若き科学者へ 新版 の商品レビュー
「若い科学者たちへの本誌からのアドバイスは、ピーター・メダワーの『若き科学者へ』を読んでおけ、だ」(Nature誌、2015)。本書を著したのは、1960年度にノーベル賞を受賞した生物学者メダワーである。タイトルは『若き研究者へ』となっているが、筆者は本書について「探索的な活動...
「若い科学者たちへの本誌からのアドバイスは、ピーター・メダワーの『若き科学者へ』を読んでおけ、だ」(Nature誌、2015)。本書を著したのは、1960年度にノーベル賞を受賞した生物学者メダワーである。タイトルは『若き研究者へ』となっているが、筆者は本書について「探索的な活動に従事するあらゆる人を相手にしたものである」と述べている。実際本文には、どの分野にも共通する助言が多く記されている。例えば、「失敗をかくそうとして煙幕をはろうとしてならない」。これは当たり前のことであるかもしれないが、本書を読んだ際に私の心に深く刺さった表現だ。 驚くべきことは、本書が40年以上も前に発表されたものであるにも関わらず、内容の多くが現代でも通用するであろうという点だ。本書を読むと、普遍的な内容は、数十年たっても古びないということに気づかされる。また、本書は数十年間研究に携わった科学者によって著された。進路に悩みや不安を抱えている時だけでなく、「科学者」がどのような生き物なのか知りたい、という単純な好奇心から読んでみるのもおすすめだ。 (ラーニング・アドバイザー/生物資源 UEHARA) ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/3422777
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著者が言うところの「ガリレオ的実験」、すなわち仮説から演繹される反証可能な予測を検証するプロセスを科学的方法の標準としていた。ここから、セレンディピティが前もって考えていた人間が観察して起こるという帰結も導かれる。 総合的発見と分析的発見という分類が示されていたが、最近のビッグ...
著者が言うところの「ガリレオ的実験」、すなわち仮説から演繹される反証可能な予測を検証するプロセスを科学的方法の標準としていた。ここから、セレンディピティが前もって考えていた人間が観察して起こるという帰結も導かれる。 総合的発見と分析的発見という分類が示されていたが、最近のビッグジャーナルでは、この両方が示されることがおおいのではと思った。 "「科学的方法」としばしば呼ばれるものは、強化された常識なのである" (p. 152)という言葉は科学という活動が突飛な思考プロセスではないことを強調する。 科学的メリオニズムやロイヤルソサイエティへの言及は科学に対する希望で満ちていえ、若い科学者に向けたメッセージとして適している。
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科学あるいは科学的なものに関係する人向けの、クラシカルで穏やかな、修養のためになるエセー。真理を追求し、世界に貢献するためには、どのようなスタンスであることが望まれているか、について、ややパターナリズム的に書かれていると思うが、本書を読むことは有益であるには違いない。
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