タダイマトビラ の商品レビュー
『授乳』以来の村田沙耶香san。 もう苦しくないよ。あのトビラの向こうで、私たちの新しい未来が待っている。子供を愛せない母と、理想の家族を求める少女―。 ネグレクトの母親に対し「笑うと母親の顔には、真っ暗な穴があく。」や、父と喧嘩していた母が言った言葉「産んだからって、どうし...
『授乳』以来の村田沙耶香san。 もう苦しくないよ。あのトビラの向こうで、私たちの新しい未来が待っている。子供を愛せない母と、理想の家族を求める少女―。 ネグレクトの母親に対し「笑うと母親の顔には、真っ暗な穴があく。」や、父と喧嘩していた母が言った言葉「産んだからって、どうして必ず愛さないといけないの?」を聞いた時に、「その疑問は母からぽろりと転げ落ちて、廊下を転がってきた。私は、母の疑問が揺らした世界を見つめるように、廊下の暗がりを見つめていた。」という感覚。少女恵奈の冷淡さと孤独さ。「カゾクヨナニー」等、とにかく自分で工夫をして、脳を騙して処理をする。ニナオ、弟啓太、親友の千絵&瑞希、近所のお姉さんの渚など。このまま自分探しの物語が進むのかなぁと思っていたら・・・ 恋人の浩平を突き飛ばしてからは怒涛の展開。渚の家でアリスの取替え、トビラから聞こえた声「おかえり、恵奈」。家に帰り、母と弟をフルネームで呼んでからは、もう一枚世界が捲れました。生命体、ホモ・サピエンス・サピエンス、オスとメス、人間の最後の言語。 恐ろしいエンディングで頭がクラクラしていますが、これが村田sanワールドですね!大好きです。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
確認したところ6作目の村田作品。 2年前に「殺人出産」を読んで以来ついつい手に取ってしまいすっかりハマってしまっている。 今作も性、成長、繁殖、家族がどきつく時にはグロテスクに描かれている。家族って何?母親って何?主人公の母に対する描写が容赦なくて辛くなってしまった。 そしてラストの怒涛の… あぁ怖い 別の世界の奇妙さがさらに怖い。
Posted by
母親がいやいや子育てしてる家庭の 女の子が主人公 カゾクヨナニーとは・・・ 著者の独特な世界を堪能できる作品 まぁでもこういう著者の作品は好みが 分かれるだろうなとは思いますが 著者の世界は好きです
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
家族について考えさせられる作品。 主人公が家族に執着しない様にしている反面、実際は家族という存在に囚われている所が切なく、人間らしさを感じた。
Posted by
小説でこのテーマを扱うのは矛盾していると思うし、よく書く気になれたな、と思う。主人公の行動原理にも致命的な矛盾があったため、オチは結構早く読めてしまった。 主人公は自分では直接そうとは語らないが「自分が規定される」ことがとてつもなく嫌なんじゃないか、と思う。人間はただこの世界に生...
小説でこのテーマを扱うのは矛盾していると思うし、よく書く気になれたな、と思う。主人公の行動原理にも致命的な矛盾があったため、オチは結構早く読めてしまった。 主人公は自分では直接そうとは語らないが「自分が規定される」ことがとてつもなく嫌なんじゃないか、と思う。人間はただこの世界に生まれてきて、生まれてきたという性質以外何一つ、本来ならば持ち合わせていない。それなのに、年齢や性別、趣向などなどを「言葉」によって強制されている。
Posted by
母性の欠如した母親のいる家庭。幼児の頃から、家族欲が満たされぬ少女。恋人に、満たされぬ家族欲を求めるが、そこには、家族という形式を模倣するに過ぎない失望をみる。 ついに、家族欲から、解放された少女は、カゾクというシステム、概念さえ存在しない世界の扉を見いだす。 その扉の向こうには...
母性の欠如した母親のいる家庭。幼児の頃から、家族欲が満たされぬ少女。恋人に、満たされぬ家族欲を求めるが、そこには、家族という形式を模倣するに過ぎない失望をみる。 ついに、家族欲から、解放された少女は、カゾクというシステム、概念さえ存在しない世界の扉を見いだす。 その扉の向こうには至福が待つ。家族が待つ家庭というシステム存在前の、最終的な帰着“おかえり”に満ちる。 突き抜け方に、気合と気概を感じる。
Posted by
村田沙耶香ワールド全開。 リアルすぎて気持ち悪くなるのと、単純にうわ…となって気持ち悪くなる。だけど読む手を止められない。 村田さんはなぜこんなにも読者の古傷を抉るようなストーリーを思いつき、文章に書き起こせるのだろうか?
Posted by
欲望を自分で処理すること全てをオナニーだと思い込む少女。 ショクヨナニー、セイヨナニー、 そしてカゾクヨナニーと自身の欲望を自分自身で工夫して処理するようになった。 カゾクヨナニーって言葉を作ったのすごすぎる。。 怖いけど。。 この少女も世間一般的な家族になりたいと本当は思って...
欲望を自分で処理すること全てをオナニーだと思い込む少女。 ショクヨナニー、セイヨナニー、 そしてカゾクヨナニーと自身の欲望を自分自身で工夫して処理するようになった。 カゾクヨナニーって言葉を作ったのすごすぎる。。 怖いけど。。 この少女も世間一般的な家族になりたいと本当は思っていたはず。 それが叶わないことが苦しくて、カゾクヨナニーを始めて脳を騙し続けていたために、その形に脳が洗脳されてしまったのだろう。
Posted by
村田さんの本はこれで16冊目。 満遍なく薄く狂気があり話が進むにつれてどんどん濃くなり終盤の方で爆発する。 これこれきた〜〜と思う。もはや安心感がある。求めていたのはこれです。と思ってしまう。 ネグレクトな親のもとで育ってる主人公の話。家族とは何かが描かれてる。親も主人公も狂っ...
村田さんの本はこれで16冊目。 満遍なく薄く狂気があり話が進むにつれてどんどん濃くなり終盤の方で爆発する。 これこれきた〜〜と思う。もはや安心感がある。求めていたのはこれです。と思ってしまう。 ネグレクトな親のもとで育ってる主人公の話。家族とは何かが描かれてる。親も主人公も狂ってるんだけどだんだん「そんなの変だよ」と言ってくる人たちに対して「いや、そんなこと言ってくる過干渉で常に平均を求めるあなたの方が変です」って思わせてくれる。毎回そうです。 地球星人の時も思ったけど主人公の考え方合理的で強くて好きだなと思う。他の人と違うことを悩んで心壊して終わらず自分の価値観を作り出して突き抜けられるの清々しい。 常に大多数が正しいと言われがちな世の中で救われると感じた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この人の作品はもう5冊目?くらいだけど、やっぱり独特の流れが好きすぎる 後半で浩平を自分と照らし合わせた展開がかなり面白かった 最後は地球星人とほぼ一緒の流れだった気がする、本当なのかSFなのかみたいな展開になるのが良かった
Posted by