金正日秘録 の商品レビュー
同書は産経新聞で2014年から16年までの間「秘録金正日」と題するシリーズで掲載されていたものを再構成したものだ。 なぜ今、「金正日」なのか。 著者は冒頭でこの問いについてこう説明している。 「正恩の世襲体制をつくり上げたのは、父、正日であり、正日は晩年、政治経験がほとんどない...
同書は産経新聞で2014年から16年までの間「秘録金正日」と題するシリーズで掲載されていたものを再構成したものだ。 なぜ今、「金正日」なのか。 著者は冒頭でこの問いについてこう説明している。 「正恩の世襲体制をつくり上げたのは、父、正日であり、正日は晩年、政治経験がほとんどない息子が代を継いでも、体制を揺るぎなく、維持・運営させていくために、それこそ心血を注いだ。金正日という人物への理解抜きには、正恩体制の実体をつかむことはできない」。 「金正日こそ、北朝鮮そのものだ」。 同書では、金正日と父・金日成との関係や、母の早世と異母兄弟の存在によって彼(と妹)が置かれた境遇などを丁寧に追うことで彼の人となりを描き出す。 そうして、後継者争いに勝利して次々と権力を自分のものとする一方で、韓国との体制競争に勝つという見栄で行った大規模のスポーツ大会などによって国家の経済を疲弊させたり、幾度もテロを行うことで世界から孤立していく。 強い権力を入れた金正日は次第に政策面において金日成と対立し、金日成を(間接的に)殺したのは金正日ではないか、という話すらある。 そんな金正日もまた、金正恩のためにつくり上げた後継体制を死後数年で崩されてしまった。これからの金正恩時代は、金正日がつくり上げた体制を土台としつつも金正恩独特の色を出していく方向に進むのだろう。 今後、「金正恩秘録」がまとめられることを期待する。
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