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クロコダイル路地(Ⅱ) の商品レビュー

3.9

20件のお客様レビュー

  1. 5つ

    3

  2. 4つ

    8

  3. 3つ

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2024/02/17

後半のイギリス編。 いやあ、暗かった。 うーん…やはり私には、本作は今ひとつ合わなかった。 ポエティックだし実験的なところも多いけど、惰性で読み切っただけでした。 ブーヴェの一件でここまで引っ張れるの、逆にすごいな。 エルヴェの心の闇みたいなものは描かれないのかな、やや不完全燃...

後半のイギリス編。 いやあ、暗かった。 うーん…やはり私には、本作は今ひとつ合わなかった。 ポエティックだし実験的なところも多いけど、惰性で読み切っただけでした。 ブーヴェの一件でここまで引っ張れるの、逆にすごいな。 エルヴェの心の闇みたいなものは描かれないのかな、やや不完全燃焼。 鰐、読者にも忘れられないようにしょっちゅう出てくるけど、なんかよくわからない。 終わり方は嫌いではないけど。 海賊女王みたいにワイルドなシーンが見たかったなあ。 でもまあ、クロコダイル執筆時の作者は85歳くらい…、本当にすごいよね。 余談だけど、この本の中で、イギリス人は決闘が大好きでみんな決闘をやりまくるし、アイルランド人はもっと決闘好きです、という描写があった。 ウォルター・スコットで18世紀の最後のスコットランドでも、ごく普通に、決闘しましょー、そうしましょー、の展開があったのに納得。

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2021/07/21

鰐男や蝋人形館などギミックたっぷり。フランス革命の暗黒面を、残酷で数奇な筆致で練り上げていて、もうお腹いっぱい。『開かせていただき光栄です』のその後とも繋がっていたのは、残酷な話の中に一縷の明かりが灯っていたようで嬉しかった。

Posted byブクログ

2021/02/07

いや〜もう…この量で最後までこの密度はすごいな フランス編でも十分面白かったのにイギリス編も一気に読めてしまった しかもバートンズ友情出演と聞いていたので最後あたりにちょっと出てくる程度かなと仄かな期待はしていたけれど、ちょっとどころか序盤から物語の本筋にしっかり組み込まれてい...

いや〜もう…この量で最後までこの密度はすごいな フランス編でも十分面白かったのにイギリス編も一気に読めてしまった しかもバートンズ友情出演と聞いていたので最後あたりにちょっと出てくる程度かなと仄かな期待はしていたけれど、ちょっとどころか序盤から物語の本筋にしっかり組み込まれていてそれも嬉しかった。し、ディアボリカ・アルモニカの続編はやはりどうしても読みたいな… それにしても当時の世界を良くここまで描き切れるなとどのお話を読んでいても本当に感心してしまう。とにかく仕事が丁寧。妥協がない。皆川氏のそんな姿勢がめちゃくちゃカッコいいなと思う。

Posted byブクログ

2019/11/12

この作家がフランス革命前後を描いて面白くないわけがない。 90歳手前にして、この密度と分量の作品を書いてしまう作者は人間離れしている。 革命は既存社会秩序の破壊だから、影の部分も当然大きい。むしろより大きいだろう影の方に光を当て、当時の英仏の市井も忠実に再現しながら、革命の矛...

この作家がフランス革命前後を描いて面白くないわけがない。 90歳手前にして、この密度と分量の作品を書いてしまう作者は人間離れしている。 革命は既存社会秩序の破壊だから、影の部分も当然大きい。むしろより大きいだろう影の方に光を当て、当時の英仏の市井も忠実に再現しながら、革命の矛盾やそれに翻弄される人々を描き出している。。 心理描写の軸となっている「鰐」の存在に共感しきれなかったのが唯一残念。

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2019/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

●この10年以上同じことを言っている気がするんですが、「ええっ、皆川博子ってまだ新作書いてるのおお!!!????Σ(゜Д゜)(敬称略。歴史上の人物に敬称をつけないようなものです。)」 それだけに、後書きで「もう現地取材に行けない…ガクリ(※本文はもっと上品な表現です)」的な文言には涙しました。 ●ローラン・テンプル、ピエール・ドゥミ、ジャン=マリ・ルーシェの3人の青年がメイン。前二人のこじらせっぷりが酷い。エルヴェにはもっと活躍してほしかった。貴重な救いはメイちゃん。 ローランのロンドンでの知人がどこかで見た名前だと思ったら、『開かせて~』の登場人物でした。 なお、Ⅰの主な登場人物一覧にサー・パーシー・ブレイクニーの名前がありましたが。…これが釣りか。

