ターミナルタウン の商品レビュー
停まる列車はないのに駅。その終着駅の街、ターミナルタウン。ないのにあることになっているタワー。住民がいないのに閉鎖されないニュータウン。訪れる人のいない商店街。閉鎖されて行き来できない自由通路。 そういう矛盾をかかえた存在が本書の舞台。三崎亜記らしい「ごく普通の日常なのに一箇所だ...
停まる列車はないのに駅。その終着駅の街、ターミナルタウン。ないのにあることになっているタワー。住民がいないのに閉鎖されないニュータウン。訪れる人のいない商店街。閉鎖されて行き来できない自由通路。 そういう矛盾をかかえた存在が本書の舞台。三崎亜記らしい「ごく普通の日常なのに一箇所だけ異様」な状況を楽しませてくれる。クライマックスのタワーの「ないのにある」を解決するシーンは一発逆転奇想天外それでいてそれしかなかったという悲しみと安堵のカタルシスになっていて、さすが三崎亜記、と嬉しくなる。 ただし、登場人物たちが極端な性格付けをされていて、そのキャラのおかしさでストーリーを進めているようなところがある。テレビアニメっぽいというかラノベっぽいというか、安っぽいところがあり少々残念。
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現実的な世界と現実的な世界を掛け合わせて作る非現実的な世界観に魅せられます。 魔法やしゃべる動物は出てこないけれど立派なファンタジーです。 各章ごとに主となる登場人物が変わり、物語を進めていく形式をうまく使われています。少しづつあらわになってくる物語の輪郭に一気に引き込まれました...
現実的な世界と現実的な世界を掛け合わせて作る非現実的な世界観に魅せられます。 魔法やしゃべる動物は出てこないけれど立派なファンタジーです。 各章ごとに主となる登場人物が変わり、物語を進めていく形式をうまく使われています。少しづつあらわになってくる物語の輪郭に一気に引き込まれました。 隧道とても気になります。闇を育てるという発想がとても素敵です。
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何時もの首都・旧都・北端連合州などが存在する三崎ワールド。 主要鉄道が廃線となり、高速鉄道も止まらなくなって凋落の一途を辿る鉄道の町・静原町をめぐる各州や接続会社の暗躍が描かれます。 描き方によっては「下町ロケット」のような話になるところ。しかしそこは三崎さん。例によって不思...
何時もの首都・旧都・北端連合州などが存在する三崎ワールド。 主要鉄道が廃線となり、高速鉄道も止まらなくなって凋落の一途を辿る鉄道の町・静原町をめぐる各州や接続会社の暗躍が描かれます。 描き方によっては「下町ロケット」のような話になるところ。しかしそこは三崎さん。例によって不思議な世界になってしまいます。 これまでの物語に出てきた「歩行技師」なども出てきます。そこに今回登場するのは「影無き者」や「隧道師」。影無き者は本当に物理的に影が無くて政府に管理されているし、隧道師は種から隧道を育てる人々。 現実の世界の中にそんな不思議な設定を一杯詰め込んで、何とも言えない独自の世界を作り出していきます。 ほかの人のレビューにもあるように「喪失」がテーマなのでしょうね。 三崎さんにしては珍しい500ページを超える長編です。しかし、上思議な世界をこの長さで維持し続けるのは少々辛そうです。やはり基本は短編作家さんなのだと思います
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
三崎亜記の長編小説が文庫化。 随所に著者の他作品でも重要なテーマになっている、『喪失感』が見え隠れする。現実とは少しずれたところでストーリーが進むのもお約束。 読み応えのある長編で楽しめたのだが、三崎亜記は、矢張り本質的には短編作家なのでは……とも思う。好みの問題だろうけども。
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【新感覚町興し小説の誕生】かつてターミナルだった駅をほぼすべての電車が通過するようになり衰退した静原町――鉄道を失った鉄道城下町は復興できるのか?
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