脳が壊れた の商品レビュー
脳に障害がある状態の時、どう感じてるのか、どうしてほしいのか、たいがいの場合、本人は、伝えられないし、障害のない人は、理解出来ない 鈴木さんのおかげでやっとわかった
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脳に障害が生じ、そのことで生じる変化が、克明に、かつユーモアを交えて記録されている。 認知症の方、脳梗塞後遺症の方、さらには発達障害の方と関わる方には、かなりオススメできる本だ。
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若くして高次脳障害になった著者のリハビリによる回復の記録は貴重なのではないか。粘土の中からおはじきを取り出すリハビリがいかに難しかったか、両手に荷物を持ってしまうと他のことができなくなってしまうことのはがゆさ、リハビリは感動の連続、やがて著者はこれまでの取材対象者が脳を壊していた...
若くして高次脳障害になった著者のリハビリによる回復の記録は貴重なのではないか。粘土の中からおはじきを取り出すリハビリがいかに難しかったか、両手に荷物を持ってしまうと他のことができなくなってしまうことのはがゆさ、リハビリは感動の連続、やがて著者はこれまでの取材対象者が脳を壊していたことに気づく。老人だけではなく若い人にも作業療法士による脳のケアを、こんなこと当事者にしかなかなか気づけない。 「音楽で泣ける感受性を失ったらどうしよう?」と心配していた著者だが、レディガガのBorn This Wayを聞いただけでボロボロと涙が出るようになり、妻との関係も自分の性格も前とは変り、「脳梗塞になって良かったと思えるほどの(以前の自分の考え方の)欠落に気付いた」とまで言う。 「高次脳障害者には助けが必要か聞かずに助けてほしい。”大丈夫?”と聞けば彼らは“大丈夫”と答えてしまう。」著者の友人夫妻は心配して敢えてアポイントなしで自宅に来てくれ、本当に助けになったという。
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私の周囲でも脳梗塞という話がちらほら聞こえてくるようになり、さすがに少し気になって手にした一冊。 現役バリバリのルポライターが41歳の時に脳梗塞で倒れ、本書はそのセルフルポだ。 脳が障害を起こすと何が起こるか。とても想像などできないのだが、そこはルポライター。この説明しづらい状況...
私の周囲でも脳梗塞という話がちらほら聞こえてくるようになり、さすがに少し気になって手にした一冊。 現役バリバリのルポライターが41歳の時に脳梗塞で倒れ、本書はそのセルフルポだ。 脳が障害を起こすと何が起こるか。とても想像などできないのだが、そこはルポライター。この説明しづらい状況を何とか文字にしようと躍起になる。自分の左側が見られない症状を「全裸の義母」(=見たくないもの、見てはいけないものが自分の左側にある、の意)で表現するあたりは、まさに真骨頂。 などと書くと、単なる明るい闘病記と聞こえるかもしれないが、さにあらず。著者は、高次機能障害で人の顔を正面から見ることができなくなり、感情が暴走し、注意力が散漫になるのだが、これに強い既視感を覚える。それは、これまで自身が取材してきた中で出会った情緒障害者たち、貧困に陥った女子たちがとった行動と同じではないかと。そこで著者は、自分のこれまでの取材の浅さに気づき、同時に脳梗塞を発症するに至った要因は、自身の性格や思想、それに基づく行動にあったと結論する。ここに至って、本書は闘病記の域を超え、人生の再生物語へと昇華した。 そう考えると、第8章以降のかなり個人的な話の記述、特に著者の妻に関するくだりが大きな意味を持ってくる。かなりユニークな人物であることは、この本の前半部分でも垣間見れるが、その理由が同章で明らかになる。彼女は若年期に精神障害を患った経験があるうえ、結婚後に脳腫瘍の摘出手術を経験しているのだ。言ってみれば、彼が取材対象としていて、既視感を覚えた人物たちの先人であり、かつ、脳の病の先人でもあったのだ。脳梗塞で倒れ、リハビリを続ける著者にとって、これほど強いサポーターがいるだろうか。再生物語は始まったばかりだ。
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脳が壊れると今まで当たり前のようにできていたことが、できなくなるというのは言葉ではわかるものの身体的にはなかなか理解できない。体験者としてジャーナリストの使命感で言語化した、ということなのだが、表現が少し若向きでジェネレーションギャップを感じてしまうのが残念。発達障害気味の奥さん...
脳が壊れると今まで当たり前のようにできていたことが、できなくなるというのは言葉ではわかるものの身体的にはなかなか理解できない。体験者としてジャーナリストの使命感で言語化した、ということなのだが、表現が少し若向きでジェネレーションギャップを感じてしまうのが残念。発達障害気味の奥さんの後書きが味があってよい。 脳梗塞とは性格習慣病というのはよい言葉だと思った。
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脳梗塞を起こしたジャーナリストによる、高次脳による後遺症をはじめとする体験を文字にしたもの。後遺症がいかに苦しいか、どのように感じているか、当事者の感覚を上手く言語化している。後遺症の症状が、以前に取材をした相手の発達障害や鬱病をはじめとする精神疾患・障害と似ており、それら当事者...
