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現代日本の官僚制 の商品レビュー

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2017/11/06

日本の官僚制を国際比較にしながら定量的に分析した労作 独自の人事移動サイクルが、官僚制への政治介入を防いでいること 日本の官僚制が質が高いが代表制が低く、また国民の信頼を得ていないとの結論は原因が何処にあるのか探求したい。 今後は自治体の官僚制の比較分析ができたら面白い結果が出る...

日本の官僚制を国際比較にしながら定量的に分析した労作 独自の人事移動サイクルが、官僚制への政治介入を防いでいること 日本の官僚制が質が高いが代表制が低く、また国民の信頼を得ていないとの結論は原因が何処にあるのか探求したい。 今後は自治体の官僚制の比較分析ができたら面白い結果が出るかもしれない。

Posted byブクログ

2017/05/01

本書は、理論的には、政治との相互作用に注目しながら、官僚制の組織編成と官僚制の政策形成の入れ子関係を解明していくこと、実証面では、そこから導出される命題について、国際比較の計量データ分析によって検証し、現代日本の官僚制がなぜ現在の姿となっているのかを説明すること、という課題に取り...

本書は、理論的には、政治との相互作用に注目しながら、官僚制の組織編成と官僚制の政策形成の入れ子関係を解明していくこと、実証面では、そこから導出される命題について、国際比較の計量データ分析によって検証し、現代日本の官僚制がなぜ現在の姿となっているのかを説明すること、という課題に取り組んでいる。 本書の実証分析により、1)現代日本の官僚制の分立の程度は他国に比べて低く、統合の程度も他国と比べると強くないということ、2)官僚制の側が戦略的に政治介入を防御している結果、現代日本の官僚制において、政治任用や権限委譲の制限といった統制の程度は低いこと、3)現代日本の官僚制は統治の質は高いが、その代表性は極めて低いこと、といったことが明らかにされる。 本書は、ゲーム理論に基づき仮説を導出したうえで、それを国際比較を含め定量的・定性的に実証分析するという構成をとっており、まさに行政学の実証研究のお手本のような研究であるといえる。途中、ゲーム理論に基づくモデル形成や統計分析などの場面で、自分の理解の及ばない部分もあったが、全体的に非常に緻密に構成された研究書であると感じた。 議院内閣制・比例代表の組み合わせが、官僚制の質は最も高くなる傾向にあることや、第二次安倍政権以降、併任を多用することで、各省官僚の内閣官房への吸い上げを進めることにより首相主導の統合を進めていることなど、本書で明らかにされた個別の事項についても、非常に興味深いものが多かった。

Posted byブクログ