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戦争まで の商品レビュー

4.5

43件のお客様レビュー

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2017/09/09

「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」に続く、最新の研究に基づく現代史講義。 前作と同じく、主に高校生を対象としているので、たいへんわかりやすい。 かといって、レベルを落としているわけではないので、読み飛ばしていてはすぐついていけなくなる。 前作に比べると説明が丁寧すぎてスピ...

「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」に続く、最新の研究に基づく現代史講義。 前作と同じく、主に高校生を対象としているので、たいへんわかりやすい。 かといって、レベルを落としているわけではないので、読み飛ばしていてはすぐついていけなくなる。 前作に比べると説明が丁寧すぎてスピード感がなく、読み終わるのにちょっと苦労した。

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2017/10/08

 大日本帝国はなぜ国際連盟脱退とか、三国同盟とか、対米開戦とか、今からすると一寸先も見えない阿呆な選択をしてきたのかという疑問に対して、史料に丁寧にあたることで「答えよう」というより「考えていこう」という試みである。ただ一つの答えが書いてあるというタイプの本ではない。ゆたかな枝葉...

 大日本帝国はなぜ国際連盟脱退とか、三国同盟とか、対米開戦とか、今からすると一寸先も見えない阿呆な選択をしてきたのかという疑問に対して、史料に丁寧にあたることで「答えよう」というより「考えていこう」という試みである。ただ一つの答えが書いてあるというタイプの本ではない。ゆたかな枝葉がある、得がたい一冊と言えるだろう。  4章で、ゾルゲのスパイグループの一員として活動したというジャーナリスト・尾崎秀美の言を引いているところが興味深い。 〈日本国内の庶民的意向は、支配層の苦悩とほとんど無関係に反英米的なことである。[中略][それもそもそも]満州事変以来十年、民衆はこの方向のみ歩むことを、指導者階級によって教えられ続けてきたのであって[不思議ではない]、屈服は、敗戦ののち、初めて可能である。たとえ支配層が、その経済的窮地のうちに、いち早く屈服の合理性を見いだしたとするも、大衆にとっては、いまだ思いもよらざることである。〉  日本国民は、満州事変の真実を知らされていなかった。反英米となっている国民は、急に仲良くしようといっても納得しなかっただろうと。実際に、国粋主義運動団体が活発に活動し、世論を対米交渉妥結から遠ざけていった。言論統制というものは、じわじわと国を破滅の方向に向かわせるということが、よくわかる。

Posted byブクログ

2017/07/24

現存する資料を体系的に読み解くことで,事実が見えてくる.そのプロセスの実行能力こそが史学の目的であり,これにより過去から未来を予測することが可能になる.現代人に最も重要な日本の近現代史を繙ける語り部が居るということは僥倖であり,後は以下に我々が身につけ実行するかに日本の未来はかか...

現存する資料を体系的に読み解くことで,事実が見えてくる.そのプロセスの実行能力こそが史学の目的であり,これにより過去から未来を予測することが可能になる.現代人に最も重要な日本の近現代史を繙ける語り部が居るということは僥倖であり,後は以下に我々が身につけ実行するかに日本の未来はかかっている.

Posted byブクログ

2017/07/07

戦争までの歴史を決めた三つの交渉を高校生とともに考えていった6日間の講義録。満州事変とリットン報告書、日独伊三国軍事同盟そして日米交渉を扱います。国や個人は、どのように自らの立場を選択したのか。そこで悩み、考え抜いた人間から生みだされるものとは何か。当時の人間に見えていた世界を再...

戦争までの歴史を決めた三つの交渉を高校生とともに考えていった6日間の講義録。満州事変とリットン報告書、日独伊三国軍事同盟そして日米交渉を扱います。国や個人は、どのように自らの立場を選択したのか。そこで悩み、考え抜いた人間から生みだされるものとは何か。当時の人間に見えていた世界を再現し、最適な道を見つけるにはどうすればよかったか、何が足りなかったのかを考えてゆきます。国家と国民の関係が過去にない規模で大きく揺れ動き、わずかな偶然が世界のありようを大きく変えてしまうかもしれない時代の激変期に、現代の私たちは立ち合っています。そんな今だからこそ読みたい一冊です。

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2017/06/23

太平洋戦争に至るまでの、日本の交渉等における裏面史を知ることができ、これまでの認識と異なる部分が多々あり驚かされる。誤った認識が多く流布されており、正していく必要があると思う。 憲法改正に向けた動きがかつてない程強まっている今、もう一度太平洋戦争に進んで行った経緯について確認する...

