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憲法の涙 の商品レビュー

3.7

11件のお客様レビュー

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2018/11/22

憲法系の本としては中々腹落ちする内容でした。 日本国民である子供や知識のあまりなき人に対しても「日本とはどんな国?」にという問いに自分の言葉で答えをできるようになるべきだと思ってます。 そういう意味だと9条は欺瞞に満ちた、大人による都合の良い解釈をされているのだと思います。 子供...

憲法系の本としては中々腹落ちする内容でした。 日本国民である子供や知識のあまりなき人に対しても「日本とはどんな国?」にという問いに自分の言葉で答えをできるようになるべきだと思ってます。 そういう意味だと9条は欺瞞に満ちた、大人による都合の良い解釈をされているのだと思います。 子供が9条を読むと自衛隊は明らかに違憲と思います。護憲派が何も変えずに保持するのは欺瞞以外の保身と自己都合でしかないと思います。 9条廃止や徴兵制といったラディカルな意見は耳を閉ざしたくなりますが、今の平和が何によって保たれていたのか、今後の平和を保つには何が必要なのかを考えると、このような意見は正しいのではないかと考えます。 日本の未来を担う子供たちにも分かりやすい言葉で憲法を見直すべきではないですかね? リベラルも保守も自己都合のためのフレームワークであって、それにとらわれない議論が必要で、国民は分かりやすさと、想像力をもって、日本という国を安全保障の観点でどうしたいかを考えないといけないですね。

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2018/05/19
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至極真っ当な意見、 木村草太や小林節とかなぜ多くの憲法学者がこういった発言にならないか不思議で仕方がない。護憲というのは9条を守ることではなく立憲主義を守るということであることなんですね

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2017/12/06

法学に精通する著者が世論を賑わせている日本国憲法の第9条と集団的自衛権との関係について自身の見解を述べた一冊。 法学に精通している著者の憲法の見解は非常に勉強になりました。 安倍政権が行おうとしている改憲についてや集団的自衛権について批判的に捉えている人々の考え方が一概に反戦の...

法学に精通する著者が世論を賑わせている日本国憲法の第9条と集団的自衛権との関係について自身の見解を述べた一冊。 法学に精通している著者の憲法の見解は非常に勉強になりました。 安倍政権が行おうとしている改憲についてや集団的自衛権について批判的に捉えている人々の考え方が一概に反戦の方向に向いていないことや国民投票にかけて全国民が憲法について向き合うことへの提唱は共感するものもありました。 近年、安保法案の成立くらいから安倍政権での改憲の話題がよく出ていますが、真意とするところがいまいち分からなかったのですが、本書を読んで9条の意義や日本がこれまで平和であったことや他国の防衛などを理解することができました。

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2017/05/07

前著に続いてこちらも読んだ。前著は正義論についてだったが、今回は法哲学を中心とした憲法論。前著でも憲法についていくらか扱っていたが、その幅を広げてより深めた内容になっている。そんで今の日本の置かれている政治的状況からするとタイムリーな内容。 井上達夫の立場はよくわかった。ロジカ...

前著に続いてこちらも読んだ。前著は正義論についてだったが、今回は法哲学を中心とした憲法論。前著でも憲法についていくらか扱っていたが、その幅を広げてより深めた内容になっている。そんで今の日本の置かれている政治的状況からするとタイムリーな内容。 井上達夫の立場はよくわかった。ロジカルで非常に筋が通っているし、バランスもとれていて、これがリベラルかと学ばされるところ多い。ただ、護憲派、改憲派ともに井上に滅多切りにされているが、どこに人生としての価値を置くかで、どちらの立場も理解できてしまうところはある。私たちは個人は、自分が考える前から社会におかれており、個の連帯の中で生きることを必定とされている以上、正義に基づく判断基準が優先されるべきだというのは疑うことができないが。 様々な方向に思考を飛ばされる一冊だった。いつも以上に新聞が気になりだした笑 17.5.7

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2017/04/21

東大の学者でこういう人もいるんですね。 9条 ①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 ②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持し...

