態の関係))。 ・ビジネスではA/Bテストとして用いられる例もある。 ○自然実験 ・対象が自然災害などの外生的なショックによって介入群と対照群に自然に分かれてしまった状況を利用して因果関係を検証する方法。(例:ホスピタリストの男女差と30日以内死亡率の関係、双子を用いた出生児体重と健康状態・学歴等の関係) ○擬似実験 ・「差の差分析」「操作変数法」「回帰不連続デザイン」「マッチング法」など。 ・「差の差分析」が成立するためには、「介入群と対照群において介入前のトレンドが同一であること」「介入が行われている間に別の変化が発生していないこと」の2つの前提条件が必要。(例:保育所定員率と母親の就業率の関係(各都道府県の介入前の母親の就業率の差と、県別の保育所定員率が増加した都道府県とそうでない都道府県の母親の就業率の差)、最低賃金の上昇と雇用率の関係(2つの州の介入前の雇用率の差と、介入後の雇用率の差)) ・操作変数とは、結果には直接影響を与えないが、原因に影響を与えることで間接的に結果に影響を与えるような第3の変数。操作変数と結果両方に影響を与える第4の変数が存在しないことが条件。(例:1948年から52年にテレビを所有していたかどうかを操作変数として、テレビの視聴時間と子供の学力の関係を調査した例、17歳時点で住んでいた自宅から大学までの距離を操作変数として母親の学歴と子供の健康状態の関係を調査した例) ・回帰不連続デザインとは、恣意的に決定されたカットオフ値の両サイドで、介入群と対照群が分かれる状況を利用して因果関係を推定する方法。回帰不連続デザインが成立するための前提条件は、連続変数のカットオフ値の周辺で、結果に影響を与えるような他のイベントが起きていないこと。(例:友人の学力と自分の学力の間の関係について、大学受験を目指す生徒のための特別な公立高校に僅差で合格した高校生と僅差で落ちた高校生(合格ラインの点数をカットオフ値としている)の生徒の学力の差の検証、高齢者の自己負担割合が低下する70歳0歳と69歳11ヶ月の死亡率のジャンプの検証) ・マッチング法は、介入群によく似たペアを対照群の中から選び出すことによって2つのグループを比較可能にする方法。複数の共変量をひとまとめにする「プロペンシティ・スコア・マッチング」(介入群に割りつけられる確率=結果をもたらす確率を点数化し、2つのグループ間で全ての共変量において似たような値をとるようにする)という手法も用いられる。ただし、前提条件として、結果に影響を与えるような全ての共変量が数値化されたデータとして存在すること、全ての共変量がプロペンシティ・スコアの計算に用いられていること、の2つが存在する。(例:同じ大学合否結果だが異なる偏差値の大学に進学した2人をマッチングすることによる、大学の偏差値と収入の検証) ・重回帰分析を行えば、交絡因子の影響を除いて関係を評価することができる。他方で、中間変数と呼ばれる因果関係の中間に位置する第3の変数を取り除くと、本来の影響を過小評価する可能性がある。 ○「統計的に有意である」とは、単なる偶然として説明できる確率が、コインを5回投げて全て表になる程度の確率の稀さであること。 ○分析にも限界はある。 ・ランダム化比較試験は相当な費用がかかる。 ・外的妥当性の問題がある(例:アメリカ人のデータを日本人にそのまま使えるとは限らない)。 ・倫理的な問題から実施的ないケースが多い(例:喫煙と肺がんの因果関係)。 ・ランダム化の失敗が起こり得る(実験の最中に対照群から介入群に移動する可能性)。 ・実際に社会全体に拡張して導入すると効果が小さくなる場合もある(例:治験)。 ○因果関係が存在するかを確認するためには、「まったくの偶然でない」「交絡因子が存在していない」「逆の因果関係が存在していない」ことを満たすことを証明できれば良い。 ○因果推論のステップとしては、原因を明確に定義すること、結果を明確に定義すること、因果関係を確認すること(上記3点を満たすか検討)、反事実を作り出す(尤もらしい値で置き換える)こと、比較可能になるように調整すること。
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研究している者でさえとても間違えやすい、因果関係と相関関係について。 因果関係を吟味するための因果推論の方法について、具体的に、とてもわかりやすく書かれています。 自分もときどき確認するようにしよう。