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2019/01/05

Ⅰは歴史小説、Ⅱはミステリ小説に色づけられてたのかしらん。 Ⅰでは狂乱の革命時代を鰐と共に見上げ、Ⅱになると、懐かしの解剖学が・・・そこで開かれる蝋人形館、奇矯な手を持つ少年、しめやかなる殺人、復讐と哀れみ、まさに皆川博子ワールドの長編物語。

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2018/05/07

イギリス編。それぞれの役割を表面に貼り付け、中身には虚無を蓄積させてゆく。数年ぶりにナントの様子を見に行ったローランらはあの時の事実を知る。 いつも濃密な読書体験ができる皆川さんの作品が好きです。 読後はなんだか泣きたくなるような笑いたくなるようなすごく切ない気持ちに。イギリス...

イギリス編。それぞれの役割を表面に貼り付け、中身には虚無を蓄積させてゆく。数年ぶりにナントの様子を見に行ったローランらはあの時の事実を知る。 いつも濃密な読書体験ができる皆川さんの作品が好きです。 読後はなんだか泣きたくなるような笑いたくなるようなすごく切ない気持ちに。イギリスの方たちとローランらとの温度差というかそういうのも感じました。Ⅰで描かれた胃を掴まれるような悲惨で理不尽な革命と粛清とそれに伴う様々な暴力の当事者となった人たちとそうでない人たちの差なのかなあ。 冒頭ではお楽しみも… あっ?なんか知った名前!と思ったら「開かせていただだき光栄です」のバートン先生とエド!?アンも居た~(^^) 

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2017/03/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

時代や小道具などはとても惹かれるのだが、肝心の動機となるとなぜ8年も…というのが引っかかってもやもや感が残る。ロレンスとピエールの手記に出てくる『鰐』がいい仕事をしているし、タイトルもしっくりと素晴らしい。結末は希望があるのかないのか…

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2016/12/18

イギリス篇。「開かせていただき光栄です」のバートンズが登場するのもファンにとっては嬉しいですねえ。 苛酷で陰惨な時代を生き抜き、少しは平和で落ち着いたはずの生活を得たはずなのに。それでも過去の苦痛や悔恨に囚われ、断ち切ることのできない復讐心に突き動かされる登場人物たち。やがて起こ...

イギリス篇。「開かせていただき光栄です」のバートンズが登場するのもファンにとっては嬉しいですねえ。 苛酷で陰惨な時代を生き抜き、少しは平和で落ち着いたはずの生活を得たはずなのに。それでも過去の苦痛や悔恨に囚われ、断ち切ることのできない復讐心に突き動かされる登場人物たち。やがて起こる事件と疑惑。俄然ミステリっぽくなってきて、かなりわくわく感が高まります。 蝋人形やパノラマ館という道具立ても非常に魅力的です。そしてそこで引き起こされた最後の惨事にもあっと驚かされました。これはまったく予想だにしませんでした。とんでもない恐ろしい復讐……だけれど、それくらいの苦痛があったのだとしたら。なんともやり切れません。

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2016/12/05

3.6。かな〜。前半のうねりじみた勢いが堪らなくイイ感じなんで、トーンダウンして感じちゃうんだなぁ。こういう話しなんだろうけど。あと気に入りの登場人物が変にならんで安心したけど。 ……にしても…御大…流石だよなあ(感嘆)。良い意味で迫力の化け物感が半端なくて格好よくて痺れる。(も...

3.6。かな〜。前半のうねりじみた勢いが堪らなくイイ感じなんで、トーンダウンして感じちゃうんだなぁ。こういう話しなんだろうけど。あと気に入りの登場人物が変にならんで安心したけど。 ……にしても…御大…流石だよなあ(感嘆)。良い意味で迫力の化け物感が半端なくて格好よくて痺れる。(もはや業の域の耽美臭にちょっと苦笑もしちゃうが、ここまでくると流石過ぎてお茶目だ)

Posted byブクログ