脳梗塞を起こしたジャーナリストによる、高次脳による後遺症をはじめとする体験を文字にしたもの。後遺症がいかに苦しいか、どのように感じているか、当事者の感覚を上手く言語化している。後遺症の症状が、以前に取材をした相手の発達障害や鬱病をはじめとする精神疾患・障害と似ており、それら当事者の感覚を代弁しているといえる。参考になった。 「原因が脳梗塞だろうと何(精神障害など)だろうと、結果として「脳が壊れた」状態になっているならば、出てくる障害や当事者感覚には多くの共通性や類似性があるようなのです」p9 「鈴木君さあ、リハビリってのはさあ、あの、なんつうか、そうそう、駄菓子屋のくじ引きなんだよね。駄菓子屋にあるだろ、壁に引っかかってるくじの束が。あれ、これかな?これじゃねーだろ、こっちかな?ってかんじで、あちこち手当たり次第に力を入れてみて、指動かそうとしてるのに足が動いたり顔が引きつったりするでしょ。そんで駄目でも片っ端から試してみて、それでも全部はずれくじで、その挙げ句に「ようやく動いたあー」っていうのが、アタリくじ。で、いっぺん当たったら、そのアタリくじを何度も引いて、場所をおぼえちゃって、一発でアタリ引けるようになるっつうのが、リハビリなわけ。分かる?」p54 「本当に、所詮人間なんて、電気信号で動く高精度の機械に他ならない。手を開こうとすると、おしっこが出そうになるなんていうのは、断線や短絡箇所のある自動車のハーネスに通電テストをしているような感覚だ。ヘッドライトの配線に通電しようとしたら、やだもーブレーキランプが光っちゃった、のような」p56 「ボールもまともに投げられないくせに生意気な発言をする子供は、あっという間にイジメの対象になってしまう」p78 「(貧困者)役所に提出する所得証明などの書類の説明や、書き込みが必要な申請物などの説明を始めると、高確率で気絶するような勢いで寝るのだ。公的な書類などを用意しても、5行読めればいい方で、音読してあげてもさっぱり頭に入っていかないようなのだ(著者も後遺症で同じ体験をしている)」p79 「ふらつく足で病院内の売店に向かい、レジで小銭を出そうとすれば、目のピントが合わずに小銭は二重に見え、指は思うように動かずで、遅遅として狙った数の小銭を出せない。小銭を手に持ち続けるための集中力すら維持できず、一枚二枚と硬貨が手から零れ落ちる。それだけならまだしも、数枚の小銭を数えると、何枚まで数えたのか分からなくなってしまう。そんな僕をイライラした顔で見ているレジのおばちゃんの気配に、心の中は苛立ちとパニックの暴風雨が吹き荒れる」p80 「(青年の貧困者)彼ら彼女らに必要なのは、いち早く生産の現場に戻そうとする就業支援ではなく、医療的なケアなのではないか。それも精神科領域ではなく、僕の受けているようなリハビリテーション医療なのではないか」p82 「これほどに優れた人材(リハビリ)が医師の指示下でなければ動けず、退院してもすでに生産に寄与しない高齢者のためにそのスキルが浪費されているのは、いかがなものか。これは若者や子供の貧困が広まる中、高齢者ばかりが優遇される老尊若卑な現代日本の縮図ではないでしょうか」p84 「1時間も歩くと、ポケットの中も小学生男子になった。夜のうちに敷地の街灯に飛来したであろうノコギリクワガタの死体。ちょっとつぶれたコクワガタの死体。分厚いガラスの破片。ビー玉大。ビー玉小には見事なビードロ模様。盛夏の早朝、こんな収穫物をブロック塀の上に並べる僕を、出勤してきた病院職員たちは奇異の目で見ていく。ふふふ、大人め、この楽しさ、この好奇心にあふれた視野、貴様らの健常な脳みそではわかるまいよ。ビバ、選ばれし小学生脳。なるほど楽しい」p96 「(妻の言葉)入院生活に入った夫を見て率直な感想は「人間は脳が壊れるとこんなにも退化するのか」です」p224
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突然の脳梗塞の後遺症として高次脳機能障害となった取材記者だった筆者。 想像を絶する(不思議さという点で)不自由さを実体験だからこそ、また取材記者だからこそ、しっかりと伝えてくれる。またその脳の損傷による不自然な言動が、不良や貧困をテーマで取材した人たちの不愉快な(理解できない)言...
突然の脳梗塞の後遺症として高次脳機能障害となった取材記者だった筆者。 想像を絶する(不思議さという点で)不自由さを実体験だからこそ、また取材記者だからこそ、しっかりと伝えてくれる。またその脳の損傷による不自然な言動が、不良や貧困をテーマで取材した人たちの不愉快な(理解できない)言動と一致していたという驚きの発見もある。 軽妙な語り口だけれど、内容は重要,深刻で、知らないこと、驚くことの連続だった。一読すべき本です!
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感情を抑えられなくなると何が大変なのか リハビリは何を目的としているのか どんなことが出来なくなるのか 具体的に書かれていて とても分かりやすい 病気で見えてきた 人と自分との関係 そして人への感謝 脳が健康な間にしっかり読んでおいてよかったと 思える本でした
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【文章】 とても読み易い 【ハマり】 ★★★★・ 【共感度】 ★★・・・ 【気付き】 ★★★★★
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
脳梗塞を患い、一命は取り留めたが高次脳機能障害が残ってしまった作者。しかし、自らが新たに抱えたこの障害が、発達障害のそれと酷似していることに気づき、自らに取材してその様子を書き記そうと決意する。 Web記事から気になって読んだこの本、笑いを交えてコミカルに描かれているが、とても大変な思いをされたのだろうなと切なくなった。奥様への気持ちの大きさが印象に残った。作者さんが自らを変えようとする姿を見習いたくなった。
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