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エビデンスの考え方、見方についてわかりやすく整理されていて勉強になった。今後は、それぞれの具体的な手続きについて学んでいきたい。
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医療費の自己負担割合が引き下げられると、高齢者は病院に行く回数が増えるものの、それによって死亡率や健康状態に影響が出ることはないということになる。(p.141)
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「経済学」とあるが「社会科学」全般の話と思う。因果関係について学ぶために、好著。研究者入門でもいいし、ビジネス学んでる人にもぜひ理解して欲しい一冊。
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良い本。「効果的な○○教授法」という話が大好きなこの業界だが、因果関係について真剣に受け止められている感がない。しかし、効果とは要は「因果効果」の話なので、因果関係とは切っても切り離せないはずだ。こういう議論がもう少し浸透してほしい。
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「原因と結果」の経済学 中室牧子、津川友介著 社会に生かせる統計の手法 2017/4/1付日本経済新聞 朝刊 本書は、社会科学の実証分析において最も重要な役割を果たす「因果関係」の検証方法をわかりやすく解説した啓蒙書である。著者はそれぞれ教育経済学、医療経済学の専門家で...
「原因と結果」の経済学 中室牧子、津川友介著 社会に生かせる統計の手法 2017/4/1付日本経済新聞 朝刊 本書は、社会科学の実証分析において最も重要な役割を果たす「因果関係」の検証方法をわかりやすく解説した啓蒙書である。著者はそれぞれ教育経済学、医療経済学の専門家で、この分野における様々な研究を使用して、因果関係を検証する統計的な手法を、数式やテクニカルな用語をあまり用いず、身近な問題を取り上げて説明している。 具体的には「メタボ健診を受けていれば長生きできる」「男性医師は女性医師より優れている」「認可保育所を増やせば母親は就業する」「テレビを見せると子どもの学力は下がる」といった普段は特に疑問を抱かず受け入れている通説に対して、関係はあっても、原因と結果の関係にはない。つまり相関関係はあっても、因果関係は成立していないことを明らかにしている。 因果関係の検証方法として「ランダム化比較試験」「自然実験」「疑似実験」(差の差分析、操作変数法、回帰不連続デザイン、マッチング法)といった分析手法が紹介される。これらの方法は因果関係のチェックで必要な(1)「まったくの偶然」ではないか、(2)「第3の変数」は存在していないか、(3)「逆の因果関係」は存在していないか、という3つの条件を完全あるいは部分的に満たしている。 実験的な手法を使用しない政策評価分析は信頼性に欠けるという認識で経済学者の見解は一致している。そのなかでも「ランダム化比較試験」が因果関係を明らかにするという点では最も理想的である。しかしながら、費用、倫理、厳密な実験の実施や現実の問題への適用で問題は残り、観察データを用いた「自然実験」「疑似実験」の手法を、与えられた状況に応じて適宜分析に使用するよう本書は提唱している。 最近は、実証的な証拠に基づく政策を推進する必要性が強調されるが、そのためには統計の整備に加えて、本書で紹介された研究手法による分析を蓄積する必要がある。特に医療や教育は私たちの生活の質を大きく左右する重要な政策であり、政党やイデオロギーに左右されないデータや証拠に基づく議論が必要不可欠である。本書は政策論議の深化に必要な有益な指針を提供する。 (ダイヤモンド社・1600円) ▼中室氏は慶応大准教授。著書に『「学力」の経済学』。津川氏は米ハーバード公衆衛生大学院リサーチアソシエイト。 《評》学習院大学教授 乾 友彦
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データを解析することにより、両者に因果関係があるのか、それとも相関関係があるのか、これを導き出すのに様々な手法があり、その手法を解説した本。広告を出したおかげで売上が上がったと証明するのは意外と大変だ。
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