ネコ科大型肉食獣の教科書 の商品レビュー
アフリカ旅行に合わせて読んだ本。 もっと野生のネコ科大型肉獣を見たくなった! 著者が同行する野生動物観察ツアーにいつか参加してみたい。
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図書館で発見し、表紙でなんとなく気になった『ネコ科大型肉食獣の教科書』(秋山知伸)。 今思えば気になったのは、先日読んだ『カラスの教科書』(松原始)と似たものを感じた事が大きかったかもしれない。 実際著者と松原始氏はご友人の関係でした。 今回の本では以下の2点が面白かったし、興味深かったです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー ❶ネコ科大型肉食獣とはどんな動物なのか この本が他のネコ科の本と比べて何が面白いかって彼らについての特徴だけじゃなくて著者の物語があるからじゃないかと思う。 【撮影対象に出会うまで、そしてその後のエピソード】が各ネコ科大型肉食獣の紹介の際に語られるので、 「彼らのこの習性で著者はこう感じたのか!こんな珍しい体験をしたのか!」と頭にスッと入る感じがしました。(特にユキヒョウの話はまさにそれでした。7年間おつかれさまでした。) おそらく図鑑でデータだけを読んでいたら寝落ちする自信はあります…笑 その図鑑を見る前に、私自身の頭の中に関連情報が入っていたら多分「これって○○と同じじゃん(又は違うじゃん)!!」と面白おかしく読めるかもしれません。 宇佐美徹也氏が「データが何もない状態で観戦するよりも、データを頭に入れて観戦するほうがより深く楽しむことができる」とおっしゃっていたのは観戦以外でも関係がある話なのかな。 得た情報は多く、ここに載せきれません!! ❷人と【絶滅危惧種であるネコ科大型肉食獣】との関係 動物達を守る運動の中身はなかなかシビアでした。 以下引用文です。 ●密猟者とレンジャーは銃撃戦をすることもある。 ●観光客が落とすお金がなければ国立公園の維持はできない。たったの四半世紀で、世界各地の国立公園や保護区で数え切れないほどの生き物が絶滅している事実には触れず、"手つかずの自然"という謳い文句で観光客を呼び続けねばならない理由がそこにある。 ●ゾウさ守るべき立場の人たちによっても殺されているのは事実である。アフリカの多くの国で政府関係者が象牙の密輸で逮捕されている。象牙は切られ、金に変えられる。肉と皮は放置されたままになるだろう。 アフリカの国立公園の多くは現在の法律が設定される前まで、遊牧民が何万年も前から暮らす土地だった。狩猟採集をして暮らしていた住民は、ある時突然、国立公園という自然保護地区ができたことによって密猟者と呼ばれるようになった。 現在、国立公園の側に住む住民たちは電気も水道もなく、子供たちを学校に行かせる費用を稼ぐのも難しい。そして野生動物の肉は一般的な家畜の肉より高く売れるからと命をかけて、国立公園の中で動物を捕る。 国立公園のレンジャーの多くは、時には密猟者と銃撃戦をし、野生動物を守るという命がけの仕事をしている。その月給は、国立公園内の高級ホテルの一泊分にもならない。苛酷な状況の中、象牙という簡単に数年分のお金になるものが目の前にあれば、それに手を出す者が現れることは残念であるが当然でもある。 ●ジャガーのような魅力的な動物ならば世界から多くの人が人目見たいと集まる。野生動物が存在しているということが現地の経済にとって良い影響をもたらす。そして、ジャガーが集めるお金を使って自然の一部を守ろうとする。インフラが整えられる。そうやって秘境と宣伝される時、残念なことに一つの秘境が消える。しかし、もしツアーなどの人間活動に利用しないと、知らないうちに畑や住宅地になってゆく。 『ジャングル大帝』(手塚治虫)や『ビースト』(バルタザール・コルマウクル)で密猟者の存在を知る事はできても、 レンジャーの実情について語られる話は今回が初めてでした。 それと生態系を壊さないようにするための取り組みには何があるのかも気になります。 私事ですが、登山を行っている時に「自然保護のため踏み込んではいけない場所」があるのは何となくわかりますが、私がわかるのはその程度。 この本が出版されたのは2016年ですが、これらについてその後ってどうなっているのかが気になるところ。 人間だけが住みやすければそれでいいという考えはOUTというのは頭ではわかってますが、 超難しい問題です………。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー ……とまぁ、読み終えた今ではネコ科大型肉食獣に関するリアルを見て複雑な心境です。
