明日の食卓 の商品レビュー
怖い作品だった。子を持つ親だったら誰でも考え得る問題。自分の子は良い子なのだろうか。自分の見ている子どもと、外での子どもは違うのだろうか。子どものことをちゃんと理解できているだろうか。子どもが悪いことをして、それを受け入れる覚悟は?子どもを殴らないでいられる自信は? この物...
怖い作品だった。子を持つ親だったら誰でも考え得る問題。自分の子は良い子なのだろうか。自分の見ている子どもと、外での子どもは違うのだろうか。子どものことをちゃんと理解できているだろうか。子どもが悪いことをして、それを受け入れる覚悟は?子どもを殴らないでいられる自信は? この物語には、3つの家族が登場します。それぞれの家庭には、同姓同名の「イシバシユウ」。家と学校では別人格のような子。兄弟で毎日喧嘩をしては親を困らせる子。貧しい母子家庭で育ち、素直に育っているのに、学校で給食費とかが盗まれるのを疑われる子。 本当にどの家庭のことも他人事とは思えなかった。ただ、読んだ後は子どもを大切にしようと、改めて思える作品。
Posted by
みんなそれぞれの思いをもって生きている。 殺人、それはもちろん絶対にしてはいけないこと。最低と言われてもおかしくない。 でも、誰もが殺人はいけないこととわかっていてもしてしまう何かがある。 それは当事者にしかわからない。 事実だけを見聞きして、その人の全てを判断することはできない...
みんなそれぞれの思いをもって生きている。 殺人、それはもちろん絶対にしてはいけないこと。最低と言われてもおかしくない。 でも、誰もが殺人はいけないこととわかっていてもしてしまう何かがある。 それは当事者にしかわからない。 事実だけを見聞きして、その人の全てを判断することはできない。 それは全てにおいてそうである。
Posted by
[墨田区図書館] 曳舟図書館の予約本コーナーで目にして予約した本。宮部みゆきさんの本のようなテイストだったので、多少影のある本かと思って手に取ると、やはりそんな感じ。 話が始まった当初は5年くらい前だかにあった、幼稚園のママ友5人くらいの織りなす小学校受験を控えた暗闇?のドラ...
[墨田区図書館] 曳舟図書館の予約本コーナーで目にして予約した本。宮部みゆきさんの本のようなテイストだったので、多少影のある本かと思って手に取ると、やはりそんな感じ。 話が始まった当初は5年くらい前だかにあった、幼稚園のママ友5人くらいの織りなす小学校受験を控えた暗闇?のドラマみたいに暗黒のママ友づきあいかと思ったが、「ゆう」を取り巻く様々な等身大の家庭が描かれていて、色々と身をつまされた。それにしても、最も暗いと思われる家庭例ではなく、しかも挙げてきたどの家庭でもないほぼ類似の家庭について断罪を下すくだりは、単に読者が誤解するだろうミステリ的な要素として入れたかったのだろうが、読み手にとっては第三者的な存在の話として、ある種救いを残していてくれた感もあった。
Posted by
Posted by
極普通の3家庭の物語のはずだったが、途中から色々な出来事が起こり、家庭が変化して行く。 自分に置き換えてみる事が出来るとても考えさせる作品だったと思う。 女性もさることながら男性も必読です。
Posted by
初めて読む作家だったが、先が気になって一気に読んでしまった。 文字を追って文章を読んでいるという気がしない、直接内容を見ているような… 時々そういう本に出会う。 何軒かの「石橋家」いろいろな家庭だが、そこにはそれぞれ9歳の「ユウ」という名前の男の子がいる。 平凡だが、ささやかに...
初めて読む作家だったが、先が気になって一気に読んでしまった。 文字を追って文章を読んでいるという気がしない、直接内容を見ているような… 時々そういう本に出会う。 何軒かの「石橋家」いろいろな家庭だが、そこにはそれぞれ9歳の「ユウ」という名前の男の子がいる。 平凡だが、ささやかに幸せに暮らしていた… はずだったのだが、だんだんとその家庭がゆがみ始める。 怒りと暴力、傷つけあう家族たち。 なぜ、皆同じ苗字、そして同じ名前(漢字はちがう)の子どもにしたのだろうかと思ったが、多分、『どこの家庭でも起こりうる』という事なのだろう。 母親は本当に大変だ。 心配事が絶えない。 子育ては責任が重い。 全てが肩にのしかかってくる。 そして、「夫」というものはどうしてこう、幼稚で自尊心ばかり強いのだろう。 そして、心が狭い。 「おちょこの裏側ぐらいの心の狭さ」という表現に笑ってしまった。 まず、子育てを自分の事として考えていない。 面倒なことからは顔をそむけて、全部妻に押し付ける。 責めると機嫌が悪くなる。 肝心な時に頼りにならない。 一番貧乏だが、加奈の家庭が、子供の人柄も含めて一番まともに思えたが…どこが違うのかと思ったら、夫がいなかった。 夫が妻の話を聞いて協力してあげるのが一番だけど、無理なら、友だちでも良い、警察官でも良い、児童相談所の職員でも良い… 誰か、彼女たちの叫びに耳を傾けてあげてください。
Posted by
読んでいて、ページを捲るのがもどかしいくらい、とても夢中になって読みました。専業主婦、共働き、シングルマザー。様々な家族構成での母親の子育ては、波乱が次々と待ち構えていて、切羽詰まった母親の、してはいけない子供への暴力が生々しく著されています。そして、登場する夫たちの父親としての...
