脳外科医マーシュの告白 の商品レビュー
イギリスの脳外科医の日常が記された、物語のような手記。 脳外科医は生死に向き合う機会がいかに多いことか。 本書を読んでいると、カラッとスッキリした感じは全くしないが、常にどんよりしたロンドンの気候のような感じがぴったりだ。
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イギリスの高名な脳外科医、ヘンリー・マーシュのエッセイ。最近診察した症例から医学を志す前の話まで、心の内を赤裸々に語っている。 あらゆる臓器の中でも脳は、人間の人間らしさそのものと言ってよいほどの機能を持つ。その非常にセンシティブな臓器に対して直に手を加えるのが脳外科医の仕事だ...
イギリスの高名な脳外科医、ヘンリー・マーシュのエッセイ。最近診察した症例から医学を志す前の話まで、心の内を赤裸々に語っている。 あらゆる臓器の中でも脳は、人間の人間らしさそのものと言ってよいほどの機能を持つ。その非常にセンシティブな臓器に対して直に手を加えるのが脳外科医の仕事だ。当然ながら、手術をすることで患者さんが負わなくてはならないリスクはある。けれど、リスクを承知で手術をすることで得られるベネフィットの方が、ただそのまま何もしないよりも大きいから、今日もどこかで脳外科医は手術をするわけだ。 本作は、「告白」という表題にもある通り、百戦錬磨の外科医が仕事の最中に抱えていた葛藤や思いの丈をありのままに綴ったもの。 病だけでなく様々な人生を抱えた患者さんに、病気の現在の状態や治療方針、これからどうなっていくのかを説明するとき、医者は何を思っているのか。手術中や手術の後に患者さんが目覚めるに覚える緊張感やプレッシャーは、果たしていかほどなのか。などを、むしろこちらが怖くなるほど、忖度なく素直に記している。
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同業者といえるマーシュ医師、冷静だが冷徹でなく湿っぽくないがドライでもない珠玉の26編。 その気になればいくらでも劇的に描けるはずの脳外科医の日常を落ち着いた、しかしユーモアも忘れない筆致で進む。 1日1章、ベッドタイムの楽しみがついに終わる。
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正確には「脳神経外科」医。25章にわたって、日常の仕事ぶりや 患者との交流、そして厳しい状況や苦渋の決断などが優しい語り口で綴られる。 職業に貴賎はないが、一瞬の判断ミスが人の生死に関わる仕事のストレスの大きさを思うと頭が下がります。今日も真面目に働こう。
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英国の脳外科医によるエッセー 良性の疾患も多いのだろうけど、脳外科、特に悪性腫瘍に対する治療は死を少し先延ばしにするぐらいの効果しかない。仕事内容の性質を反映してか本書の内容も劇的なことは少なく、無力感や失意の吐露が多い。正直といえば正直な内容だが、読後のカタルシスは少ない。 ・緩慢な死よりも、早い死のほうがいいこともある ・人間とは、どうしても命にしがみつこうとするものなのか。それさえしなければ、苦悩はだいぶ軽減されるだろうに。希望をもたずに生きていくのはとてつもなく困難なことだ。しかし、うっかり希望にすがろうものなら、最後の最後に、希望はいとも簡単にわれわれをあざ笑う。
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脳外科医の日常や日々を過ごす際の思いなどをまとめたエッセイになるのでしょうか? 手術の描写もありますが、患者と応待する際の描写や手術以外の外来や病棟で過ごす際の描写も多く、興味深かったです。患者と距離おおきつつも、自身の手技により患者がよくなったり、ひどいことになったりした際の心の動きがリアルに描かれています。患者には危険性を説明しなくてはならないが、でもあまり悲観的にはできず、また楽観的な説明もできない、日々の苦悩が現れています。自身の手術により後遺症を来した失敗例をどんどん提示していて、すごいと思います。また入院患者がどこに入院したか、分からないなど、英国のひどい事情も書かれていて、医療システムや上司たちへの愚痴も多く、人間的な感じがしました。
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哲学・政治・経済を学んでから、医学を学んだという経歴によるものなのか、耳慣れない医学的な言葉が出てきても、リアルな脳外科手術の描写が続いても、その向こう側の人間ドラマを読ませてくれる、真摯でやさしい語り口。命に触れる医師の高揚も苦悩も苛立ちも、成功も失敗も、医師から見た医療の姿が...
哲学・政治・経済を学んでから、医学を学んだという経歴によるものなのか、耳慣れない医学的な言葉が出てきても、リアルな脳外科手術の描写が続いても、その向こう側の人間ドラマを読ませてくれる、真摯でやさしい語り口。命に触れる医師の高揚も苦悩も苛立ちも、成功も失敗も、医師から見た医療の姿がさらけ出されている。ひとの経験や思いを疑似体験する読書の楽しみを、たっぷり堪能させてくれる、素晴らしい本。
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