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2018.10.24読了。冒頭の写真のネコ科大型肉食獣達の美しいこと!巻末の写真も夕陽のチーターも並ぶ雌雄のライオンも素敵だった。本文中の写真がカラーじゃないのが惜しい。そして「はじめに」を読んですぐに「あぁ同類だ」と思った。生物に深く携わる人は導入の書き方も似た傾向になっていくのだろうか?文面から先生シリーズの著者や某鳥類学者と同じ臭いがする…そしてなぜにジブリネタが毎度あるのだろう。みんな好きだな。今度再放送あったらユキヒョウ!と呟こうかな。イエネコの視力約0.3…裸眼の私より見えてるのか…けどなるほど大きい奴らは動体視力以外も良いのか。国立公園も色々なんだな。30台以上もの車が野生動物囲ったらそりゃ興醒めだ。トイレinライオンの話でこんな恐ろしい「ライオンはネコである」は初めてだ。でとそりゃコンクリ涼しいもんな。寝るよな。カラモジャアパリスの呪文で治安が悪い地での生き残る術を見た。なるほどエネルギー効率が悪いから獅子は鼠は狩らんのか。ヒョウは狩るんだな。クランの規則でヒョウとの恋は実っちゃいかんのか。切ないな。ジャガーが人を襲った記録が1回しか無いのは意外だった。彼らの語源ヤガーが「一突きで殺す者」だからそれだけ犠牲者が多いのかと思っていた。ユキヒョウの狩!なんて素晴らしいのだろう!生まれながらのアスリート!尻尾を巧みに使った頭脳戦!それでも狩は失敗する。テレビでユキヒョウを観るといつも思う事がある。なぜ彼らはこんなにも過酷な地で生きる事を選んだのだろう?ウンピョウが発見が一番困難なネコ科とは知らなかった!確かに保護色で小さいのが森の中じゃあなぁ…巻末に著者本人の写真があったがガタイのいい人だなぁ。本文にもあったが身長190cmとはでかいなぁ。今度読む予定の「カラスの教科書」と装丁が同じだから関係があるのかなと思ってたらやっぱり関係があった。こちらも読むのが楽しみだ。にしても装丁も構成もいい。紙質もいいしフォント選びも素晴らしい。どれもしっくりくるのだ。そして何より脱力感たっぷりのイラストが素晴らしい。
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2.7。愛は認めるが、内容に踏み込みが足りない。それに見合わないのに便乗が露骨すぎだろと思ったが、それについては後書きで苦笑いして許しちゃう。でもやっぱタイトルだけでも変えた方が良かったんじゃないかな。比較されるから
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【所在・貸出状況を見る】 https://sistlb.sist.ac.jp/opac/volume/207070
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動物写真家になるのは大変なんだな。 熱意だけではダメだし。そもそも野生の姿を見るだけでもお金と時間と偶然とが三拍子で必要みたいだし。 動物園で見て我慢するか。
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子どもの頃は貧弱と言われ、ヒト科の友達がほとんどいなかったという著者。かわりに昆虫や、図鑑に載っている動物たちを友達に、空想の中で遊んでいた。そんな中、ユキヒョウと出会い、それが運命の動物となってゆく。 なかなか出会えないため、幻の動物扱いされているユキヒョウを探し求め、著者はヒ...
子どもの頃は貧弱と言われ、ヒト科の友達がほとんどいなかったという著者。かわりに昆虫や、図鑑に載っている動物たちを友達に、空想の中で遊んでいた。そんな中、ユキヒョウと出会い、それが運命の動物となってゆく。 なかなか出会えないため、幻の動物扱いされているユキヒョウを探し求め、著者はヒマラヤ山脈標高3800メートルの地に何度も行く。ユキヒョウだけでなく、トラ、チーター、ライオン、ヒョウ、ジャガー、ウンピョウについても書かれています。実際に会いに行く著者のネコ科大型肉食獣への愛が感じられる。 ところどころに入る、QアンドAがまたいい。
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「カラスの教科書」と同じシリーズだと思ったら、ユキヒョウやチーター、ジャガー、トラを愛して追い求めた苦労たっぷりの紀行文でした。 自腹切りまくって、何度もひと目会うためにトライする様子が描かれています。 動物園も社会的にも動物保護の観点からも重要ですが、やはりひと目でも一瞬でもいいから、彼らのテリトリーで野生の姿を見たいという気持ちは、共感を呼びます。 そして、直接的にも間接的にも彼らの生息域を脅かさないような生活をしたいと、より強く感じさせられる一冊でした。
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