東大の学者でこういう人もいるんですね。 9条 ①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 ②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 護憲派には二つある。一つは、自衛隊と日米安保条約は違憲とする原理主義的護憲派。もう一つは、自衛隊は違憲ではないとする修正主義的護憲派。 井上先生の9条2項でなく丸ごと削除論 ・安全保障の戦略は憲法で凍結してはいけない  1項も安全保障の基本政策を述べている(非武装中立が違憲から集団的自衛権容認まで 解釈の幅がある可能性)  1項を削除して非武装中立まで選択肢にいれて民主的立法過程での討議にゆだねよ ・もし戦力を持つなら「条件付き制約」を憲法に書き込んでおくべき。 =シビリアン・コントロール、開戦決定への事前国会承認、徴兵制、良心的兵役拒否。  徴兵制は、無責任な好戦感情に政府と国民が駆られる危険性への歯止め セカンドベスト-護憲的改憲 専守防衛の枠内で自衛隊を位置づける サードベスト-保守的改憲発議 ↓井上達夫×モーリー「護憲派と憲法の涙」 https://youtu.be/r3nr_uD5His ↓宮崎哲弥 x 井上達夫 https://youtu.be/VD6Jm29XZo0 ↓田原総一朗×井上達夫×篠田英朗「集団的自衛権とトランプと国際主義の行方」 https://youtu.be/71TG5YZJKdo

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2017/01/17

自衛隊と憲法9条の整合性に焦点当てた本。いわゆる改憲派と護憲派の双方の主張の矛盾点を列挙し、9条をまるごと削除すべき、という持論を展開している。国の安全保障に関わるイシューを憲法に書き込むべきではない、というのがその主張の背景。 "現在の9条は 、安全保障の基本を 「...

自衛隊と憲法9条の整合性に焦点当てた本。いわゆる改憲派と護憲派の双方の主張の矛盾点を列挙し、9条をまるごと削除すべき、という持論を展開している。国の安全保障に関わるイシューを憲法に書き込むべきではない、というのがその主張の背景。 "現在の9条は 、安全保障の基本を 「非武装中立 」に凍結してしまっている 。それが容易に変えられないから 、右も左も解釈改憲で対応し 、結果として九条を死文化させている"

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2016/11/12

評判になった著者の『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください―井上達夫の法哲学入門』の続編で、前著で反響のあった憲法・安全保障問題に関する著者の考え方について、誤解を解き、批判に応答することにより、その趣旨をさらに明確にして再擁護することを目的としている。...

評判になった著者の『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください―井上達夫の法哲学入門』の続編で、前著で反響のあった憲法・安全保障問題に関する著者の考え方について、誤解を解き、批判に応答することにより、その趣旨をさらに明確にして再擁護することを目的としている。 憲法第九条は文言上絶対平和主義を採用しており自衛隊は違憲な存在であるという認識のもと、現在の日本の護憲派は、憲法を尊重するふりをしつつ、九条を裏切る自衛隊と日米安保の存在にこっそり便乗する、ないし、それを容認しさえする、憲法論的欺瞞を抱えており、改憲派よりも憲法に対する罪は重いとする。そして、憲法第九条の今後のあり方について、「最善」は、九条削除であり、具体的には、安全保障戦略の基本は憲法で凍結すべきではないが、「どのような戦略が選ばれようと、それが乱用されないための戦力統制規範は憲法に入れろ」という意見だとし、国民が無責任な好戦感情にあおられないための歯止めとして「徴兵制+良心的兵役拒否」も組み込むべきだと主張している。「次善」は、護憲的改憲、「三善」は、保守的改憲発議、「最悪」は何も変わらないことだとしている。 自分は、憲法解釈としては、著者の考えは基本的に間違っていないと思う。ただ、「修正主義的護憲派」と本書で言われている従来の内閣法制局的な解釈も成り立つ余地はあり、そうであるならば、確かに限定的な集団的自衛権容認も違憲ではないという結論になるだろう。そして、今後の憲法第九条のあり方としては、著者は「次善」としている護憲的改憲が望ましいと考える。自衛隊がこれだけ定着している以上、憲法第九条第一項の趣旨は維持しつつ、自衛隊を憲法にきちんと位置付けることが、立憲主義の精神からも必要だと考えるからである。

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2016/10/18

前作に引き続き、憲法を巡る諸問題を論じています。 前作よりも9条の問題にフォーカスしているので、その主張が明確に感じられるなっていますね。 9条があるから侵略されない、というような主張の間違いが明確に理解できます。 護憲派こそ改憲を主張すべきという主張がしっくりきます。