太平洋戦争に至るまでの、日本の交渉等における裏面史を知ることができ、これまでの認識と異なる部分が多々あり驚かされる。誤った認識が多く流布されており、正していく必要があると思う。 憲法改正に向けた動きがかつてない程強まっている今、もう一度太平洋戦争に進んで行った経緯について確認する事ができて良かった。 それにしても、世の中には優秀な中高生がいるもんだ!

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2017/06/23

歴史を学ぶ大切さを教えてくれる。対象は高校生だけでなく、広く社会人にも楽しめる良書。「過去の歴史を正確に描いたり学んだりしていれば、自然に自分の将来や未来をつくることにつながる。」(本書より抜粋)2017.6.23

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2017/05/28

『それでも日本人は「戦争」を選んだ』が良かったのでこれも手に取った。 満州事変・三国同盟・日米交渉決裂、それぞれの選択の過程でなにがあったのか、別な選択はあり得なかったのかなど資料に当たりながら進める講義は歴史を真摯に見る姿勢を学ぶことが出来る。 謀略史観を撒き散らかしてきた人が...

『それでも日本人は「戦争」を選んだ』が良かったのでこれも手に取った。 満州事変・三国同盟・日米交渉決裂、それぞれの選択の過程でなにがあったのか、別な選択はあり得なかったのかなど資料に当たりながら進める講義は歴史を真摯に見る姿勢を学ぶことが出来る。 謀略史観を撒き散らかしてきた人が保守の重鎮と言われてしまう日本の現状に警告を発する書。多くの人に読んでいただきたい。 それにしても、講義に参加している中高生のレベルの高さには驚くとともに、日本の未来は暗くはないかもしれないと思えてくる。

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2017/05/19

リットン調査団、日独伊三国同盟、日米交渉。世界から日本に突きつけられた3つの局面で、日本がそれぞれどんな状況下でどんな選択をし戦争に突き進んでいったのか。中高生向けの講義をまとめたもの。 この内容を理解し、投げかけられた問いに対し各自がネットや文献を駆使し調べて答えを探っていく...

リットン調査団、日独伊三国同盟、日米交渉。世界から日本に突きつけられた3つの局面で、日本がそれぞれどんな状況下でどんな選択をし戦争に突き進んでいったのか。中高生向けの講義をまとめたもの。 この内容を理解し、投げかけられた問いに対し各自がネットや文献を駆使し調べて答えを探っていくとはなんという意識高い中高生!! こんな若者達が素直に成長していけば日本の未来も捨てたもんではないと思わせてくれる。是非中高生に向けて学校の授業に取り入れて欲しいのと同時に大人も読むべき一冊。 戦争という決断を下しめ、昭和天皇でさえ抗えなかった”時の勢力”とは何だったのか。 フェイクニュース溢れるポスト・トゥルース時代。情報を読み解くリテラシーを養うにはやはり「教育」以外の何物でもないことを本作で改めて背筋が凍るほど痛感した。

Posted byブクログ

2017/05/03

普通の子供たちにとっての天皇は、修身な授業で習う天孫降臨神話の中の登場人物です。本当の古代史上の天皇について、資料から日本史を教えてもらえるのは、旧制高校に入ってようやく1年目です。しかし、その真実を教えてもらえた人は、割合から言えば、100人に1人位しかいなかった。正直な教育が...

普通の子供たちにとっての天皇は、修身な授業で習う天孫降臨神話の中の登場人物です。本当の古代史上の天皇について、資料から日本史を教えてもらえるのは、旧制高校に入ってようやく1年目です。しかし、その真実を教えてもらえた人は、割合から言えば、100人に1人位しかいなかった。正直な教育が大事ですね。

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2017/03/29

中高生を対象とした講義録の第ニ作。 一作目につづく素晴らしい作品だ。今回は「リットン調査団報告書」「日独伊三国同盟」「日米交渉」の3件につき、どんな選択肢があって、なぜその選択をしたのか、背景はどうだったのかを一次資料を読みながら考えていくもの。なかで日米交渉をしていた1940年...

中高生を対象とした講義録の第ニ作。 一作目につづく素晴らしい作品だ。今回は「リットン調査団報告書」「日独伊三国同盟」「日米交渉」の3件につき、どんな選択肢があって、なぜその選択をしたのか、背景はどうだったのかを一次資料を読みながら考えていくもの。なかで日米交渉をしていた1940年前後の国民の意識につき昭和天皇が「国際平和に貢献するために同盟を結んだし、国際連盟を脱退したのもそのためなのに、国民には英米に対抗するためと伝わっているのはまことにおもしろくない」としているのには泣けた。情報の公開もできてなかったけど、教育も足りなかったわけだ。

Posted byブクログ