読んでいて、ページを捲るのがもどかしいくらい、とても夢中になって読みました。専業主婦、共働き、シングルマザー。様々な家族構成での母親の子育ては、波乱が次々と待ち構えていて、切羽詰まった母親の、してはいけない子供への暴力が生々しく著されています。そして、登場する夫たちの父親としての心の未熟さや子育てへの無関心さに苦しむ母親たちにとても感情が揺さぶられました。 現在進行形で子育てをしている男性やこれから子供が生まれる男性こそ読むべき一冊だと思いました。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
どこにでもありそうな三つの家庭。それぞれの幸せな日常から始まり、そこに影が差し、新たに生き直していく過程が描かれる。そして「イシバシユウ」くんの死。これは虐待死というのとは違う。一番普通の家庭に見えるのがこの家族だ。 最後になっても、不安を孕んでいるのはあすみと優くんの母子だが、どの家庭も「父親」不在が響く。母子家庭の勇くん宅の父親は論外だが、ほかの二つの家庭も名目上の「父親」が「大人」になりきれていない。もちろん「親」にも。 それでも昭和の家族たちはなんとかなっていたが、現代は行き着く所までいってしまう。それは環境の違いか、それとも昭和のひずみが育ててきたものか。 主要登場人物以外で一番むかついたのは勇くんの母が働くコンビニの店長。冷たい社会の象徴にみえる。 勇くん母子が報われる社会でありたい。それが暮らしやすい社会だと思うから。
Posted by
「イシバシ」“ユウくん”への虐待シーンから始まる本書は、多くのことを考えさせられる作品だった。 専業主婦の石橋あすみ, フリーライターの石橋留美子, シングルマザーの石橋加奈。 全員の共通点は、苗字が「石橋」であることと、“ユウ”という8歳の息子がいること。 冒頭のシーンで虐...
「イシバシ」“ユウくん”への虐待シーンから始まる本書は、多くのことを考えさせられる作品だった。 専業主婦の石橋あすみ, フリーライターの石橋留美子, シングルマザーの石橋加奈。 全員の共通点は、苗字が「石橋」であることと、“ユウ”という8歳の息子がいること。 冒頭のシーンで虐待されてしまっているのはどの“ユウくん”なのかを考えながら読み進めていく。 どの家族も、小さな問題こそ抱えているものの、親子関係については至って順調で、幸せそうな印象を受ける。 しかし、途中から、それぞれに家庭の綻びが出てきて、親子関係や夫婦関係の雲行きが怪しくなり、「もしかしたら、“ユウくん”は3つの家庭全員のユウくんではないのだろうか?」という思いも過った。 この点の落とし所や最後のタネ明かしは、ミステリー好きな私も面白く読むことができた。 けれども、それよりも、この3つの家族の描写や、それぞれの家族の話に登場する別の家族の描写が、何より印象的で心に訴えてくる。 どの描写も大袈裟ではなく、程良いリアリティーがあるから、自分に子どもがいるわけではないのに、それぞれの母親の気持ちや行動を疑似体験している気分になる。 そして、絶望的になる。 子育ては闘いだ。 母親と子どもの。 父親と子どもの。 母親と父親の。 母親とママ友の。 時に、祖父母と子どもの。 本書に散りばめられた多くの子育ての問題を、私もこれから否応なく経験していくのだろうか。 その時、自分一人の力で闘い切れるだろうか。 人を一人育てることが、こんなにも葛藤の多いことだったなんて、深く考えたことはなかった。 子どもを産み、育て上げることへの責任感を独身女性でも感じることのできる、小説というジャンルでは括り切れない、とても良い≪作品≫だった。 もし、これから自分に子どもができたとしたら、出産する前に再読したい、そんな風に思った。
Posted by
わたしにはそれでも他人事やと読み始めたものの、坂の途中の家みたいだった。子供は分身じゃないよ、他人よ。体育座りで読みきった。だんなさん、じぶんの好きになった人があんな暴力ふるったりするの、病む。
Posted by