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2016/08/20
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※このレビューにはネタバレを含みます

 憲法と法律のちがいー法律というのは、国会が通常の立法手続きにしたがってつくるものですけれど、憲法は、そもそも、どのような機関が法律をつくれるか、どのような手続きで法律をつくれるか、そしてその法律が侵犯しちゃいけない基本的価値は何か、というのを定める。  だから、憲法は、法律と同じように変えられてはいけない。選挙で勝った政治勢力が、勝ったからといって何でも好き勝手されては困る。自分たちの政権を恒久化できるように統治構造を変えたり、少数者や批判者の人権を侵したり、できないようにする必要がある。だから、法律をしばる憲法は、「成分硬性憲法」といって、文章ではっきり記して、かつ通常の法律よりも帰るのが難しくなっています。与党・政権が議会の単純多数決で憲法を変えることはできなくなっている。(p.21)  9条があるために、自衛隊が「戦力」として認知されず、その法的統制を憲法で明確に定められないという問題があります。シビリアンコントロールだけではなく、戦力行使の国会事前承認ですら、憲法で確保できない、そんな危ない状況を9条がつくっているのです。  戦力に歯止めをかけるためにも、つまり平和主義のためにも、9条を削除しなければならない。9条削除まで踏み切れないなら、少なくとも専守防衛明記改憲をして、専守防衛の枠を超えて戦力が濫用されないための統制規範を憲法に盛り込まなければならない。(pp.56-57)  負けても、次の機会までは、勝者を尊重する。敵対する相手にも、フェアでなければいけない。その精神がなければ、大人の立憲民主主義は育ちません。(p.75)  軍事的暴走に関してドイツには日本と同様、戦前の苦い経験があり、「過去の克服」を目指しているけど、にもかかわらず徴兵制を採用したのは、私は正しい選択だったと思うんですね。無責任な戦力行使をしないため、という目的だから。(p.125)  私がいう正義というのは、自分の権力や利益を合理化するイデオロギーではない。正義はよくそういう批判をされるが、逆だ、と。自分の行動が、他者の視点から見ても正当化できるか、それが問われている。つまり、正義は、自分の権力行使、実力行使への批判的吟味を要求している。(p.128)  もっと重要なのは、基地経済への依存が沖縄のもっとダイナミックな自律的経済発展をはばんでいるという自覚が庶民のあいだにも広まりつつあることです。  一例を挙げると、私が参加した沖縄での基地見学ツアーのバスガイドさんがこんなことを言っていました。返還されたある米軍基地の跡地に、ショッピングモールなど一大商業地区ができた。基地時代の県民雇用数は150人くらいだったけど、今の商業地区の雇用は1万人を超えた、と。重要なのはこの経済的事実だけでなく、バスガイドさんのような普通の市民んがそれを自覚しているということです。(中略)本土住民によって、もっと重要なことは、沖縄内部の悪弊を指弾して、米軍基地という日米安保のコストを沖縄に集中転嫁している現実を合理化する口実にしてはならないということです。沖縄に甘えている本土住民が「沖縄よ、甘えるな」などと説教して自分の甘えを棚上げする権利はない。沖縄の膿は沖縄自身が出すべきなのです。同様に、本土住民は沖縄の欺瞞をあげつらう前に、自らの欺瞞の膿を出さなければなりません。(p.149)  失敗しない政治体制なんかない。民主主義は失敗しない体制ではなく、われわれ国民が自分たちの失敗から学習し、試行錯誤から答えを見つけていく体制です。  それはつまり、前著でも言いましたが、パターナリズムから脱するということです。(中略)民主主義がいいのは、みんなで考えて失敗しても、その失敗から学ぶことができることです。他人まかせにせず、自分でやってみて自分の失敗から学んで成長する権利を「愚行権」と言います。「自律」は個人の愚行権、民主的な「自治」は集団としての国民の愚行権を保障します。(pp.154-155)  「お前の決定は取り返しのつかない失敗になる」というのは、正しい答えを知っているかのように偽っている者の恫喝です。権力者がよく使う。それが「反権力」の人から発せられても、同じです。それに負けてはいけません。(p.158)

Posted byブクログ

2016/07/05

前作「リベラルを嫌いになっても……」の続編。平易ながらもより論議が深まり、井上さんが考える輪郭が見えてきた。参院選を前に必読だと。

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